町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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慢性肝炎
2013年09月23日 (月) | 編集 |
食欲不振を訴えて来院されたワンちゃん。




身体検査では、特に異常はみられず、血液検査でも目立った異常はなし。




ですが、レントゲン検査で大きな問題が見つかりました。



まず、こちらは3年前に撮影した、同じワンちゃんのレントゲン画像。



20130923tah02.jpg



黄色い矢印で示した部分は肝臓です。



そして、こちらが今回撮影したレントゲン。




20130923tah01.jpg




肝臓の大きさが、半分くらいに小さくなってしまっています。



「小肝症」といって、「慢性肝炎」を疑う所見です。



犬の慢性肝炎は、栄養素としての「銅」の蓄積や、自己免疫の関与が示唆されています。




肝炎の正確な原因を確定するには、組織検査が必要です。



肝臓の一部分を切除して、検査をするわけですが、全身麻酔が必要になるために、適切なタイミングで実施することが難しいのが現状です。



初期から中期の慢性肝炎では、血液検査で肝臓の数値の上昇が認められるほかは、元気や食欲には影響がなく、目立った症状がないことがほとんどです。




また、肝臓の数値は、肝炎以外にも、食生活の影響で上昇したり、ホルモンの異常などの影響も受けるため、組織検査をおこなったとしても、必ずしも肝炎の診断が下るわけではありません。



検査してみたけど、「原因不明です」ということもあり得るわけです。



ですので、特に症状のみられないワンちゃんで、全身麻酔をかけてまで肝臓の組織検査に踏み切るかというと、飼い主様のご理解が得られないことがほとんど。



また、慢性肝炎の中には、血液検査に異常が認められないまま、密かに進行していくケースもありますので、さらに早期の診断が難しくなっています。
※今回のワンちゃんがまさしくこのパターンでした。半年に一度ほど、血液検査をおこなっていたにもかかわらず、一度も肝臓の数値に目立った変化は認められませんでした。



ようやく、食欲不振などの症状が出始めたころには、慢性肝炎は末期に差し掛かっており、組織検査をおこなおうとしても、全身麻酔をかけるのが危険な状態で検査不能であったり、組織検査ができたとしても、肝臓の破壊が進行していて、有益な情報が得られないことがほとんどなのです。



「沈黙の臓器」という言葉をご存知でしょうか?



肝臓には高い再生能力があり、もともとの予備能力が高い為、多少の損傷では病気としての症状がみられません。



人間でも、自覚症状が出る頃には、非常に悪化した状態になっており、手遅れになるケースが多い為、「沈黙の臓器」と呼ばれているのです。



今回のワンちゃんでも、半年に一度の血液検査でも異常が認められないまま、3年の間に肝臓の組織が半分になるまでに進行してしまっていました。



改めて、「沈黙の臓器」の怖さを思い知らされるとともに、「半年に一度の血液検査でも異常に気が付けないなら、一体どうすればいいのか?」という難しさを感じさせられるのです・・・




このように進行した慢性肝炎を完治させる手立てはなく、できることは炎症の進行を抑え、可能な限りの延命を図るのみ。



ご家族と過ごす時間を1日でも長くするため、できる限りの治療を考えていかなければなりません。