2015年07月30日 (木) | 編集 |
「御飯を食べると、すぐに吐いてしまう」
と言うことでご相談いただいた症例です。
1歳前後と若いトイプードルの男の子で、基本的には元気で身体検査も問題ありません。
だけど、どうも食欲がイマイチで、御飯を食べてもすぐに吐いてしまうとのこと。
ここで重要なのが、「吐いてしまう」という症状が、「嘔吐:おうと」なのか「吐出:としゅつ」なのかを見極めること。
「嘔吐」というのは、「胃内の食物を吐きだす」ことで、一般的に「吐く」というのはこちらです。
一方、「吐出」と言うのは「食道内の食物を吐きだす」現象です。
食道の狭窄や閉塞、運動異常により、食物が胃内に流入せず、食道内に停滞。それを吐きだすのが「吐出」です。
嘔吐との見分けは、「横隔膜の収縮を伴うかどうか」です。
嘔吐の場合は、横隔膜が収縮し、「オエッ、オエッ」と苦しみながら吐きだします。
吐出の場合は、食道内に残った食物が、何かの拍子にゲボッ!と吐きだされるため、苦しむ様子や横隔膜が収縮する様子がみられません。
「嘔吐」の場合は、基本的には胃・腸の疾患として検査・治療を行うのですが、「吐出」の場合は食道疾患として考えなければならないため、これらの見極めは非常に重要になります。
特に、若いワンちゃんでは、先天的な心臓血管の奇形により、食道狭窄が発生する場合があるため、非常に重要なポイントになります。
ということで、こちらのワンちゃんでは「嘔吐」ではなく「吐出」が疑われましたので、食道の運動性を評価するため、レントゲン検査をおこないました。

バリウムを含ませたドッグフードを食べさせてからレントゲン撮影。
胃の中に飲み込んだ食物が写っていますが、左側の食道内にもフードが残っている様子が観察されます。
どうやら、完全な食道閉塞や狭窄はないようですが、食道の運動機能の低下が起きているようです。
そのため、食道内に飲み込み切れずに残った食物を、「吐出」しているようでした。
「食道炎」を疑う所見であります。
「食道炎」は、胃酸の逆流や、異物誤嚥による食道外傷、化学物質の誤嚥などが原因となって発症します。
症状は、嚥下時の痛みや、食欲不振、吐出などですが、症状がハッキリしないことも多く、見逃されることも多い疾患であります。
確定診断には内視鏡が必要になりますので、今回の症例でも、あくまでレントゲン所見と臨床症状からの推測になります。
軽度の食道炎であれば、自然に治癒することもあるようですが、重度になると食道狭窄を起こし、治癒困難になることも少なくないため、注意が必要な疾患です。
と言うことでご相談いただいた症例です。
1歳前後と若いトイプードルの男の子で、基本的には元気で身体検査も問題ありません。
だけど、どうも食欲がイマイチで、御飯を食べてもすぐに吐いてしまうとのこと。
ここで重要なのが、「吐いてしまう」という症状が、「嘔吐:おうと」なのか「吐出:としゅつ」なのかを見極めること。
「嘔吐」というのは、「胃内の食物を吐きだす」ことで、一般的に「吐く」というのはこちらです。
一方、「吐出」と言うのは「食道内の食物を吐きだす」現象です。
食道の狭窄や閉塞、運動異常により、食物が胃内に流入せず、食道内に停滞。それを吐きだすのが「吐出」です。
嘔吐との見分けは、「横隔膜の収縮を伴うかどうか」です。
嘔吐の場合は、横隔膜が収縮し、「オエッ、オエッ」と苦しみながら吐きだします。
吐出の場合は、食道内に残った食物が、何かの拍子にゲボッ!と吐きだされるため、苦しむ様子や横隔膜が収縮する様子がみられません。
「嘔吐」の場合は、基本的には胃・腸の疾患として検査・治療を行うのですが、「吐出」の場合は食道疾患として考えなければならないため、これらの見極めは非常に重要になります。
特に、若いワンちゃんでは、先天的な心臓血管の奇形により、食道狭窄が発生する場合があるため、非常に重要なポイントになります。
ということで、こちらのワンちゃんでは「嘔吐」ではなく「吐出」が疑われましたので、食道の運動性を評価するため、レントゲン検査をおこないました。

バリウムを含ませたドッグフードを食べさせてからレントゲン撮影。
胃の中に飲み込んだ食物が写っていますが、左側の食道内にもフードが残っている様子が観察されます。
どうやら、完全な食道閉塞や狭窄はないようですが、食道の運動機能の低下が起きているようです。
そのため、食道内に飲み込み切れずに残った食物を、「吐出」しているようでした。
「食道炎」を疑う所見であります。
「食道炎」は、胃酸の逆流や、異物誤嚥による食道外傷、化学物質の誤嚥などが原因となって発症します。
症状は、嚥下時の痛みや、食欲不振、吐出などですが、症状がハッキリしないことも多く、見逃されることも多い疾患であります。
確定診断には内視鏡が必要になりますので、今回の症例でも、あくまでレントゲン所見と臨床症状からの推測になります。
軽度の食道炎であれば、自然に治癒することもあるようですが、重度になると食道狭窄を起こし、治癒困難になることも少なくないため、注意が必要な疾患です。
2015年07月24日 (金) | 編集 |
何カ月も咳が治まらないということで来院された症例です。
12歳と高齢の小型犬で、「心臓病から来る咳だろう」ということで治療をうけていたそうなのですが、なかなか良くならず、むしろ悪化してきているということでご来院いただきました。
聴診すると、たしかに心雑音が聴取されます。
高齢の小型犬では、「僧帽弁閉鎖不全症」を発症することが多く、12歳以上の小型犬では2~3割のワンちゃんがこの病気になっているというデータがあるほどです。
「僧帽弁閉鎖不全症」では、心拡大からの気管圧迫による咳や、肺うっ血からの咳など、咳症状を示すことが一般的です。
そのため、小型犬で咳を繰り返す症例では、たしかに鑑別診断のリストに挙げなければならない疾患ではありますが・・・
どうも、今回のワンちゃんでは様子が違います。
実は、高齢の小型犬が咳症状を示す際に注意をしなければならない疾患がもう一つあります。
「気管虚脱」であります。
この疾患も、高齢の小型犬に多く見られる疾患で、遺伝的な問題、加齢による気管組織の脆弱化などにより、呼吸時に気管がつぶれてしまう疾患です。
初期の段階では、ほとんど無症状ですが、進行すると難治性の咳や、呼吸困難を呈します。
この疾患を診断するのに重要なのは、「息を吸ったとき(吸気)」と「息を吐いた時(呼気)」の別々のタイミングでレントゲンを撮影することです。
「気管虚脱」に陥ったワンちゃんでは、気管内圧と胸腔内圧の関係により、呼吸のタイミングに合わせて気管がつぶれたり(虚脱)、拡張したりを繰り返します。
そのため、レントゲン撮影のタイミングによっては、疾患の見逃しにつながってしまうのであります。

吸気時(息を吸ったとき)に撮影した胸部気管。
気管は正常なように見えますが・・・

呼気時(息を吐いた時)では気管内の圧力が下がるため、気管がペシャンコに潰れてしまっています。
正常な気管では、気管軟骨がしっかりと支えているため、このように気管がつぶれることはありえません。
遺伝的な問題や加齢により、気管の支持構造が脆弱化するため、このように気管が形状を維持することができなくなっていまうのです。
実は、
○高齢の小型犬に気管虚脱が多い事
○気管虚脱では咳の症状が出ること
○気管虚脱の診断には、「吸気」と「呼気」の異なるタイミングでのレントゲン撮影が必要であること
は、獣医学生でも聞いたことがあるくらい基本的な知識であります。
ただし、人間の思い込みというのは怖いもので・・・
先に「心雑音があるから、心臓からの咳かな?」と先入観を持ってしまうと、それなりに経験のある獣医師でも、スッポリとこの気管虚脱を見逃してしまうことも少なくないのです。
12歳と高齢の小型犬で、「心臓病から来る咳だろう」ということで治療をうけていたそうなのですが、なかなか良くならず、むしろ悪化してきているということでご来院いただきました。
聴診すると、たしかに心雑音が聴取されます。
高齢の小型犬では、「僧帽弁閉鎖不全症」を発症することが多く、12歳以上の小型犬では2~3割のワンちゃんがこの病気になっているというデータがあるほどです。
「僧帽弁閉鎖不全症」では、心拡大からの気管圧迫による咳や、肺うっ血からの咳など、咳症状を示すことが一般的です。
そのため、小型犬で咳を繰り返す症例では、たしかに鑑別診断のリストに挙げなければならない疾患ではありますが・・・
どうも、今回のワンちゃんでは様子が違います。
実は、高齢の小型犬が咳症状を示す際に注意をしなければならない疾患がもう一つあります。
「気管虚脱」であります。
この疾患も、高齢の小型犬に多く見られる疾患で、遺伝的な問題、加齢による気管組織の脆弱化などにより、呼吸時に気管がつぶれてしまう疾患です。
初期の段階では、ほとんど無症状ですが、進行すると難治性の咳や、呼吸困難を呈します。
この疾患を診断するのに重要なのは、「息を吸ったとき(吸気)」と「息を吐いた時(呼気)」の別々のタイミングでレントゲンを撮影することです。
「気管虚脱」に陥ったワンちゃんでは、気管内圧と胸腔内圧の関係により、呼吸のタイミングに合わせて気管がつぶれたり(虚脱)、拡張したりを繰り返します。
そのため、レントゲン撮影のタイミングによっては、疾患の見逃しにつながってしまうのであります。

吸気時(息を吸ったとき)に撮影した胸部気管。
気管は正常なように見えますが・・・

呼気時(息を吐いた時)では気管内の圧力が下がるため、気管がペシャンコに潰れてしまっています。
正常な気管では、気管軟骨がしっかりと支えているため、このように気管がつぶれることはありえません。
遺伝的な問題や加齢により、気管の支持構造が脆弱化するため、このように気管が形状を維持することができなくなっていまうのです。
実は、
○高齢の小型犬に気管虚脱が多い事
○気管虚脱では咳の症状が出ること
○気管虚脱の診断には、「吸気」と「呼気」の異なるタイミングでのレントゲン撮影が必要であること
は、獣医学生でも聞いたことがあるくらい基本的な知識であります。
ただし、人間の思い込みというのは怖いもので・・・
先に「心雑音があるから、心臓からの咳かな?」と先入観を持ってしまうと、それなりに経験のある獣医師でも、スッポリとこの気管虚脱を見逃してしまうことも少なくないのです。
2015年07月17日 (金) | 編集 |
指先に「できもの」ができてしまったネコちゃんです。

右前足の薬指、爪のすぐ横のところにプックリと「できもの」できています。
このように、皮膚にしこりが出来た場合は、まず針を刺して内部の細胞を採取する「針生検」という検査をおこないます。
針をさすといっても、通常のワクチン接種の際などに使う針と同じくらいの太さの針なので、特に麻酔なども必要とせず、簡単にできる検査であります。
もちろん、針で細胞を少量取り出して調べるだけなので、確定診断はできませんが、「早めに手術で摘出したほうが良いのか?」、それとも「もう少し様子を見ることができるのか?」 を、大まかに判断することができます。
そうして採取した細胞がこちら。

赤紫の顆粒をたくさん含んだ細胞が採取されました。
「肥満細胞」という細胞です。
「肥満細胞」自体は、特別な細胞ではなく、皮膚の炎症部分などにも出現することのある細胞ですが、このように多数観察されるのは異常です。
これは、「肥満細胞腫」を疑う所見です。
「肥満細胞腫」は皮膚にできる腫瘍としては一般的で、ワンちゃんでは悪性であることが多く、注意が必要です。
一方ネコちゃんでは、比較的良性で、手術で摘出すれば完治することがほとんど。
とはいえ、今回は出来た場所が厄介です。
腫瘍を切除する場合、なるべく正常な皮膚を含めて切除するようにします。
腫瘍細胞の取り残しを防ぐためです。
ですが、今回のように指先に出来てしまうと、正常部分を含めて切除することが難しくなります。

こういったケースでは、指の切断が必要になることもあるのです。
※中途半端な切除では、再発を繰り返すため。
また、指先と言うのは、どうしても歩行の衝撃や、トイレの砂を掘り起こすなど、日常的に刺激が加わりやすい部分であるため、傷の治りも悪くなりやすく、なかなか厄介な部分であります。
ワンちゃんやネコちゃんの皮膚と言うのは、背中や肩、太ももなどであれば、皮膚が良く伸びるので大きめの腫瘍でもゆとりを持って切除することができるのですが、足先、指先や、顔周りなど皮膚を引っ張っても伸びにくいような部分は、切除が困難になることがほとんどです。
そういった部分にしこりを見つけた場合は、あまり様子を見ずに、早め早めに獣医師にご相談いただくことをお勧めいたします。

右前足の薬指、爪のすぐ横のところにプックリと「できもの」できています。
このように、皮膚にしこりが出来た場合は、まず針を刺して内部の細胞を採取する「針生検」という検査をおこないます。
針をさすといっても、通常のワクチン接種の際などに使う針と同じくらいの太さの針なので、特に麻酔なども必要とせず、簡単にできる検査であります。
もちろん、針で細胞を少量取り出して調べるだけなので、確定診断はできませんが、「早めに手術で摘出したほうが良いのか?」、それとも「もう少し様子を見ることができるのか?」 を、大まかに判断することができます。
そうして採取した細胞がこちら。

赤紫の顆粒をたくさん含んだ細胞が採取されました。
「肥満細胞」という細胞です。
「肥満細胞」自体は、特別な細胞ではなく、皮膚の炎症部分などにも出現することのある細胞ですが、このように多数観察されるのは異常です。
これは、「肥満細胞腫」を疑う所見です。
「肥満細胞腫」は皮膚にできる腫瘍としては一般的で、ワンちゃんでは悪性であることが多く、注意が必要です。
一方ネコちゃんでは、比較的良性で、手術で摘出すれば完治することがほとんど。
とはいえ、今回は出来た場所が厄介です。
腫瘍を切除する場合、なるべく正常な皮膚を含めて切除するようにします。
腫瘍細胞の取り残しを防ぐためです。
ですが、今回のように指先に出来てしまうと、正常部分を含めて切除することが難しくなります。

こういったケースでは、指の切断が必要になることもあるのです。
※中途半端な切除では、再発を繰り返すため。
また、指先と言うのは、どうしても歩行の衝撃や、トイレの砂を掘り起こすなど、日常的に刺激が加わりやすい部分であるため、傷の治りも悪くなりやすく、なかなか厄介な部分であります。
ワンちゃんやネコちゃんの皮膚と言うのは、背中や肩、太ももなどであれば、皮膚が良く伸びるので大きめの腫瘍でもゆとりを持って切除することができるのですが、足先、指先や、顔周りなど皮膚を引っ張っても伸びにくいような部分は、切除が困難になることがほとんどです。
そういった部分にしこりを見つけた場合は、あまり様子を見ずに、早め早めに獣医師にご相談いただくことをお勧めいたします。
2015年07月10日 (金) | 編集 |
歯科治療の様子です。
症例は、今年で10歳になったばかりのダックスフンド。
実は、2年ほど前にも一度歯石クリーニングをしたことがあるので、一見、歯は奇麗なように見えます。

ですが・・・
下唇をめくってみると・・・

下顎の前歯が重度の歯周病で全滅です。
残念ながら、この前歯はすべて抜歯となりました。
飼い主様は普段から、歯磨きをしていらっしゃったのですが、下唇をめくったことはなかったそうです。
そのため、他の歯はとても奇麗に維持されていましたが、下顎の前歯の部分だけが極端に歯周病が進行してしまっていました。
さらには、このワンちゃんは、普段からタオルを咥えて引っ張る遊びが好きなんだそうです。
タオルを引っ張る遊びをすると、前歯・前歯周辺の歯肉に負担がかかり、このように歯周病が極端に進行する症例が多いようです。
ワンちゃん・ネコちゃんお歯を健康に維持するためには、普段からしっかり唇をめくって、隅々まで観察することが大切です。
症例は、今年で10歳になったばかりのダックスフンド。
実は、2年ほど前にも一度歯石クリーニングをしたことがあるので、一見、歯は奇麗なように見えます。

ですが・・・
下唇をめくってみると・・・

下顎の前歯が重度の歯周病で全滅です。
残念ながら、この前歯はすべて抜歯となりました。
飼い主様は普段から、歯磨きをしていらっしゃったのですが、下唇をめくったことはなかったそうです。
そのため、他の歯はとても奇麗に維持されていましたが、下顎の前歯の部分だけが極端に歯周病が進行してしまっていました。
さらには、このワンちゃんは、普段からタオルを咥えて引っ張る遊びが好きなんだそうです。
タオルを引っ張る遊びをすると、前歯・前歯周辺の歯肉に負担がかかり、このように歯周病が極端に進行する症例が多いようです。
ワンちゃん・ネコちゃんお歯を健康に維持するためには、普段からしっかり唇をめくって、隅々まで観察することが大切です。
2015年07月02日 (木) | 編集 |
7月に入りましたが、まだまだ雨の予報が続いていますね。
梅雨時から夏になると、動物病院では皮膚疾患が増えてまいります。
その中でも、特に多いのが「外耳炎」。

左耳の外耳炎
耳の皮膚表面が荒れて、黄色いカサブタがたくさんついています。
日本の高温多湿の気候では、耳道内の脂分の分泌が増えることで、外耳炎が増えると考えられています。
中でも、コッカースパニエル系の犬種は、もともと体質的に耳道内の脂分の分泌が多い為、特にこの季節は外耳炎になりやすくなっています。
また、パグやフレンチブルドッグといった短頭種では、同サイズの小型犬に比べて耳道が狭い傾向にあるため、これらの犬種も外耳炎を起こしやすいとされています。
その他にも、「外耳炎」を繰り返す症例では、食物アレルギーを基礎疾患として持っているケースが少なくなく、単に外耳炎としての治療だけではなく、アレルギー性疾患を視野に入れて診断をしなければならないことも少なくありません。
外耳炎の発生には、その犬の耳道の太さや、皮脂の分泌量なども関わっています。
特に、外耳炎を繰り返している症例では、慢性的な炎症の為に耳動が狭まり、耳垢の分泌も増えるため、ますます外耳炎を起こしやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
たかが外耳炎と思うかもしれませんが、慢性化した症例では治療に数カ月~1年以上かかることもありますし、場合によっては完治しないこともあります。
外耳炎の初期症状は、「頭を掻く」「耳を振る」といった症状です。
そういった症状が見られたら、早めに獣医師にご相談くださいませ。
梅雨時から夏になると、動物病院では皮膚疾患が増えてまいります。
その中でも、特に多いのが「外耳炎」。

左耳の外耳炎
耳の皮膚表面が荒れて、黄色いカサブタがたくさんついています。
日本の高温多湿の気候では、耳道内の脂分の分泌が増えることで、外耳炎が増えると考えられています。
中でも、コッカースパニエル系の犬種は、もともと体質的に耳道内の脂分の分泌が多い為、特にこの季節は外耳炎になりやすくなっています。
また、パグやフレンチブルドッグといった短頭種では、同サイズの小型犬に比べて耳道が狭い傾向にあるため、これらの犬種も外耳炎を起こしやすいとされています。
その他にも、「外耳炎」を繰り返す症例では、食物アレルギーを基礎疾患として持っているケースが少なくなく、単に外耳炎としての治療だけではなく、アレルギー性疾患を視野に入れて診断をしなければならないことも少なくありません。
外耳炎の発生には、その犬の耳道の太さや、皮脂の分泌量なども関わっています。
特に、外耳炎を繰り返している症例では、慢性的な炎症の為に耳動が狭まり、耳垢の分泌も増えるため、ますます外耳炎を起こしやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
たかが外耳炎と思うかもしれませんが、慢性化した症例では治療に数カ月~1年以上かかることもありますし、場合によっては完治しないこともあります。
外耳炎の初期症状は、「頭を掻く」「耳を振る」といった症状です。
そういった症状が見られたら、早めに獣医師にご相談くださいませ。
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