町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
僧帽弁閉鎖不全症の治療オプション
2015年05月29日 (金) | 編集 |
小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)ですが、一般的には内服薬でコントロールすることになります。



僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内にある「僧帽弁」という弁の開閉に不具合が生じるため、血液循環がスムーズにいかなくなる病気です。



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僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの心臓内の血液流速の測定。
eVの値は正常なら0.8~1.0m/sくらい。
この症例は1.17m/sと異常値を示しています。




治療の基本は内服薬。



血圧を調節したり、血管の太さを調節したり、心臓の収縮力を調節したり・・・そういったお薬を使うことで、弁の開閉が上手くいかないながらも、血液循環をうまくコントロールしていくことになります。





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上記の症例に内服薬を投与した後の計測値。
eVの値は正常範囲にコントロールされています。0.86m/s






ここで肝心なのが、いくら内服薬を使っても、異常を起こした「僧帽弁」そのものが治るわけではないということ。



徐々に弁の問題は進行し、内服薬では血液循環をコントロールしきれなくなっていきます。






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治療開始から半年程経過。
様々なお薬を投与し、血液循環のコントロールに努めてきたが、コントロールしきれなくなった状態。
eV 1.37m/s と言う値は、いつ肺水腫(呼吸困難)を起こしてもおかしくない状況です。




このように内服薬でコントロールしきれなくなった症例は、あとは出来る限りの対処をしながら、祈るのみ・・・ということになってしまうのですが・・・




近年では、小動物医療でも心臓手術の技術が発達してきまして、この「僧帽弁閉鎖不全症」を手術で治療することができます。



もちろん、当院でできるような手術ではありませんから、その様な場合は専門の病院をご紹介することになります。
JASMINEどうぶつ循環器センター


僧帽弁閉鎖不全症は、内服薬だけではコントロールが難しい、もしくは難しくなっていくと予測される症例に適用されます。



内服薬だけでも生涯十分にコントロールできるような症例には適用されません。



さて、手術で治療するといっても、体重5kg前後の小型犬の心臓を開いて、直径1~2cm程度の小さな弁にアプローチをする手術です。



リスクの高い手術になりますし、費用もものすごくかかります。(150万円~というような金額です。)



ですが、そういった諸々のハードルを乗り越えて手術が成功すると、内服薬ではコントロールできず、従来の治療法では死を待つしかなかったような症例でも、劇的に改善することができます。




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上記の症例の外科手術後の計測値。
eV 0.9m/sと正常範囲に戻り、心臓内での血液循環も大きく改善されています。




リスクも大きく、費用的な負担も大きな治療法ですので、どなたにでもお勧めできる治療法というわけではありませんが、近年ではペット医療でもこのような高度な治療を行うことができるようになってきているのです。


本日のわんにゃんドック
2015年05月25日 (月) | 編集 |
本日ご紹介するのは、MIX猫のムーちゃんです 




今月で13歳になる男の子です 





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眼球と瞼に先天的(?)な奇形があって眼は見えませんが、ちゃんと臭いと音で周囲の様子をうかがって、不自由なく生活しています 



数年前から腎臓に気になる点がありますので、定期検診をかねてのわんにゃんドックでした 



当院では、ワンちゃん・ネコちゃんの年齢や持病の有無にあわせても、定期的なわんにゃんドックをお勧めしております 

重度の歯槽膿漏
2015年05月18日 (月) | 編集 |
12歳の小型犬の歯周病治療の様子です。



今年の一月頃から、膿状の鼻水が出て、いびきや呼吸障害に悩まされているということで来院された症例です。



内服薬での治療を続けていたそうなのですが、なかなか改善がなく、元気も食欲もなく寝てばかりということでした。



この話だけを聞くと、「呼吸器疾患かな・・・?」と言う気がしますが・・・



この症例は歯周病でした。



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全体的に重度の歯石付着と歯周病を患っていたのですが、特に奥歯が酷い状態。



ワンちゃんの歯の根っこ部分のすぐそばには、鼻の穴があります。


両者を隔てるのは、薄い骨の隔壁だけで、歯周病が酷い場合はこの隔壁が壊死し、歯根部と鼻の穴がつながってしまいます。



これを「口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)」と呼びます。



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鼻からでてくる膿状の鼻水は、歯周病の影響なのです。




こんな状態では、食欲もでませんよね。




この奥歯は、もう根っこがグズグズで温存することは不可能ですので、抜歯します。




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歯を抜いた状態。


ぽっかりと大きな穴が開いて、ヘドロのような汚れがつまっています。通常であれば、抜歯をしてもこんな大穴は開きません。


これは、歯周病で歯根周囲の歯肉や骨が壊死して、鼻の穴までつながる大穴があいてしまった状態なのです。



そして、この部分を洗浄すると・・・


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金属製のゾンデを左奥歯のあった場所に挿入し、洗浄液で洗浄している様子。
○で囲った部分の右の鼻の穴から洗浄液が流れ出ています。






「左」の奥歯の部分を洗浄しているのに、「右」の鼻の穴から洗浄液が出てきます。



つまり、歯周病の壊死病巣は歯の周辺だけではなく、鼻の奥まで広がり、左右の鼻の穴が貫通するくらいに重度に広がってしまっているということです。



イメージとしては、左右の奥歯と鼻の奥全体が壊死してグズグズになってしまった状態。



そのため、いびきや呼吸障害などの症状が出ていたわけです。





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ちなみに、右はこのような状態です。




歯を抜いたところ。



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鼻の奥まで穴がつながっている様子が良くわかります。





さて、これらの大穴ですが・・・これをふさがないことには、食事やお水が全部鼻の中に流れて行って大変なことになります。



とはいえ、歯茎の肉も壊死して消失しているので、普通にふさぐことはできません。



そこで、頬の粘膜を剥離し、フラップ(垂れ幕)状にしたものを移植してこの穴をふさぎます。



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今回の症例は病状の進行が酷く、すでに食欲不振に陥ってからの経過も長かった為、体は痩せ衰えて栄養不良の状態でした。



麻酔のリスクも高く、病状の進行も酷く、色々と不安の多い手術でしたが、何とか上手くいき、元気・食欲もかなり改善したようです。


くしゃみや鼻づまりの症状はまだ残っているようですが、こればかりは完全に回復することは難しいかもしれませんね。

本日のわんにゃんドック
2015年05月18日 (月) | 編集 |
本日ご紹介するのは、MIX犬のちー坊ちゃん 




今年で4歳になる男の子です 




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ケージから出す時などは、しっぽを振って元気よく出てきてくれるのですが、診察台の上は苦手のようですね・・・ 




耳を伏せてしまって、瞳はウルウル・・・とっても悲しそうなお顔になってしまいました 




まだ4歳と若い事もあって、今回は一番基本的な健診コースである「わんにゃんドックA」での健診でした。



基本的な健康状態に問題はありませんでしたが、だいぶ歯石がついていたので、後日歯石クリーニングを行うこととなりました。



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歯石の付着具合は中程度で、まだ歯周病など進行していませんが、この段階でクリーニングをしておくことが大切 




歯周病が進行してしまってからでは抜歯が必要になりますし、麻酔時間も長く、本人への負担も大きくなります。



歯石の付着が少なく、歯周病が進行していない段階であれば、麻酔も最小限で、本人への負担も少なく済むのです。





けっこう奥にあります
2015年05月14日 (木) | 編集 |
ワンちゃんの奥歯って、思いのほか奥の奥にはえています。


こちらは、上顎の後臼歯と呼ばれる部分。



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出血があるのは、すでに歯周病になっているから。



全身麻酔下で、これだけ大きく口を開いて、ほっぺたをめくらないと見えないような位置にあります。




次は、下顎。



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一番奥に小さな歯が見えますね。



本来なら、この奥にもう一本あるのですが、写真のワンちゃんは顎が小さいのではえてこなかったみたいですね。



これらの歯は、自宅で歯磨きをするのはほぼ不可能でしょう。



小型犬では、顎が小さい為これらの歯が密集してはえることになります。



そうすると、歯と歯の隙間が狭くなり、食べカスが溜まりやすくなります。



そのため、飼い主様が気がつかないところで歯周病が進行し、口臭などで異常に気がついた時には、すでに重度の歯周病に陥っていることも少なくありません。



歯を健康な状態に保つためには、理想的には年に2~3回の歯石クリーニングが必要です。



ただ、ワンちゃん・ネコちゃんでは歯石クリーニングには全身麻酔が必要になるため、費用的に難しい部分もあります。



ですので、出来れば年に1回。最低でも3年~5年に1回くらいの歯石クリーニングをお勧めしています。

本日のわんにゃんドック
2015年05月11日 (月) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 




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トイプードルのラッキーくん 




2歳の男の子です 




ラッキー君、とっても飼い主様に大切にされていまして、いつもきれいにトリミングされていますし、わんにゃんドックも年に2回のペースでお受けいただいて、健康管理は万全 




当院では、基本的には「最低でも年に1回の健康診断を!」ということで、わんにゃんドックをお勧めしておりますが、人間よりも寿命の短いワンちゃん・ネコちゃんでは半年に1度の健康診断でも決して過剰ではありません。



ワンちゃん・ネコちゃんの寿命は、人間のおよそ1/5程度。



ということは、人間の5倍のスピードで老化が進むと考えてもいいくらい。(実際にはそれほど単純ではありませんが・・・)




もちろん、費用もかかるのでわんにゃんドックまでは無理でも、簡単な身体検査くらいは年に2~3回は受けていただきたいものです 


猫の尿道閉塞
2015年05月08日 (金) | 編集 |
ネコちゃんの尿道閉塞を治療している様子です。


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写真中央がネコちゃんのお尻です。


お顔の方は、ネコちゃんを落ち着かせるために、タオルをかけて隠しています。



「尿道閉塞」はオス猫に多い疾患です。


オス猫の尿道は、わずか1mm程度と非常に細く、細かな尿結晶や膀胱炎の際に生じた血液等が塊になって尿道を詰まらせてしまうことがあります。



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尿結晶と血液細胞



尿道が詰まってしまうと、当然ですがおしっこが出なくなりますからネコちゃんは何度もトイレに行くようになります。


そのたびに一生懸命いきむのですが、おしっこは全く出ないか、出てもポタポタ程度。


この様子を見た飼い主様は、「便秘かな?」と勘違いされることも多いので、注意が必要です。


便は数日でなかったところで、命にかかわることはありませんが、おしっこが一日以上出ない状態が続くと、急性腎不全を起こしたり、最悪の場合、膀胱破裂を起こして命を落とすこともあります。



尿道閉塞を起こした症例では、まず「尿道カテーテル」という細い管を尿道に通して尿道を開通させます。




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尿道にカテーテル(管)を通したところ。カテーテルそのものは太さ1mm程度と非常に細いものです。
そこに注射器を取り付けて、膀胱内に溜まった尿を吸い出していきます。
膀胱炎を起こしているため、真っ赤な尿が出ることも。



カテーテルで尿道を開通させた後は、飲み薬と治療食の処方だけですぐに帰宅できる場合もあれば、急性腎不全を起こしているために数日間の入院が必要になる場合もあります。


尿道が閉塞してから、来院されるまでの時間が短ければ短いほど、治療も簡単に済みます。

本日のわんにゃんドック
2015年05月03日 (日) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 



まずは白黒猫のユキくん 




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今年2歳になったばかりの男の子です 



ちょっと警戒心が強いネコちゃんで、飼い主様は検査中に嫌がったりするかも・・・と御心配されていましたが・・・


終始緊張気味の様子ではあったものの、検査自体はとっても大人しく頑張ってくれました 



続いて、同じお宅のネコちゃんで、こちらは検査当日が3歳の誕生日だったセラちゃん 




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青い瞳がとっても奇麗な女の子です 



セラちゃんもちょっと緊張気味ではありましたが、スムーズに検査を進めることができました 




当院では、皆様の大切な愛犬・愛猫の健康管理の一助として、定期的な健康診断「わんにゃんドック」をお勧めしています