町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
2015年09月25日 (金) | 編集 |
「芒」



ノギと読みます。



イネ科の植物の穂の部分です。



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写真をみれば「あ~、アレね!」って思いますよね。



さて、この「芒」。 どこから出てきたと思います?







なんと、外耳炎を起こしたワンちゃんの耳の穴の奥からでてきました。




ワンちゃんの難治性の外耳炎の症例で時折みられるのですが、このような異物が耳道内に入り込むことで重度の外耳炎を起こすことがあります。



お散歩中に草むらに顔を突っ込んでいるうちに耳の中に入ってしまうようですが・・・いったいどうやったらこんなものが耳の中に入り込むのか不思議でなりません。



このような異物が入り込んでいることに気づかずに、綿棒などで耳掃除をしようとすると鼓膜を傷つける可能性があります。



この症例では、幸い鼓膜を傷つけるようなことはありませんでしたが、鼓膜ギリギリのかなり奥まで入り込んでいました。

紐状異物
2015年09月18日 (金) | 編集 |
食欲不振と吐き気を主訴に来院した症例です。



まだ1歳と若いネコちゃんですが、数日前から急に元気・食欲が無くなり、吐き気が続いているということ。



ネコちゃんは食べ過ぎたときや、毛玉が溜まった時など、人間やワンちゃんに比べると吐くことの多い動物ですが、そういった場合は、吐きだした後はケロッとして元気にしているものです。



若いネコちゃんで、吐き気と共に急に元気食欲が無くなってしまった場合は、消化管内異物が強く疑われます。



慎重に触診をすると、やはり胃の後部に怪しい感触が・・・



レントゲン撮影でも、どうも「紐」のように見える影が写っています。



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十二指腸内に紐のような影(黄色い線で示す)




超音波検査では、十二指腸内に紐の断面と思われる白い丸が見えています。



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黒っぽい円形部分が十二指腸の断面図。その中心部に白く見える部分が、紐状異物の断面。




ここまでの検査で、かなり消化管内異物の疑いが高まってきましたが、開腹手術に踏み切るには、もう少し決定的な証拠が欲しいところです。



そこで、『造影検査」をおこないます。



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「造影剤」(バリウムのようなも)を飲ませてから撮影したレントゲン。造影剤が異物の表面に付着することで、異物の存在が鮮明になります。




どうやら紐状異物で間違いないようです。




ということで、緊急手術。



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紐状異物は、細いものだと胃壁や腸壁に食い込んでしまい、摘出する際に胃壁が裂けてしまう危険があるので、慎重に手術をおこないます。(飲み込んでからの時間が長いと、食い込んだ部分が壊死して腸穿孔を起こす危険もあります)



幸い、今回の紐は少し太めの紐だったので、胃や腸に食い込むことなく、スルリと引っ張り出すことができました。



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約50cmのゴム紐。髪の毛を結ぶやつですね。



実はこのネコちゃんの飼い主様は、こういった事故が起きることは良くご存じで、普段からゴム紐などを放置しないように細心の注意を払っていたそうで、いったいこのゴム紐をどこで飲み込んだのか全く心当たりが無いということでした。



おそらく、人間では見つけられないような家具の隙間などから引っ張り出してきたものと思われます。



いったいこんなに長いものをどうやって飲み込むんだろう? と私もいつも不思議に思うのですが・・・決して珍しいことではありませんから、皆様どうぞご注意くださいませ。

もうすぐ7歳・・・
2015年09月15日 (火) | 編集 |
当院が開業したのは2008年の12月。



もうすぐで7歳です。



私の長女も2008年生まれ。



8月生まれで病院よりも先に7歳を迎えたのですが・・・



昨日、こんな絵をプレゼントしてくれました。



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どれが誰だかわかりますか?



正解は・・・



















左から

看護師 中村

受付 村田

院長 谷口

看護師 土田

看護師 新津(五月で退職)




です。


よく特徴をとらえていると思うのですが・・・いかかでしたか?



ちなみに、私が眼鏡をかけているのは・・・仕事中はコンタクトですが、自宅では帰宅したらすぐに眼鏡で過ごしているので、娘たちにとっては「眼鏡」の印象が強いようです。



開業してもう少しで7年。


震災などもあり、色々と厳しい時期もありましたが、おかげさまで何とか順調に成長を続けております。


これからも、スタッフ一同、努力を続けて、よりよい診療を皆様にご提供できるようにがんばらなければいけませんね。

3年間で2cm
2015年09月14日 (月) | 編集 |
われわれ獣医師は、眼科から歯科、消化器科、循環器科、腫瘍科、脳神経科 etc・・・と様々な診療科にまたがって診察をしなければなりません。



当然、考慮しなければならない疾患は膨大な数に上ります。



そのすべての詳細を憶えていることは不可能なので、様々な資料・書物を確認しながらの診療となります。



こちらは当院で一番出番が多い書物です。



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内科一般のことが、かなり幅広く記載されています。




今月になって最新の2015年版が発売されたのですが・・・



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2012年から2015年まで3年間の間に、1.5cm程も分厚くなっておりました。



次の版が出る頃には上下巻あわせて10cmなんてことになりそうですね・・・



これだけ、獣医療も日進月歩、どんどん新しい情報が出ているということで



それにしっかりと追いついていけるように勉強が欠かせません。




本日のわんにゃんドック
2015年09月10日 (木) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 




こちらはトイプードルのくりまる君 




今月で7歳になる男の子です 




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奥歯の歯石、歯周病が気になってきたので、全身麻酔下での歯石クリーニングを予定しているのですが、その術前検査をかねてのわんにゃんドックでした。



検査の結果、特に大きな問題はなく、予定通りに歯石クリーニングを行うこととなりました 



当院では、ワンちゃんの健康管理の一助として、定期的な健康診断「わんにゃんドック」をお勧めしております 

心雑音とその原因
2015年09月04日 (金) | 編集 |
日々の診療の中で、「聴診」と言うのは基本中の基本。



主に心音・肺音を聴取して異常が無いか調べます。



肺音に異常を感じればレントゲン検査。


心音に異常を感じれば心電図やレントゲン、超音波検査などなど。



聴診器だけで正確な診断がつくことはありませんが、さらなる追加検査が必要かどうか? 循環器・呼吸器系に異常があるのかどうか? を素早く大まかに評価するにはとても有用な診断ツールであります。



さて、そんなふうにして聴診を行っていると、「心雑音」に出会うことが多々あります



通常聞こえる心音と言うのは、心臓内の弁が開閉することによって発生する音で、Ⅰ音・Ⅱ音と呼ばれています。


このⅠ音・Ⅱ音以外の音が聞こえたら、それらはすべて「心雑音」と言うことになります。



「心雑音」の原因は様々。


正常な心臓でも、緊張や興奮でドキドキが強くなった時などにも発生することがあります。


問題になるのは先天的な心奇形や、後天的な心臓病などで発生する「心雑音」。


「心雑音」の原因を見つけ、その重症度を評価するには超音波検査が欠かせません。



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右室流出路から肺動脈への移行部に「狭窄」があります。その部分を通過する血液に「乱流」が生じています。
正常な血流は「赤」もしくは「青」で描出されますが、「乱流」は赤・黄・緑・青が入り混じって描出されます。




この超音波画像はまだ1歳と若いネコちゃんの心臓の超音波検査画像です。


成長と共に「心雑音」が聴取されるようになったため、精密検査となりました。


成長期の動物で「心雑音」が聴取された場合は、先天的な心奇形が疑われます。


この症例は、右心流出路と呼ばれる部分に「狭窄」がありました。



狭窄部分を血液が通過する際に、血液が「乱流」を生じるため「心雑音」が発生していたのです。


正常な心臓では、心臓内を流れる血流はスムーズで、通常は聴診器で聞き取れるレベルの音が発生することはありません。


ですが、今回のように心臓内に狭窄があると、その部分を通過する血流に乱れが生じるため、雑音の原因となるのです。


音もなく流れる静かな水の流れに、手を突っ込んでバシャバシャとかき乱すと乱流が生じて音がするのと同じ事ですね。



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この症例では、正常な血流は「青」で示されていますが、狭窄部分を通過したところから黄色や緑、赤など様々な色合いが混ざった血流になっています。これが「乱流」です。






こちらも、生後間もないころから「心雑音」が聴取されていたネコちゃん。



この症例は心筋肥大が疑われる症例で、心室中隔壁の一部が肥大・突出し、大動脈の入り口を塞いでしまっています。



この狭窄部分を血液が通過する際に、乱流を生じ、「心雑音」を発生させていました。



幸い、これらの症例において、血流路の狭窄は軽度で、特に治療を必要とする状態ではありませんでした。



このように、超音波検査を駆使すれば「心雑音」の原因だけでなく、その重症度も正確に評価することができるのであります。