町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
歯周病治療 15歳 ミニチュアダックスフンドのAちゃん
2015年12月29日 (火) | 編集 |
先日行った歯周病治療の症例です。



15歳と高齢のワンちゃん。



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特に前歯は状態が悪く、まるでピアノの鍵盤のようにグラグラな状態。



このような歯はすべて抜かなければなりませんが、前歯は抜歯が容易なため、それほど治療に苦労はしません。



治療が大変なのは、こちらの犬歯。



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歯石を取り除いた後の写真なので、一見すると問題ないように見えますが…



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歯周プローブと呼ばれる器具が、ブスリと奥まで入ってしまっているのがお解りいただけると思います。



歯周プローブは歯周ポケットの深さを測定する器具。これが、奥まで入るということは、この歯の根っこはもう役に立っていないということになります。



犬歯の歯根は非常に深く、その最深部は鼻腔とわずか数ミリのところまで達しています。



ここまで歯周病が進行していると鼻腔にまで病変が達している可能性があります。歯の根っこの部分の周辺の組織が壊死して、鼻の穴まで貫通してしまうことがあるのです。



さて、歯槽膿漏が進行しているとはいえ、犬歯の歯根はものすごく頑丈ですから抜歯するのは大仕事です。


まず、歯肉を切開し、歯根周辺の骨を削ります。



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犬歯の歯根は非常に深く、頑丈なため、無理な力をかけて抜歯しようとすると顎の骨が割れてしまう危険性があるのです。



特に、歯周病が進行した症例では、部分的に顎の骨がもろくなってしまっているので、ますます無理な力をかけるのは危険であります。



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犬歯を抜いた後には、こんな大穴があきます。これを見ると、ワンちゃんの犬歯の頑丈さが良くわかると思います。



さて、この症例では、幸い鼻腔まで病変が広がることはなかったようですが・・・



隣の前歯の方まで病変は広がっていたようです。



写真の○で囲んだ部分に白く見えてるのが、前歯の歯根。犬歯周辺の歯周病が広がって、前歯周辺の歯周組織まで壊死してしまっているのです。



当然、この前歯も抜歯となります。歯周病は、放置しておくと周辺の歯にまで被害が及ぶことがあるので、なるべく早期に治療した方が良いのです。



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抜歯した部分には大穴があくのですが、この部分を塞ぐには頬の粘膜を移植する必要があります。


歯周病が酷い症例では、周辺の組織全体に炎症や壊死が生じているため、こういった縫合部の治りも悪くなるで慎重な経過観察が必要になります。




結局、このワンちゃんは2本の犬歯を含め、計14本の抜歯治療となりました。



麻酔時間も2時間半を超えており、15歳の高齢犬にとってはこれも大きな負担になります。



さて、本日で2015年の診療も最終日。ブログの更新も年内最後となります。



また、来年も皆様の大切な御愛犬・御愛猫の健康管理に役立つような情報をブログでとりあげてまいりたいと思います。


もちろん、日常の診療でも、皆様のご信頼、ご期待に添えるように、スタッフ一同精一杯努力を続けてまいりますので、どうぞ来年もよろしくお願いいたします 

ミミヒゼンダニ
2015年12月22日 (火) | 編集 |
こちらの写真・・・


黒い汚れのようなもの、なんだかわかりますか?



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これは、体重2.6kgの仔犬ちゃんの耳洗浄で出てきた「耳垢」です。



これで片耳分。反対からも同じ量が取れました。



トリマーさんに「耳の汚れが多いから、動物病院で診てもらった方がいいですよ」と言われたそうです。



確かに、ものすごい耳垢の量です。



小さな耳の穴の奥まで汚れがびっしりと詰まっていました。



この異常な量の耳垢・・・いったいどうしてしまったのでしょう?



この耳垢を顕微鏡で調べてみると・・・




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ミミヒゼンダニです。




ワンちゃんの耳の中に寄生するダニ。




耳垢などを餌にして生活しています。



このダニが寄生すると、ダニの排せつ物などによって多量の耳垢がでてくるのです。




ダニの刺激や、多量の耳垢の蓄積で耳に痒みや炎症が生じます。




セラメクチンというお薬で駆除するのですが、完全に駆除するには2~4週間隔で2~3回ほど投与する必要があります。

誕生日
2015年12月15日 (火) | 編集 |
12月15日は、谷口動物病院の誕生日です 



7年前の12月15日に開院いたしました。



先週のスタッフミーティングで、



「もうすぐ開院して7年です。初心に戻って、また皆でがんばりましょう!」



なんて言っておきながら・・・



スタッフからプレゼントをもらうまで、今日が「開院記念日」だということをうっかり忘れておりました 



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スタッフからの贈り物・・・可愛らしいネコちゃんの時計です 
村田さん、中村さん、土田さん ありがとう 




あっという間の7年でしたが・・・



まだまだ理想とする病院づくりの道半ば。



これからも初心を忘れずにスタッフ一同、皆様の大切なワンちゃん・ネコちゃんの治療に力を尽くしてまいりたいと思います!


冬になると・・・
2015年12月11日 (金) | 編集 |
さて、この赤い液体。



いったいなんだと思いますか?



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これは、尿道閉塞で来院されたネコちゃんのおしっこです。



見事な血尿ですね。



この尿を顕微鏡で観察すると・・・



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多数の血液細胞と共に、尿石の結晶が出現しています。



膀胱炎による血尿と尿結晶です。



オス猫の尿道は1~2mm程度と非常に細い為、顕微鏡レベルの尿結晶や血液細胞でも、それらが塊状になって尿道閉塞を起こすことがあります。



ジャリジャリした尿結晶とネバネバした血液細胞が一体になって砂粒状の塊になったものが尿道に詰まってしまうのです。



尿道閉塞の状態が1日以上続くと、腎臓へ大きな負担がかかり、急性腎不全に陥る場合があります。



今回のネコちゃんは、尿道閉塞の症状が出てから半日程度で処置を行えたので腎臓へのダメージはありませんでしたが、場合によっては命にかかわる疾患です。



一般的に冬場は膀胱炎が増えるといわれています。



寒くなって飲水量が減るため、尿が濃縮し、尿結晶などが生じやすい為と言われているようです。



膀胱炎になると、「頻尿」や「血尿」といった症状がみられます。



「トイレに何度も行くんだけど、ポタポタしかおしっこが出ていない」というのが頻尿ですね。



ポタポタでも尿がでていて、食欲があるうちはまだ良いですが・・・



いくらトイレにいっても、「まったくおしっこが出ていない」、「1~2滴程度しかおしっこ出ない」、「食欲が無い」ような場合はすでに尿道閉塞を起こしている可能性が高いので、早急な治療が必要になります。

破歯細胞性吸収病巣
2015年12月05日 (土) | 編集 |
「破歯細胞性吸収病巣」


なんだかよくわからない名前ですが・・・なんとなく、歯に関わる疾患であることは解りますね。



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写真のように、歯茎の境目周辺の歯が溶けてしまう疾患であります。



虫歯のように思えますが・・・



虫歯は歯垢の中に存在する虫歯菌が歯垢に含まれる炭水化物を発酵させた際に生じる「有機酸」によって歯が溶けてしまう疾患です。


「破歯細胞性吸収病巣」は、歯周組織に存在する「破歯細胞」と呼ばれる「自分自身の細胞」が歯を攻撃し吸収してしまう病気であります。


なぜこのようなことが起きるのか、詳しい事はいまだ解っていませんが、かなり多くのネコちゃんでこの病気が認められています。



この病気を治したり、進行を遅らせる方法は今のところなく、基本的には抜歯が必要となります。




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このように、本来は二本あるはずの歯根が吸収されてしまい、一本だけになってしまっています。




このような状態になると、当然、痛みがございますので、早急に処置をしてあげる必要があります。