町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
膀胱腫瘍
2013年10月08日 (火) | 編集 |
秋口になって、急に冷え込むようになると、膀胱炎などおしっこのトラブルが増えてきます。



「夏場に比べて、水を飲む量が減るからだ」ともいわれますが、実際の所どうなんでしょう?




因果関係はハッキリしませんが、獣医師の一般的な感覚として、「秋口~冬にかけては、おしっこのトラブルが多くなる」と言われていまして・・・実際に、当院でも十月に入ってから、おしっこのトラブルの症例が急増しております。




おしっこのトラブルとして多いのは、「血尿」や「頻尿」といった症状が一番多いのですが・・・



その原因は様々。



細菌感染による膀胱炎だったり、尿石症による膀胱炎だったり・・・



そういった原因を、尿検査や超音波検査で調べて、それぞれに適した治療を施していきます。




こちらは、血尿・頻尿を主訴に来院したワンちゃんの尿の顕微鏡検査。


20131008tah01.jpg



血液細胞に混じって、やや大型の細胞がひと塊りになって出現しています。




拡大すると、大型の細胞が、シート状にくっついているのが解ります。




20131008tah02.jpg




このように、細胞がシート状に剥がれて尿中に出現しているのは、悪い徴候です。




一般的な膀胱炎では、このような細胞が出現することはあまりありません。




超音波で膀胱内を確認すると・・・




20131008tah03.jpg



やはり、腫瘍です。



「膀胱三角」と呼ばれる、膀胱の出口に近い部分に13mm×5mmの腫瘍が確認されました。




先ほどのシート状の細胞は、この腫瘍の表面から細胞がボロッとはがれおちたものです。




ワンちゃんの膀胱内に発生する腫瘍は、ほとんどが悪性と言われています。




さらに、この症例のように「膀胱三角」と呼ばれる部分に発生することが多いのですが・・・




この「膀胱三角」は腎臓からの「尿管」がつながる部分であるため、外科手術で切除するのが非常に困難な部位なのです。



さらに転移率も高く、手術をしても、それによって、かえって転移を広げてしまうこともあります。
※手術器具に付着した腫瘍細胞によって、他の部分に転移してしまうこともあるのです。




そのため、治療には外科手術よりも、抗がん剤を使った化学療法を選択することが一般的です。




とはいえ、化学療法をおこなったとしても、完治する可能性は低く、一時的な延命と、QOL(クオリティ オブ ライフ quality of life:生活の質)の維持が精一杯ということも少なくありません。




場所が場所なだけに、早期発見が難しく、治療も思うようにいかない腫瘍の一つであります。