町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
本日のわんにゃんドック
2015年01月30日 (金) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です。




本日ご紹介するのは、イタリアングレイハウンドのタラちゃん 




今月で3歳になったばかりの男の子です 



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短く、ツルツルとした手触りの毛皮と、しなやかな体型が魅力の犬種ですね 



ただ、骨が細く骨折事故が多い犬種の為、高い段差からのジャンプなどは注意が必要なワンちゃんです 



今回は、3歳のお誕生日に合わせて、わんにゃんドックAで健康診断です 



すこし食生活上でのご注意がございましたが、基本的には健康状態良好 



元気にお家に帰って行きました 



当院では、皆様の大切な御愛犬・御愛猫の健康管理の一助として、定期的な健康診断「わんにゃんドック」をおすすめしています 

顎が開かないネコちゃん 2
2015年01月26日 (月) | 編集 |
レントゲン画像と臨床症状から、頭蓋内腫瘍を疑ったネコちゃんの続きです。



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青丸内が、右側に比べると白くぼやけています。腫瘍を疑う所見です。



部位としては、左上顎の付根、左眼球のすぐ下のあたりです。人間でいうと、ちょうど奥歯(おやしらず)のあたりといったところでしょうか。


できれば、お口を開けて中の状況を見たいところですが、このネコちゃんでは腫瘍の影響からか、口が全く開かなくなってしまっています。



そこで、これ以上の詳しい検査の為には、CTでの頭部断層像の撮影が必要と判断し、日本動物高度医療センターの腫瘍科での精密検査を依頼することといたしました。






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高度医療センターでのCT撮影
仰向けの状態での頭部断層像。鼻先が画面奥にあるような状態の画像。



CT撮影をすると、左顎周辺の組織が右に比べると白っぽくなり、腫れあがっているのが良くわかります。



左眼球も圧迫されて位置が変化してしまっています。右側は、眼球周辺や下顎の骨の周囲に黒く空洞があるのですが、左側(病変側)は、空洞部分が腫瘍組織で埋まってしまっています。



組織検査の結果、この腫瘍は悪性腫瘍(ガン)の可能性が高いということでした。



すでに、頭部の広い範囲にガン組織が広がっており、根治を目指すことは困難でした。



たとえば、腕や足が癌に侵された場合、最悪の場合、腕・足そのものを切断して根治を目指すことも可能ですが、頭部の腫瘍では切除可能な範囲が限られるため、治療が困難なことがほとんどです。



また、仮に切除可能でも、外観が大きく変わってしまったり、採食などの日常の行動にも障害が出ることも少なくないため、積極的な治療が難しい部分であります。



今回のネコちゃんでは、すでにガンによって顎の動きや、頬の神経に麻痺が生じていたため、食事をとることが非常に難しくなっていました。


高度医療センターでは、根治を目指すことは難しいが、採食を補助するための下顎部分切除や、胃瘻チューブの設置による延命治療が飼い主様に提案されましたが、飼い主様は完治することができないのであれば、大きな外科手術は望まれないということでした。



そこで、現在はわずかに開くの口の隙間から流動食を与えつつ、補助的な点滴や鎮痛剤を使った疼痛管理など緩和療法を行って、残された時間をできるだけ御家族のもとで、少しでも気分よく過ごせるようにサポートを続けている状況であります。




動物の医療では、動物自身が症状を言葉で訴えることができないため、病気の診断・発見が困難になることが少なくありません。



今回のように、「口が痛くて開かない」という症状でも、歯牙疾患・口腔疾患だけにとどまらず、様々な診療科にまたがる広い視野を持って、詳細な問診・身体検査を行わなければならないのです。




最後に、大切なネコちゃんが、病気でつらい思いをされている中、「様々な病気の知識を発信し、ワンちゃん・ネコちゃんの病気の早期発見に少しでもつなげたい」という当ブログの趣旨を御理解下さり、今回の症例紹介にご協力くださったネコちゃんの飼い主様に、心よりお礼を申し上げます。

顎が開かないネコちゃん 1
2015年01月22日 (木) | 編集 |
昨年末から診させていただいている症例です。



10歳になったばかりのネコちゃんなのですが、昨年の9月頃から元気や食欲が無くなってきたということでした。


初めはネコ風邪だろうという診断で、抗ウイルス剤を投与して様子を見ていたそうですが、そのうち顎を気にしてひっかくようになり、当院に来院する頃には口が余り開かず、開けようとすると痛がるようになっていました。


抗生物質の投与や、鎮痛剤の投与で治療を続けてきたものの、改善が無いということで当院にいらっしゃいました。



さっそく、身体検査で詳しく調べていくと・・・


たしかに口を開こうとすると痛がる様子があります。そもそも、アゴの関節や筋肉が完全に固まっているようで、無理やり開こうとしてもアゴが開きません。


さらには左側の頬や鼻周辺に知覚麻痺がありました。



「顎が開かない」という症状から考えると、歯科疾患や顎の関節疾患(落下事故で顎をぶつけるなど)、筋肉の異常(咀嚼筋炎)、頭蓋内腫瘍をなどが疑われます。



ただし、歯科疾患や顎の関節疾患では、今回のように顎を開こうとしてもビクともしないというよりは、多少は動くのだけど、完全に開かない・痛みがあるといった症状になります。


今回の症例は、5mm程の隙間が開くだけで、それ以上には全く口が開かない状態です。


このような状態では、ワンちゃんの場合は「咀嚼筋炎(そしゃくきんえん)」を疑います。このブログでも一度ご紹介したことがございます。



ただし、「咀嚼筋炎」はちょっと特殊な病気で、ワンちゃんでは稀に見られるものの、ネコちゃんでの症例というのは聞いたことがありません。それに、「咀嚼筋炎」で知覚麻痺がでるということも普通は考えられません。



そうなると・・・腫瘍の可能性が一番高いか・・・?



とはいえ、身体検査だけではまだ解りませんから、頭部のレントゲンを撮影してみます。



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頭部レントゲン。画像の上が鼻の先。頭を上から見下ろす角度での撮影。



一見すると特に異常が無いように見えますが・・・



頭の構造と言うのは、基本的に左右対称であるということを念頭において観察すると、ある違いに気が付きます。




どうでしょう?


お解りになりますか?








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左側の鼻の穴の奥、眼窩周辺(眼球を支える構造)が白く影になっています(青丸で囲んだ部分)。


右側の同じ部分を見ると、三角形に黒い空洞があるのが解ります。これが正常な状態。



この所見から、やはり左の鼻、口、眼の奥に何らかの腫瘍性疾患が存在することが疑われます。



この腫瘍と思われる部分のせいで、顎の動きが妨げられ、また左頬に分布する神経にも障害が出ているのだと考えられます。



ですが、これ以上詳しく調べるには、CT撮影と、腫瘍と思われる部分の組織検査が必要です。



そこで、高度医療センターでの精密検査を依頼することとなりました。


つづく・・・


食道に影が・・・ 2
2015年01月19日 (月) | 編集 |
さて、「ジャーキーを食道に詰まらせた疑い」のワンちゃんの続きです。




前回お話しした通り、「前日にジャーキーの塊を与えた」という病歴と、レントゲン画像から、「食道内異物=ジャーキーがつまった」を疑った症例です。



食道内異物のアプローチには、内視鏡が必要になります。内視鏡で除去できない場合は、開胸手術が必要になるため、当院の設備・人員では対処できません。



そこで、川崎市にある日本動物高度医療センターに依頼し、処置をお願することとなりました。



高度医療センターでも、病歴・レントゲン画像から、食道内異物だろうと判断し、すぐに全身麻酔下での内視鏡処置となったのですが・・・




なんとなんと、内視鏡で確認したところ、食道内にジャーキーではなく、「腫瘤」が見つかったということでした。



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左側が食道内の腫瘤。右は正常な状態の胸部レントゲン画像。



つまり、レントゲンに写っていた「食道内の影」は、ジャーキーの塊ではなく、「腫瘤」だったというわけです。



ジャーキーも腫瘤も、中身は「肉の塊」ですから、レントゲン上では区別がつきません。



「ジャーキーによる食道閉塞」という診立ては違っていましたが、結果的には腫瘤を見つけることができたので、「ジャーキーを食べた翌日に吐き気が続いた」のは不幸中の幸いとでも言えるでしょうか?



そこで、予定を変更して、この症例はCT撮影及び腫瘤の切除手術を行うことになりました。



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CT画像。食道の付根に大きな腫瘤が存在します。
術前にCT撮影を行うことで、腫瘤の正確な位置やサイズを確認。さらには、重要な血管や神経との関わりを知ることができるため、より安全にアプローチすることができます。



大きな手術でしたが、腫瘤は奇麗に切除することができ、病理検査の結果も「良性」だったということです。




年末のバタバタする時期に、二転三転する展開で飼い主様も御心配されたことと思いますが、結果的には上手く収まってくれた症例でした。

食道に影が・・・ 1
2015年01月15日 (木) | 編集 |
昨年末に、大騒ぎだった症例をご紹介いたします。


初めは、「朝から何度か吐いている」と言うことで来院された症例です。



詳しくお話を聞くと、前日に今まで与えたことの無いオヤツジャーキーを与えたとのこと。



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結構大きな塊のジャーキーです。



体重7キログラム弱の小型犬が丸のみすれば、食道に詰まってもおかしくない大きさです。



すぐにレントゲン撮影をすると・・・



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左側が検査当日の画像。右側は2014年4月に別の検査で撮影していた同じワンちゃんの画像。
食道と胃の境目の部分に3.7cm×3.4cmの影が見えます。2014年4月のレントゲンには写っていません。



食道と胃の境目の部分に、やはり異物を疑う影が・・・



食道閉塞を起こしやすい部分と言うのは、「心臓の真上」か「胃の直前」と相場が決まっています。


どちらも、食道が広がりにくい部分なので、異物が詰まりやすいのです。


今回の場合は、「胃の直前」に、まさしく「ジャーキーとほぼ同じ大きさの影」が写っていますので、これは「丸のみしたジャーキーが詰まってしまった」と考えるのが自然でしょう。




実は、食道内異物と言うのは、腸内の異物に比べて摘出が大変です。


内視鏡ですんなりと摘出できればよいのですが、そうでない場合は、開胸手術が必要になります。



開胸手術では、心臓や大動脈など重要な器官・血管・神経が食道周辺に集中しているうえに、胸骨や肋骨が存在するため、食道にアプローチするのが非常に大変になります。



そのため、当院の設備・人員では対応しきれませんので、すぐに川崎にある日本動物高度医療センターをご紹介することとなりました。


つづく・・・





尿結晶
2015年01月10日 (土) | 編集 |
先日は、「おしっこが漏れる」と思っていたら、実は「おしっこが出ていなかった」という症例をご紹介いたしましたが・・・


その様な泌尿器のトラブルは、冬場に増加する傾向にあるといわれています。


涼しく(寒く)なってくると、水を飲む量が減ってくるため、尿が濃縮しやすく、尿結晶などのトラブルが出やすくなると考えられています。


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ストラバイト尿結晶



尿の中には、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが含まれているわけですが、これらが動物の体質、病気、食生活などの影響によって濃度が変化し、結晶化してしまいます。


上の写真はマグネシウム系の結晶でストラバイト結晶と呼びます。「西洋型の棺桶のような形状」が特徴です。



これらは、初めは顕微鏡でようやく見えるような小さな結晶ですが・・・



膀胱内で長期間停滞すると・・・



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このように、大きな尿結石へと成長し、尿道閉塞や膀胱炎などの症状を引き起こします。



尿石の成分は様々ですが、ワンちゃん・ネコちゃんでは、ストラバイト(リン酸アンモニウウムマグネシウム)と呼ばれるマグネシウム系の結石か、シュウ酸カルシウムと呼ばれるカルシウム系の結石のどちらかであることがほとんどです。



いずれも、食生活の影響を大きく受けておりまして、煮干しや小魚類、豆腐などマグネシウムの多い食品をオヤツに食べていたりするとストラバイト。


ホウレンソウなどシュウ酸を多く含む野菜を食べていたり、カルシウムの多い食品を食べているとシュウ酸カルシウムが出現することがあります。


ですが、全く普通のドッグフード・キャットフードだけを与えていても、体質によっては上記のような尿石がみられることもありますので、決して油断はできません。

おしっこが漏れる?
2015年01月06日 (火) | 編集 |
年末年始と、バタバタしておりましてブログの更新がずいぶんとあいてしまいました 



新年のご挨拶が今頃になってしまいましたが、本年もスタッフ一同、よりよい診療をご提供できるように努力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます 



さて、先日の事ですが・・・



「飼い主様の解釈の仕方で、ずいぶんと変わってしまうんだな~」と思う症例がございました。



「12月の初め頃から、おしっこやウンチを漏らすことが続いている。」



と言うことでご来院いただいた症例です。


お話を伺うと、「ウンチをするような恰好をするのに、何も出てこないでオナラだけが出るようなことがある。トイレ以外の場所でも、ポタポタとおしっこを漏らしてしまう」と言うことでした。



たしかに診察台の上で普通に立っているだけなのに、ポタポタとおしっこが垂れてしまっています。


ちょっと嫌な予感がして、お腹を触診すると・・・



極度に拡張した膀胱と思われる、巨大なしこりが触れます。


そこで、レントゲン検査、超音波検査をおこなうと・・・



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左右は同じ画像。黄色い線で描いた部分が膀胱。お腹の半分を占めるほど、パンパンにおしっこが溜まっています。



やはり、重度に拡張した膀胱が確認されました。



つまり、おしっこを漏らしていたのではなくて・・・



1.なんらかの理由でおしっこが上手く出なくなる。(尿道閉塞など)

2.膀胱にパンパンに尿が溜まる。

3.苦しいので何とかおしっこを出そうといきむが、尿道が閉塞しているために、ポタポタとしか出ない。

4.おしっこを出そうとして気張っているうちに、ウンチやオナラまで出てしまう。

5.極度に膀胱が拡張し、圧力がかかっているため、あふれ出るようにおしっこがポタポタと漏れてきてしまう。


という状況がずっと続いていたわけです。


「おしっこを漏らしていた」のではなく、「おしっこが出せなくなった(そのためパンパンに溜まった膀胱からおしっこが漏れ出ていた)」のです。




おそらく、一般の飼い主様の感覚だと、「おしっこが出なくなる」ことよりも、「おしっこを漏らす」事の方が泌尿器のトラブルとしては思い付きやすいのだと思います。


「おしっこが出ない」となると、「急いで病院へ!」というお気持ちになりやすいと思うのですが、「おしっこが漏れる」という症状だと、元気食欲に問題が無ければ、ついつい様子を見てしまいがちなのだと思います。


たしかに、膀胱炎の時などは、「頻尿」といって、「何度も何度もおしっこをしようとするが、ポタポタとしか出ない」といった症状がみられるのが一般的です。つまり、「おしっこを漏らす」症状ですね。



ですが、同じような症状に見えて、今回のように実は「尿道が閉塞していた」なんていうケースも多々あるのです。
※上記の5番の症状が特徴的です。膀胱炎の場合は、おしっこが漏れるのはいきんだときだけで、何もしないで立っているだけなのにポタポタ垂れるというのはあまりありません。