町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
拡張型心筋症 1
2015年02月26日 (木) | 編集 |
小型犬としては珍しい心臓病の症例です。



「1週間ほど前から余り動きたがらなくなった。昨日からは食欲も無くなってしまった」



と言うことで来院された症例です。



症例は、今年15歳になるミニチュア・ダックスフンドの男の子。


こちらのワンちゃんは、昨年の11月に一度、椎間板ヘルニアの疑いで治療した経歴があるので、電話でお話しを伺った時点では、「また腰痛かな・・・」と思っていたのですが・・・


実際に診察を始めると、意識はあるものの、ぐったりとして、立ち上がることすらできません。



どうも呼吸状態がおかしいようです。



一生懸命胸を動かして呼吸をしている(努力性呼吸)のですが、聴診器を当てても呼吸音があまり聞こえません。



本来、これだけ大きく胸を動かして呼吸をしていれば、聴診器をあてた際に通常よりも大きな呼吸音が聞こえるはずなのですが・・・


こういったときに、一番に疑われるのは、「胸水」です。




すぐに、超音波・レントゲンで胸の内部を確認します。



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※重度の呼吸困難症例では、レントゲン撮影は負担になることがあるため、省略する場合があります。



超音波では、案の定、胸の内部に液体貯留を示す所見がありました。レントゲンでも同様です。



正常なレントゲンと比べると一目瞭然ですが、胸の内部に液体が貯留(胸水)しているため、心臓の陰影が覆い隠されて見えなくなってしまっています。



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別症例のレントゲン。心臓の陰影がハッキリと解ります。





胸水が溜まる原因は、心臓病、腫瘍などが一般的ですが、まずは原因究明よりも一刻も早く胸水を抜いてあげなければなりません。



胸水が溜まると、肺が圧迫されて膨らむことができなくなるため、重度の呼吸困難をおこします。



そのため、色々な検査をするために、体を押さえたり、ひっくり返したりすると、呼吸状態のさらなる悪化を招き、最悪の場合、呼吸停止・心停止につながる場合があります。



胸水が確認された症例では、その他の追加検査は後回しにして、まずは胸水を抜き、呼吸状態を改善するのが最優先なのであります。



今回の症例も、すぐに胸水を抜き、酸素室での管理となりました。
※胸水は、ほとんどの症例で無麻酔で、肋骨の間から注射針を刺して抜くことができます。




つづく・・・






内科学アカデミーへ
2015年02月24日 (火) | 編集 |
22日の日曜日は、休診をさせていただき、横浜で開催されていた学会に出席してまいりました。




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昨年は、ちょうど2月の大雪に重なったこともあり欠席。2年ぶりの参加でございます。




学会では、専門医による各分野のセミナーや、症例検討会、研究発表などが開催されます。




私も、学生の頃には研究発表を行いましたが、臨床獣医師になってからは、もっぱらセミナーや症例検討会での情報収集を主な目的として参加しております。




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企業の展示ブースでは、最新機器や、新薬などの展示も行われております。





日頃は獣医学雑誌などで最新の情報を得るようにしておりますが、雑誌ですと、どうしても執筆・翻訳から出版までのタイムラグがあります。



その点、学会では専門医が今持っている「本当に最新」の情報に触れることができるので、非常に勉強になります。



また、各専門医に日頃の疑問を質問したり、自分自身の症例についてアドバイスをいただいたりすることもできます。
これも雑誌を読んでいるだけでは得られない、貴重な経験になるのであります。



今年も、たくさん新しい情報を仕入れてきて、本日の手術でも早速新しい方法をとりいれ、非常に良い結果が得られております。




病院を休診して参加することになりますので、皆様方にはご不便・御迷惑をおかけしてしまうことになるのですが、より質の高い獣医療を御提供するには、どうしても必要になってまいりますので、ご理解いただければと思っています。

本日のわんにゃんドック
2015年02月20日 (金) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 




本日ご紹介するのは、三毛猫のまるちゃん 



もうすぐで9歳になる女の子です 



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こちらのまるちゃんの飼い主様は・・・




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病院の待合室でもおなじみの、マンガ「僕とシッポと神楽坂」の作者、たらさわ みち様です 



独立開業したばかりの、若い獣医師さんのお話し。




病気のことばかりではなく、神楽坂という趣ある土地を舞台にした、人と人との触れ合いを描いた、心温まるお話であります 



とはいえ、獣医師の活躍するお話ですから、獣医療に係わる部分は、一般の読者の方にもわかりやすく、専門的なポイントをしっかりと押さえた描き方がされていますよ 



こういった、獣医学的な部分は、ところどころ私もアドバイスをさせていただいていたり・・・当院のブログでとりあげたような症例がちょろっと出演していたり・・・します 



たらさわ様は、勤務医時代に先代猫ちゃんの診察を担当させていただいたことがあり、それ以来のお付き合いであります。




当時の様子は、こちらの漫画に掲載されています 



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対談の様子が載っていたり・・・




大切な「家族」が病気になり、徐々に衰え、そしてこの世を去っていく・・・



そんなときに、「家族」として、どのように見守っていくのか・・・



たらさわ様ご自身の御経験を漫画にされたもので、当時、診療に関わった私としても、いまでもホロリとくる、愛情こもった作品であります。




さて、今回のドックは、もちろんまるちゃんの健康診断ですが・・・



それに加えて、最新刊の巻末に掲載するための取材もかねての検診でありました。



ですので、あれこれ検査をされているまるちゃんの様子を、飼い主様と編集者さんの二人がバシバシ写真をとっていたりと・・・



まるちゃんとしては、「写真撮ってないで助けて~!」 というような検査風景でありました 




子宮疾患
2015年02月14日 (土) | 編集 |
年に何度かとりあげている疾患ですが・・・



子宮の病気です。



子宮蓄膿症




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陰部からの膿の排出




発情後1~2カ月の時期におきやすい疾患で、子宮内に感染症を起こし、内部に大量の膿がたまってしまう病気です。



陰部から膿状のオリモノが排出されますが、ワンちゃんによっては自分でなめとってしまうので、飼い主様が膿に気づかないことも少なくありません。



中高齢の未避妊のワンちゃんに多い疾患で、発情期後の子宮は、ホルモンバランス等の影響で感染症を起こしやすくなっており、そのため、発情後の1~2カ月くらいの間に発症することがほとんどです。



膿の排出以外に、元気食欲の低下、感染症の影響から水を良く飲み、おしっこが多く出るといった症状がみられます。



この飲水量の変化や尿量の変化と言うのは、子宮蓄膿症以外にも肝疾患や腎疾患にみられる症状ですので、普段から気をつけていただくと良いと思います。




治療の基本は外科処置です。



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卵巣につながる卵巣動静脈の結紮。中高齢のワンちゃんでは、動脈周辺に大量の脂肪が蓄積しているため、血管の結紮が困難になります。




膿の溜まった子宮を丸ごと摘出します。(卵巣も同時摘出)




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膿がたまった子宮はもろく、手術中に破裂し膿が漏れ出す危険があるため、慎重に作業しなければなりません。



体重7kgの小型犬でも、膿がたまって膨らんだ子宮を支えるには両手が必要なほど。




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ワンちゃんの子宮は、左右に二股に分かれた構造をしています。双角子宮と言います。



早期発見できれば、手術ですっかりなおる病気ですが、治療が遅れると、貯留した膿の影響で、多臓器不全をおこすなど命にかかわることも珍しくない病気です。



避妊手術をしていない女の子では、日頃から発情期の様子や、オリモノの様子に気をつけていただくことが大切です。


歯周病の抜歯治療 2
2015年02月10日 (火) | 編集 |
前回ご紹介した症例の続きです。



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重度歯周病の症例です。


部分的な歯石クリーニングや飲み薬で治療を受けていたようですが、積極的な抜歯治療がされなかったため、重度の歯周病になってしまっていました。


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歯周病による炎症が舌にも広がっています。



歯と触れ合う両サイドの部分が、真っ赤に腫れてしまっています。



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奥歯の周辺も、頬の粘膜が酷く腫れあがっています。


歯そのものは白く奇麗に見えますが、歯根部の歯周病が治療されていないために、このように周辺の頬粘膜にまで炎症が広がっています。



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反対側も同様です。



歯石のクリーニング処置と言うのは、歯の表面を磨くだけでは不十分です。



歯と歯茎の境目である歯肉溝部分のクリーニングが的確になされていなければいけません。


そうでないと、今回の症例のように、歯の表面は一見奇麗でも、歯根部での歯周病がどんどんと進行していくことになります。



一部のトリミングショップや、動物病院で「無麻酔での歯のクリーニング」がおこなわれているようですが・・・


「無麻酔での歯石クリーニング」では、歯肉溝部分の的確なクリーニングは不可能です。


前歯や奥歯の一部など、ほっぺたを軽くめくって見えるような部分の歯は奇麗になったようでも、歯の裏側や、麻酔をかけて大きく口を開けなければアプローチできなような奥歯に関してはまともに処置できるはずがないのです。



そのため、一見すると歯が奇麗なように見えて、飼い主様も「クリーニングしてもらったから大丈夫」と思っていても・・・


見えない部分でどんどんと歯周病が進行し、手遅れになってしまうのです。



実際、日本獣医師会や日本小動物歯科研究会でも「無麻酔での歯石クリーニング」の実施については否定的で、全身麻酔下での的確な歯科処置が推奨されています。



当然、当院でも特殊なケースを除いて、基本的には麻酔下での処置とさせていただいております。



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結局ほとんどの歯を抜かなければならない状態でした。



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一見すると奇麗な歯でも、抜歯してみると根っこ部分がひどく汚れているのが解ります。




計29本の抜歯です。(一部の歯は分割して抜歯しています)



3時間に及ぶ、長時間の手術となりました。



人間の歯科治療の場合、治療は何度かに分けておこなうことが一般的です。


皆さんもご経験がおありだと思いますが、15~30分程度の治療に何回か通って治療しますよね。



ですが、動物の歯科処置では全身麻酔を行う都合上、すべての処置を一度に終わらせなければなりません。どうしても長時間の麻酔処置になってしまうのです。




そのため、歯周病が酷ければ酷いほど、麻酔時間は長時間になり、動物に対する負担は大きくなります。




そうならないためにも、早い段階に的確な歯科処置(もちろん麻酔下で)を行うことが、結果的には動物の負担を軽くするのです。



早期での歯科処置であれば、一回の処置時間も短くなりますし、また処置そのものに伴う痛みも少ないので、麻酔の量も少なくて済みます。


人間の虫歯治療でも、初期の段階であれば1~2回の通院で済みますが、酷いときには5回も6回も通院しなければならず、麻酔もたくさん必要になります。処置そのものも大がかりになっていきますよね。




こういったことを、しっかりと獣医師が理解し、飼い主様にご理解いただきながら治療を進めていくことが大切なのであります。

歯周病の抜歯治療 1
2015年02月05日 (木) | 編集 |
「2年ほど前から、お口が気になって治療を受けてきたが、良くならない」



と言うことで、昨年11月末にご来院いただいた症例です。



12歳のマルチーズの女の子。



拝見すると、お口の周りには涎や食べカスが固まった汚れが大量に絡まり、お口からは腐敗臭がしていました。



2年間ずっと、内服薬の処方と、定期的なお口の洗浄処置を受けてきたそうですが、洗浄処置後は多少良くなるそうですが、すぐにグチャグチャに汚れてきてしまうとのことでした。



一見すると歯石の付着も少なく、歯そのものは奇麗なように見えますが、歯根部を見ると、歯周病が進行し、歯肉周辺に食べカスや炎症産物等が多量に蓄積した状態でした。



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写真は手術時の写真の為、麻酔用の気管チューブが挿入されています。




飼い主様のお話からの推測ではありますが、どうやら抗生剤やステロイド剤を投与しながら、「お口の洗浄」なる処置を続けてきたようです。


「お口の洗浄」がいったいどんな処置だったのかはよくわかりませんが、歯石の付着がほとんど見られない様子からすると、歯石クリーニングに類した処置だったのだろうと推察されます。


ですが、歯石をいくら除去しても、歯周病に陥ってしまった歯を抜歯しないまま残しているため、いつまでも完治することなく、むしろ時間の経過とともに悪化してしまったものと考えられます。



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ご覧のように、歯の表面は奇麗になっていますが、歯根部には大量の膿と食べカスが付着し、これが歯周病をさらに悪化、進行させてしまっています。





歯周病と言うのは、「住宅街の火事」に似たところがあります。



初めは一本の歯が歯周病になったとしても、それを放置していると、隣近所の歯にも炎症が広がり、連鎖的に歯周病が広がっていってしまうのです。



このような状態になってしまうと、いくらお口を洗浄しようが、お薬を飲もうが、どうにもなりません。



歯周病に陥ったすべての歯を抜歯しなければなりません。



それにしても・・・2年間もの間、このような状態で過ごすのは、ワンちゃんにとっても飼い主様にとっても、とても長くお辛い時間だったことと思います。



いったい、「お口の洗浄処置」というのはいかなる処置だったのか、いろいろと疑問に思う点もありますが・・・



当院では、このような症例は、全身麻酔下での歯科処置を行い、すべての歯を抜歯治療することになります。
(もちろん事前の検査で、全身麻酔での処置が可能であると判断された症例に限ります。)



・・・でないと、治りません。



つづく・・・

本日のわんにゃんドック
2015年02月03日 (火) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 




本日ご紹介するのは、トイプードルの小町ちゃんです 



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昨年のクリスマスイブに5歳になったばかりの女の子です 




2011年から毎年ドックを受けてくださっているので、今回で5回目のわんにゃんドックです 



今までは年齢も若いということで、一番シンプルな内容のわんにゃんドックAを受けていただいていましたが、今年は5歳になったということで、一度しっかりと詳しく見ておきましょうということで、わんにゃんドックCでの精密検査となりました 



当院では、検査の内容によって、A~Cの3つの健康診断コースを設定しています。


1番シンプルな内容の「わんにゃんドックA」は1~5歳と若い年齢のワンちゃん・ネコちゃんにお勧めのコースです。



わんにゃんドックBは5~10歳程度の中年齢のワンちゃん・ネコちゃんにお勧め。


わんにゃんドックCは腹部超音波検査など、より詳細に調べることができるコースで、10歳以上の高齢ワンちゃん・ネコちゃんにお勧めのコースです 


年齢設定は一つの目安で、それぞれのワンちゃん・ネコちゃんの健康状態やご予算などに応じて、最適なコースをお選びいただくことができます