町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
肘関節形成不全
2013年09月07日 (土) | 編集 |
こちら、成長期の大型犬のレントゲン写真です。




20130906tah01.jpg



まだ生後3カ月のワンちゃんなのですが、1週間で体重が1kgも増えるようなハイペースで成長中。




そんなワンちゃんが、前脚を痛がるということでご来院。



特に、足を挫いたりしたような覚えはないということですが・・・



触診をおこなうと、どうやら左前脚の肘関節に痛みがある様子です。



そこで撮影したのが上のレントゲン写真。




一見、骨が割れているように見える部分がありますが、これは「成長板」と言って、成長期の骨の特徴ですので特に異常ではありません。




さて、レントゲン上では明らかな異常がないようですが・・・何が原因で足を痛がるのでしょう?




大型犬・成長期・肘関節の痛み



この3つがそろったときに、一番に疑われるのが・・・「肘関節形成不全」であります。
※もちろん、単純な怪我や捻挫について十分に調べた上で、です。





「肘関節形成不全」は大型犬の前足の痛みの原因としては、最も多い疾患です。




肘関節は、上腕骨・橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の三本の骨が形成する関節です。




「肘関節形成不全」は、これらの骨の成長異常、骨の癒合不全などが原因になります。




正常に形成されなかった肘関節では、時間の経過とともに、関節炎や関節軟骨の変形・摩耗が進行していきます。




ゴールデンレトリバーや、ロットワイラー、バーニーズマウンテンドッグといった大型犬に発生しやすく、特に急激に体重が増える症例で発生しやすいとも言われています。




典型的な「肘関節形成不全」では、生後4~6カ月の成長期に痛みや跛行(はこう:足を引きずること)の症状が出始めます。




その後、一時的に改善したり、悪化したりを繰り返しながら、関節炎が徐々に進行し、年齢とともに痛みや跛行の症状が悪化していきます。




治療は、外科治療と内科治療があります。



成長期の早いうち診断が下った場合には、骨の矯正手術をおこなうことで、関節の状態を正常化し、根本的な解決を図ることができます。



ただ、ある程度年齢を重ね、関節炎が進行した症例では手術での根本的な解決は望めません。



痛み止めやサプリメント、リハビリなどで痛みのコントロール、症状の緩和を図ります。



この疾患では、なるべく早期に診断し、治療を始めることが重要です。




初期症状では、「時々足を痛がるけど、数日で治ってしまう」ということで、その重要性が見逃されがちです。



診断・治療が遅れると、関節の痛みで満足に歩くことができなくなり、特に老齢期の生活の質が著しく阻害される疾患です。




一度、関節炎が進行し、関節軟骨が変形・摩耗してしまうと、元通りには戻せないのです。



大型犬に発生しやすい疾患なだけに、高齢期の歩行困難は大きな問題ですので、成長期の足の痛みには特に注意をして、飼育・観察をしなければなりません。



今回診察したワンちゃんも、まずは痛み止めで症状を緩和しながら、慎重に経過観察し、外科治療の必要性を見極めていかなければなりません。