町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
歯謬病でこんなことになるの?? 2
2016年08月26日 (金) | 編集 |
さて、先日の続きです。



歯周病が原因と思われる、下顎皮膚壊死の猫ちゃんであります。


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ある日、アゴの下の皮膚から大量出血があった猫ちゃん。


歯周病からの重度感染症と仮診断したものの、確定するには麻酔下での歯科検診・歯科処置が必要になります。


とはいえ、まずは皮膚の治療が優先される状態でしたから、一カ月ほどは皮膚治療の方に専念しておりました。


そうして、約一カ月・・・



皮膚の状態も何とか落ち着いたので、いよいよ麻酔下での歯科処置となりました。


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アゴ下に炎症の名残で汚れが残っていますが、奇麗に治りました。




さて、麻酔をかけて歯の状態を見ていくと・・・



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右下の犬歯の根元に病変を見つけました。



歯の根元に穴が開いています。



これは、「破歯細胞性吸収病巣」と呼ばれる、猫ちゃん特有の疾患です。


「破歯細胞」というのは、本来は乳歯が生え変わるときに働く細胞なのですが、どういうわけか、この細胞が永久歯にまで働きかけ、永久歯を溶かしてしまうのです。



この部分から歯根部に感染症を起こした結果、今回のような重度の化膿病変が形成されたようです。



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歯肉を切開し、歯根部を露出。歯根部周辺の組織が壊死してしまっています。




この歯は抜歯治療となりました。



今回の症例は高齢のネコちゃんで、治療も歯肉の切開や下顎の一部を削るなど長時間にわたる処置でしたので、術後の回復に若干不安があったのですが・・・



お口の痛みから解放されたからか、ずいぶんと調子よく過ごしているようで、術創の回復具合も順調のようでした。



歯周病でこんなことになるの??
2016年08月19日 (金) | 編集 |
6月末から治療を続けていた症例です。



ある高齢の猫ちゃん。



アゴから出血しているということで急遽来院された症例なのですが・・・



お電話で様子を聞いて、「ケンカ傷か歯周病か・・・まあ、抗生物質飲んでもらいながら様子見るか・・・」と考えていたのですが・・・



診察室に入ってビックリ



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ちょっとやそっとの出血ではありません。



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傷口を洗浄し、壊死した皮膚組織を除去した状態。



飼主様のお話では、特にケンカをするような覚えもないとういうことですし・・・かといって、歯周病でここまで酷い状態ってのは私も過去に経験がありません。



高齢の猫ちゃんなので、場合によっては腫瘍の可能性もあるか・・・と考えつつも、お口の中を詳しく観察しようにも、嫌がってなかなか見せてくれません。



いずれにせよ、まずはこの大穴を何とかしないことにはどうにもなりませんから、まずはこの皮膚欠損に対しての治療を優先し、こちらが落ち着いてから根本的な治療を考えることにしました。



・・・とはいえ、こんな大穴をどうするか・・・皮膚が感染症を起こして、広範囲に壊死したような傷口ですから、このままこれを縫合するってのは無理があります。


無理やり縫い合わせても、縫合糸が引っ張るテンションに壊死した皮膚が耐えきれずにすぐに裂けてしまうのです。

そこで、まずは「湿潤療法」で皮膚の欠損部をある程度縮小させてから縫合する作戦をとります。



「湿潤療法」とは、生体の持つ自己治癒能力を最大限に活かす治療法。このうような皮膚の欠損に対して非常に効果的な治療法です。



具体的には、傷口を洗浄し、傷の修復を促す作用のあるドレッシング剤(ジェル状、スポンジ状など各種あり)を用いて傷口を密閉します。


皮膚欠損部の細胞は乾燥してしまうと自己治癒能力が十分に発揮されません。これをドレッシング剤で多い、適度な湿潤状態を維持してやることで、生体の持つ本来の自己治癒能力を最大限に活かすことができるのです。



もちろん、最大限の効果を発揮するには、洗浄・包帯交換のタイミング、ドレッシング剤の選択など経験がものをいう部分も大きいです。


ドレッシング剤の選択や、包帯交換のタイミングを間違うと、「浸軟」といって傷口が軟らかくふやけたような状態に陥り、かえって皮膚の損傷が広がる場合もあるのです。


「乾燥」しすぎず、かといって「浸軟」にも陥らない適切な「湿潤」環境を保つのが大切です。




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治療開始2日目 皮膚が赤く炎症を起こし、壊死組織がまだ残った状態



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3日目 壊死組織が奇麗に無くなり、周辺部の炎症も治まって奇麗な状態になりました。
壊死組織が消失した分、傷口そのものは少し大きくなったように見えます。



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5日目  傷口が奇麗な楕円形になりました。傷口が中心部に向かってふさがり始めた証拠です。
アゴ先部分を比べていただくと傷口の修復の様子が良く解ると思います。




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6日目 傷口が安定化し、縫合に十分に耐えられる状態になったので、一部縫合しました。



今回の皮膚欠損は余りにも広範囲なため、湿潤療法だけでの治療では時間がかかりすぎると判断したのです。
なんせ、今回は傷口が治ればそれでおしまいではなく、なぜこれだけの壊死病変が発生したのか根本的な原因を治療するのが最終目標ですからね。


湿潤療法での傷口の修復の様子はこちらの症例が解りやすいでしょうか → コチラ




・・・で、実はこの後の治療の様子は写真に撮ってないのですが、なんだかんだで完全に傷口が奇麗に治るのに約一カ月かかりました。




つづく・・・

本日のわんにゃんドック
2016年08月12日 (金) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 




まずは今年2歳になったばかりの小虎ちゃん。



キリッとした横顔のイケメンです  



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続いて、イタリアングレイハウンドのDIESEL(ディーゼル)君 




もうすぐ11歳になる男の子です。




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ちょっと緊張気味で耳が伏せてしまっていますが、すらっとしたアスリート体型が魅力ですね 




小虎君はまだ2歳と若いので、わんにゃんドックAでの基本的な健康診断でしたが、DIESEL君は10歳と高齢になってきているため、わんにゃんドックCでの精密検査となりました。




当院では、ワンちゃん・ネコちゃんの年齢や体調に応じて、わんにゃんドックA~Cと3つのコース設定をさせていただいております 



皆様の大切な御愛犬・御愛猫の健康管理の一助として、ぜひお役立て下さいませ 




熱中症
2016年08月06日 (土) | 編集 |
本日、午前の診療が終わる頃に一本の電話が・・・



「お隣のワンちゃんが熱中症みたいなんだけど、どうしたらいいですか??」



とのこと。



どうやら、外で飼育されている隣家のワンちゃん(大型犬)のリードが絡まってしまったか何かで、日陰に避難することができず、炎天下で熱中症になっているようでした。



すぐに涼しいところに移動して、水を与えていただくように指示させていただくとともに、飼主様と相談して病院へ行っていただくようにお話ししたのですが・・・



隣家の飼主様は不在で、連絡も取れないとのこと。さらに、ワンちゃんが大きくて移動させることもできない、



そうこうしているうちに



「あ、呼吸がとまっちゃったかも!」



とのこと。



我々としては飼主様不在のお宅に勝手にお邪魔するわけにもいきませんし、本来であれば勝手に治療することもできません。




そこで、早急に警察に相談し、保護をお願するようにお話ししたのですが・・・



その後、特に御連絡はないので、どうなったかは解りませんが・・・ちょっと、状況としては厳しいかな・・・と。




炎天下の熱中症が危険なのは、人間もワンちゃんも一緒です。



今回の事例は屋外でしたが、室内でもクーラーのつけ忘れでの熱中症など飼主様不在時の事故や・・・



過去には飼主様がお掃除をする間、ワンちゃんをベランダに1時間ほど出していたらその間に熱中症になってしまった症例もございます。



老齢犬、長毛の大型犬、ブルドック系の短頭種は熱中症をおこしやすいので特に注意が必要です。



皆様、どうぞご注意くださいませ。