町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
本日のわんにゃんドック
2014年10月30日 (木) | 編集 |
本日はわんにゃんドックのご紹介です 




まずは、MIX猫のノラちゃん 



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今年5歳になったばかりの男の子です。



ノラちゃんは5年前に、事故で骨盤としっぽを損傷。しっぽを切断する手術をおこなっています。



骨盤に歪みが残っているので、便秘しやすく、先日も浣腸処置の為に通院していただいていました。



今回はわんにゃんドックBでの健康診断  特に大きな問題もなく、元気に帰っていきました 



続いて、同じくMIX猫のみーちゃん 


ノラちゃんと同じく、今年5歳になる女の子です 


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ノラちゃんも、みーちゃんも、もとは野良ネコちゃんだったので、警戒心が強く、タオルでくるんで抱っこの状態での写真撮影となりました 



みーちゃんも、わんにゃんドックBでの健康診断でした 




当院では、大切な愛犬・愛猫の健康管理の一助として、<span style="font-size:large;">定期的な健康診断「わんにゃんドック」をお勧めしております 

気管支拡張症
2014年10月27日 (月) | 編集 |
慢性的な咳と、呼吸困難で来院された症例です。



心不全からの咳・呼吸困難と診断され、1か月ほど治療を続けていたそうですが、なかなか改善が無く、当院に来院された頃には酸素室での入院が必要になるほど、重度の呼吸困難に陥っていました。



ワンちゃんで呼吸困難と言うと、たしかに心不全が原因であることが多く、私も初見では心不全からの肺水腫(肺胞内に水分が貯留して換気不全を起こす)を第一に疑い、酸素室での治療を始めたのですが・・・


入院2日目に実施した精密検査の結果からすると、どうも違うようです。


レントゲン・心電図・血圧測定・超音波検査など詳しく調べましたが、心臓には明らかな異常が認められません。



どうやら、気管支の異常で呼吸困難を起こしているようです。


こちらの写真は、呼吸のタイミングに合わせて撮影したレントゲン画像です。

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左側は「吸気(息を吸う)」のタイミング。 右側は「呼気(息を吐く)」タイミング。


青い丸で囲った部分に気管支が写っているのですが、左の「吸気」のタイミングでは丸く拡張した気管支が写っています。


一方、右側の「呼気」のタイミングでは、気管支がひしゃげてつぶれている様子が写っています。


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拡大写真。青丸中心部の黒く円系になっている部分が拡張した気管支。右側の画像では、気管支がひしゃげて狭くなっている様子が観察されます。



「気管支拡張症」という病気です。


慢性的な炎症や感染症などが長期間続くと、気管支の壁構造が脆弱化してしまい、気管支に拡張や歪みが生じます。
※掃除機のホースの骨組やビニール部分が劣化してしまったようなイメージ。


気管支が拡張すると、呼吸ガスの通過障害や、気管支粘液の排出障害などが生じ、さらに病変が進行、悪循環していきます。



気管支壁構造が重度に障害され、脆弱化てしまった症例では、「呼気(息を吐く)」時の気管内圧の低下によって、上記画像の症例のように気管支がつぶれてしまいます。

※動物の呼吸運動は、胸部の筋肉運動により、肺を押し縮める力が働くことで息を吐き出します。
押し縮める力は気管支にも加わりますが、気管支壁が正常であれば、気管支は形状を保つことができます。
しかし、気管支拡張症では気管支の形状を保つことができずにつぶれてしまいます。




こうなると、息を吸うときには気管支が拡張して空気を吸い込むことができるものの、息を吐こうとした瞬間に気管支がペコリとひしゃげてしまって、上手く息を吐くことができなくなってしまいます。


ストローで呼吸をしている所を想像してみてください。息を吸うときは問題ないのに息を吐こうとするとストローがペシャっとつぶれてしまって息を吐き出すことができない状態です。



呼吸と言うのは、新鮮な空気を吸い込み、ガス交換の終わった空気を吐き出すことで成り立っています。



「息を吐くことができない」と言うことは、「息を吸うことができない」のと同じくらいに苦しい事なのです。




気管支拡張症は「不可逆性疾患」、つまり一度なってしまうと治ることが無い疾患です。



そのため、ここまで重度になった症例では、内服薬で症状を緩和することはできても、失われた気管支や肺の機能を取り戻すことはできません。



写真の症例のワンちゃんも、初診時よりは随分と状態は良くなったものの、御自宅での酸素室管理が欠かせない状態になってしまいました。



気管支拡張症は、早期に治療を始めれば、元通りに治ることはなくても、悪化を防ぐ事は可能です。



初期のうちは、「ときおり咳きこむ」、「痰がからむ」といった軽い症状しか見られないため、重症化するまで見逃されてしまうことが多い病気ですので、獣医師としても、飼い主様としても注意が必要な病気であります。

本日のわんにゃんドック
2014年10月24日 (金) | 編集 |
わんにゃんドックのご紹介です 



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今月2歳になったばかりのラッキー君 



トイプードルの男の子です 



今回は、歯石クリーニングの術前検査も兼ねたわんにゃんドックでした  



まだ2歳と若いラッキーちゃんですが、だいぶ歯石の付着が進んでいます。



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酷い歯周病になっているというほどでは無いのですが、歯周病になってからでは遅いですからね 



本来は、ワンちゃん・ネコちゃんも人間同様に、4~6か月に1度くらいのペースで歯石クリーニングをおこなうのが理想的だと考えます。



ですが、人間と違って、ワンちゃん・ネコちゃんの歯石クリーニングは、全身麻酔下でおこなう必要があります。
※ 麻酔なしで歯石クリーニングをおこなうケースもありますが、歯の裏側や、奥歯まで十分にクリーニングするには麻酔は不可欠です。


そのため、どうしても麻酔に対する不安であったり、費用的な問題で、「歯の汚れは気になるけど・・・なかなか、麻酔をかけてのクリーニングまでは・・・」となりがち。



費用に関しては、やはり全身麻酔をおこなう以上、ある程度の金額をいただかなければならないので、どうしようもないのですが・・・
※ 料金案内


麻酔の不安に関しては、皆さんが思っていらっしゃるほどではないと思います。



通常の歯石クリーニングだけであれば、処置時間はおよそ40分。 麻酔の準備段階から、麻酔覚醒までトータルで1時間程度です。



時間としては、一般的な避妊手術や去勢手術と同じくらいですが、歯石クリーニングは強い痛みを伴うことはないので、麻酔ガスの使用量としては、避妊手術や去勢手術よりも少なくすることができます。



また、麻酔だけでなく、臓器の切断を伴う避妊・去勢手術に比べて、生体への負担も少ない為、全体として、より負担も危険度も少ない処置となります。



重度の歯周病になってしまうと、歯石のクリーニングだけでなく、抜歯処置も必要になります。



特に、犬歯や臼歯(奥歯)の抜歯には、歯肉の切開や、歯槽骨を削るなどの外科的処置が必要になるため、処置時間が2時間を超えることも珍しくありません。




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2013年7月に治療した症例。合計17本の抜歯処置に、口腔鼻腔瘻(重度の歯周病で、口腔内と鼻腔内がつながってしまった状態)の治療で、4時間を超える処置となりました。






歯石を放置してしまい、高齢になった頃に、2時間~4時間もの長時間の麻酔をかけて治療をするよりは、若いうちから1年~3年に一度、軽めの麻酔で歯石クリーニングを定期的におこない、重度の歯周病を予防するほうが、体に対する負担としては軽いと考えられるのです。
※ 費用の面についても、重度の歯周病治療になると、通常の歯石クリーニングの2~4倍程度になってきます。



とはいえ、一番重要なのは、御自宅での日常的な「歯磨き」の習慣です。まずは飼い主様方には、そこから頑張っていただければと思います。

歯周病治療 Oくんのケース 2
2014年10月20日 (月) | 編集 |
さて、前回の続きです。


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歯周病で、左頬が腫れてしまったO君。



レントゲンの画像によって、左上顎臼歯(奥歯)の歯根部の病変が確認されたため、抜歯治療をおこなうこととなりました。



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歯根の周囲の黒く抜けたようになっている部分が歯周病病巣。





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問題の歯です。一見すると、少し歯石が付いているだけで、比較的奇麗に見えます・・・が、実際にはレントゲンからわかるように、根っこ周辺には大きなトラブルが生じています。




まずは、頬の内側を切開して、内部にたまった膿や炎症産物を除去します。


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O君の場合は、抗生物質や消炎剤を投与しても、腫れが全く引かないまま1か月以上経過していましたので、内部はゼラチン状に固まった物質が溜まっていました。


おそらく、繊維や血液が凝固したものと思われます。



続いて、問題の歯の抜歯です。



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今までも何度かお話ししてきましたが、ワンちゃんの臼歯はとても根っこが頑丈で、簡単には抜けません。



歯肉を切開し、歯槽骨(歯を支える顎の骨の一部)を削るなど、大がかりな処置が必要になります。



歯を抜いた後は、歯根部に溜まっていた膿や壊死組織などを奇麗に洗浄します。



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最後に、奇麗に傷口を縫い合わせて終了です。



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手術直後なので、まだ多少腫れが残っていますが、ずいぶんと良くなりましたね。



先日、術後2週間でのチェックをおこないましたが、腫れは奇麗に消えて、すっかりよくなっていました。


歯周病治療 Oくんのケース 1
2014年10月17日 (金) | 編集 |
「ほっぺたが腫れてる!」




ということで来院された、ウェルシュ・コーギーのOくんです。



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たしかに、左頬(写真右側)が腫れています。



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触っても痛みはないようですが、固くパンパンに腫れた状態。



こういった症状で、一番に疑われるのは歯周病です。


そこで、まずはレントゲンを撮影して、歯根の状態を確認いたします。



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ご覧のように、左の奥歯の横がプックリと膨らんでいますね。



この部分を、別の角度から撮影すると・・・



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やはり歯周病です。



奥歯の根っこの周りが、ぽっかりと黒く穴があいたようになっています。



歯槽膿漏で、歯根の周囲が壊死してしまった状態です。



この歯周病の影響で、左のほっぺが腫れてしまっているのです。



これを治療するには、抜歯治療が必要です。



つづく・・・

犬とエボラ出血熱
2014年10月11日 (土) | 編集 |
スペインで、エボラ出血熱の女性患者の方の、飼い犬が安楽死されるというニュースがありました。



ウイルスの蔓延を防ぐためにやむをえない措置だったのか?



それとも、過剰な反応だったのか?



いろいろと議論になっているようですが・・・



はたして、犬はエボラ出血熱の感染源となるのでしょうか?



獣医師専用の情報サイトで、「犬のエボラウイルス抗体保有率とヒトへのリスク」について調べた論文が紹介されていました。


まず、一番の疑問が、「犬はエボラウイルスに感染するのか?」ということですが・・・


少なくとも一つの研究で、犬は症状を示さないものの、エボラウイルスに感染することが示されているそうです。




では、その「犬から人にエボラウイルスは感染するのか?」と言うことについてですが・・・



「現段階では不明」とのことです。



ただ、犬以外の動物を用いた実験では尿や唾液、糞便などの排せつ物にエボラウイルスが含まれていることが解っているそうなので、エボラウイルスに感染した犬に咬まれたり、舐められたりすることで、人間もエボラウイルスに接触する可能性があるということになります。



今回、安楽死されたワンちゃんが、エボラウイルスに感染していたかどうかは解りません。



ですが、マドリッドの地域政府は、「現在利用可能な科学情報からは、このワンちゃんを介したエボラウイルス感染拡大のリスクを完全に排除することはできない」という判断をおこなったようです。



徐々に、世界に拡大しつつあるエボラ出血熱。今後の事態の推移が心配されるところですね。


子宮蓄膿症 2
2014年10月09日 (木) | 編集 |
さて、先日の続きです。



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子宮内部に膿がたまってしまう、子宮蓄膿症です。


前回、お話ししたように、中高齢のワンちゃん(♀)は発情期に関連して子宮の病気にかかってしまうことが良くあります。


子宮内部に細菌感染を起こし、膿が貯留する子宮蓄膿症。


子宮内部の病気ですので、見た目にハッキリとした症状が出るわけではありませんが・・・


元気・食欲の低下、水を良く飲み尿が多い(多飲多尿)、膿状のオリモノといった異常が見られることが一般的です。


ただし、オリモノについては、子宮の状態によっては認められないことも多いようです。


治療は、外科的に膿の貯留した子宮を摘出するしかありません。
※内科治療については、再発の危険性が高く、治療に失敗した場合、致命的になるため勧められません。


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基本的な術式は一般的な「避妊手術」と同じ。卵巣と子宮を摘出するわけですが・・・


ご覧のように、体重10kg弱のワンちゃんのお腹に、パンパンに膿が貯留した子宮が。


乱雑に扱えば、子宮が破れて、大量の膿で腹腔内が汚染される危険があります。


症状の重い症例では、すでに子宮が破れて膿が漏れ出ているようなケースもあります。


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ほとんどの症例が、手術が成功すれば元通りに回復しますが、診断が遅れた症例では、多臓器不全を起こし、死に至ることも少なくありません。



発情期のホルモンの影響を受けて発症する疾患ですので、避妊手術をしていない中高齢のワンちゃん(♀)で、発情後1~2カ月のタイミングで体調が悪くなった場合は、注意が必要な疾患であります。


子宮蓄膿症
2014年10月03日 (金) | 編集 |
9月半ばころに手術をした症例をご紹介します。



1週間ほど前から、元気・食欲が無くなってきたということで来院された症例です。



6歳8カ月の中型犬の女の子(未避妊)で、少し吐き気もあり、食事は手で与えると一口、二口程度は食べてくれるものの、普段の1/10程度しか食べていないとのこと。


喉が渇くようで、水は普段よりも多く飲んでいるようでした。


身体検査では、やや熱がある(39.1℃)以外は、明らかな異常は見当たりません。



ここで、重要な確認事項が一つ。



症例は、未避妊のワンちゃんですので、最終発情がいつだったかを確認します。



以前にもお話ししたことがありますが、中高齢のワンちゃんでは、発情期に関連して子宮の病気を発症することが良くあるのです。



飼い主様に確認すると、1か月ほど前に発情期が来ていたということ。


これらの問題を、箇条書きすると・・・

○ 中高齢の未避妊のワンちゃん

○ 発情後1カ月

○ 元気・食欲の低下

○ 水を良く飲む

○ 発熱



ここまで出そろうと、子宮の病気の疑いがかなり濃厚になります。



ワンちゃんの子宮の病気と言うと、ほとんどが「子宮蓄膿症」です。



「子宮蓄膿症」は、子宮の粘膜に細菌が感染し、子宮内部に大量の膿がたまる病気です。



発症には、発情後に分泌される黄体ホルモンが関与しています。


そのため、発情後1~2カ月頃に発症することがほとんどです。


また、中高齢のワンちゃんほど、長年にわたって繰り返し黄体ホルモンの影響を受けているため、発症しやすいと考えられています。


子宮内部に膿がたまるため、当然、元気食欲は無くなりますし、も出ます。


感染症の影響で、水を良く飲み、おしっこが多く出るようになります。これを、多飲多尿といいます。


症例によっては、陰部から膿状のオリモノが分泌されることもあります。



診断を確定するには、血液検査・超音波検査をおこなう必要がありますが、私の経験では、上記のような症状が認められたワンちゃんの8~9割は子宮蓄膿症で間違いありませんでした。



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超音波で確認した子宮。子宮内部に多量の膿が貯留しています(黒く見える部分)。



子宮蓄膿症を放置すると、子宮内に貯留した膿の毒素の影響で、多臓器不全に陥り、間違いなく死に至ります。


自然に治るということは、(ほぼ)ありえませんし、内科治療も通常は勧められません。



基本的には、手術で膿の貯留した子宮を丸ごと摘出するのが唯一の治療法になります。


つづく・・・