町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
ボルト
2013年01月31日 (木) | 編集 |
昨日、娘と二人で「ボルト」を見ていました。



ちょっと前の映画なのですが、ご存知でしょうか?



ディズニーのCGアニメーションで、日本では2009年夏に公開。



30000000002811_l.jpg
「ボルト」 ディズニー映画

あらすじ・・・

ボルトは、驚異のスーパーパワーで少女ペニーを守る使命を負ったスーパー・ドッグ。
人気TVドラマのヒーローであるボルトは、ドラマの世界を現実だと信じ込んでいる。
ある日、ドラマの中でさらわれてしまったペニーを助けようと、生まれて初めてスタジオの外に出たボルト。ノラ猫のミトンズやハムスターのライノに出会い、とうとう衝撃の真実を知る・・・。
(ウォルトディズニースタジオジャパン ホームページより)





外の世界を全く知らずに育ち、自分自身をスーパードックだと信じ切っている主人公「ボルト」が、外の世界で突拍子もないふるまいをしたり、パニックになったりする様子が面白おかしく描かれるのですが・・・




そのワンシーンで、外に飛び出たボルトが、「普通の犬」達とうまくコミュニケーションをとれない様子が描かれています。



あいさつ代わりにお尻の臭いを嗅がれて驚いたり、「遊ぼう」というポーズで遊びに誘われているのに、どう応えてよいか解らずに戸惑ったり。



こういったボルトの世間知らずな様子というのは、この映画の面白さの一つでもあるのですが・・・




そこには、「笑えないもう一つの現実」が隠されていたりするのです。





実は問題行動で困るワンちゃんの多くが、この「ボルト」と同じような境遇にあるのです。





一人暮らしや、共働きのご家庭に迎えられた仔犬ちゃん。




飼い主さんは、朝は8時には家を出て、帰宅は夜5時以降。



その間は、一人でサークルの中でお留守番。



飼い主様が帰ってきても、仕事で疲れていて、すぐお散歩というわけにはいかず。
「小型犬だし、お家の中で走り回っていれば、運動は足りてるよね・・・」




週末にたまに家に誰か来ても、限られた友人や家族のみ。




お家に来て数ヶ月たったところで、「そうだ、ドッグランにつれていこう!」ということになって、出かけてみたものの・・・




普段、一人で留守番するばかりのワンちゃんにとっては、自分の世界は「アパートのリビング」に「数人の限られた人間」という極めて限られた小さな世界。




そのワンちゃんが、いきなり大勢の人、そして普段、出会ったこともないような「犬」達に囲まれて、はたして正常にふるまえるでしょうか?




せっかくドッグランにいっても、怖がって飼い主様のそばで震えるばかり。



友好的なワンちゃんが近づいてきてくれても、ワンちゃん同士の挨拶の仕方も解らずに、唸ったり、場合によっては、パニックのあまり、身を守ろうと相手に噛みついてしまったり・・・



困った飼い主さんは、動物病院やドッグトレーナーに「この子、他のワンちゃんと上手く遊べないんです・・・」
とご相談にいらっしゃったりするわけです。




今までも、何度かお話してきましたが、ワンちゃんというのは社会性を持つ動物です。




正常な心の発育には、幼少期から様々な人や犬と出会い、社会性を身につける必要があります。




社会性を身につけるには、特に「生後5カ月までをいかに過ごすか」が重要だといわれています。



ワンちゃんをお家に迎える際には、こういったことをしっかりと考えておかなければなりません。



それぞれのご家庭の状況が、ワンちゃんを迎え入れ、社会性を学ばせるために、しっかりと時間をとることができる状況なのか?



しっかりと、考えたうえでワンちゃんをお迎えいただきたいものです。




ところで、肝心の映画ですが・・・




大人も子供も楽しめる、とても良い映画でしたよ ^^






アレルギー性皮膚炎
2013年01月28日 (月) | 編集 |
私事ですが、1週間ほど前から、少しですが花粉症の症状が出始めている気がします。



まだ、ニュースなどでは、それほどとりあげられていませんが、町田近郊ではすでにスギ花粉の飛散が始まっているようです。



人間でスギ花粉のアレルギーというと、鼻水やくしゃみを思い浮かべますが・・・



ワンちゃんのスギ花粉アレルギーは、主に皮膚症状として発症します。



20130128tah01.jpg



写真は、「1週間ほど前から耳を痒がり始めた」というワンちゃんの耳。



まだそれほどひどくないですが、耳の穴の部分が赤く腫れています。



アレルギー検査をおこなったわけではないので、正確な事は言えませんが、発症時期や、症状の出方からすると、スギ花粉によるアレルギー性皮膚炎が疑われます。



これからの季節、人間は花粉症が本格化する季節ですが、ワンちゃんでは皮膚炎症状が悪化する季節です。



皮膚炎は、治療が遅れれば遅れるほど、治りにくく、長期化しやすくなりますので、「おかしいな?」と思ったら、早めの受診をお勧めいたします。


発情後の食欲不振 2
2013年01月24日 (木) | 編集 |
さて、発情後の食欲不振で来院されたワンちゃん。



身体検査・超音波検査の結果から、子宮蓄膿症と診断。



20130121tah01.jpg
陰部から排出される膿




治療するには、子宮・卵巣の摘出手術が第一選択です。




即、ご入院いただき、血液検査や心電図検査など術前検査を進めつつ、点滴・抗生物質投与などの内科療法を進めていきます。




さて、緊急手術でお腹をあけてみると・・・



20130121tah04.jpg
オレンジ色の液体が、子宮から漏れ出た膿



これは、マズイ!!




子宮の一部が裂けて、内部の膿が漏れ出たようです。




子宮内の膿は、細菌で汚染されています。




その汚染された膿が漏れ出てしまうと、「腹膜炎」をおこし、最悪の場合、死に至ることも考えられます。





まずは、定法通り子宮を摘出。その後、腹腔内を入念に生理食塩水で洗浄します。




少しでも、腹腔内に漏れ出た膿を洗い流し、汚染された細菌を除去するためです。



20130121tah05.jpg



摘出した子宮。



漏れ出た膿による炎症反応で、子宮周辺の脂肪組織が赤く変色しています。




入念な腹腔洗浄後、腹壁を閉鎖して手術終了。



麻酔からの目覚めも問題なく、状態は安定しているようでしたが、油断できません。



子宮蓄膿症の場合は、子宮を摘出しても、それまでに蓄積した感染症のダメージがありますので、その影響によっては術後に急激に体調が悪化し、亡くなることもあり得るのです。




特に、今回のワンちゃんでは、膿が漏れ出ており、すでに腹膜炎をおこしていました。




術後も慎重な経過観察と、治療が必要になります。




幸い、このワンちゃんは、術後の回復も順調で、腹膜炎が重症化することなく、元気に退院して行きました!

発情後の食欲不振 ①
2013年01月22日 (火) | 編集 |
昨年末に緊急手術をおこなった症例です。



「ここ数日元気がなくて・・・」



といらっしゃったワンちゃん。当院には、初めていらっしゃった患者様です。




初診症例を診察する際には、まず


①症例の年齢
②犬種(猫種)
③性別
④避妊・去勢手術の有無


等をカルテで確認いたします。



症例の年齢や性別によって発症しやすい病気、犬種(猫種)特有の病気など、ある程度の病気を頭の中にリストアップしておくためです。



もちろん、あまり「この病気だろう」と先入観を持ちすぎるのも、誤診の原因になるため注意が必要です。




ですが、前もって病気を予測することで、スタッフに「○○の検査が必要かも」と心構えをしてもらえるので、診療がスムーズになります。



さて、受付からカルテを受け取って内容を確認します。



ボストンテリアの女の子。10歳で避妊手術はおこなっていないようです。さらに、飼い主様のお話では、ちょうど発情中かも知れないとのこと。





「高齢犬・女の子・未避妊・発情期・食欲不振」



これらのキーワードから、一番に予測される病気は「子宮蓄膿症」であります。



「子宮蓄膿症」については、今までも何度かとりあげてきましたが、発情中・発情後の子宮に感染症が発生し、大量の膿がたまる病気です。




「子宮蓄膿症の可能性が高いかな・・・」と思いながら診察室へ。



ここで、初めっから「子宮蓄膿症だ!」と先入観ガチガチでいっちゃうと他の異常を見落としてしまいますので、まずはいつも通りの手順で全身の身体検査をおこないます。



眼・鼻・口・耳など顔周辺のチェックから始め、前足、後足、腹部の触診、胸の聴診、そして体温測定とすべての身体検査を入念におこない、異常がないか確認します。




そうして、他の問題がないことを確認したうえで、陰部のチェック。



やはり・・・陰部に膿状のオリモノが付着しています。



20130121tah02.jpg



お腹の触診でも子宮に腫れが認められます。これは、子宮蓄膿症でほぼ間違いないでしょう。




飼い主様に子宮疾患が疑われることをご説明し、さらに状況を詳しく把握するために超音波検査をおこないます。





20130121tah03.jpg
大小4つの黒い部分が、膿の溜まった子宮の断面図。




子宮内に膿と思われるエコー像が確認されます。



子宮蓄膿症の治療は、基本的には外科手術しかありません。



手術で、膿の貯留した子宮を摘出しなければ命にかかわります。



緊急手術の必要性をご説明し、そのまま入院となりました。




つづく・・・



本日のわんにゃんドック
2013年01月17日 (木) | 編集 |
今年最初のわんにゃんドックはシャルトリューの海ちゃん



20130117tah01.jpg



こういったグレーのネコちゃんというと、ロシアンブルーが有名ですが、シャルトリューはロシアンブルーに比べて、やや体が大きくふっくらした感じが特徴です 




飼い主様のお話によると、カメラが嫌いだそうで、シャッターを押そうとすると、プイッと顔をそむけてしまうそうです 




ご覧のように、病院でも写真を撮ろうとすると、丁度良いタイミングで目をそらされてしまいます 



20130117tah02.jpg



もともと喘息持ちのネコちゃんなのですが、喘息症状も落ち着いており、ドックの結果も特に問題ございませんでした 




当院では、わんちゃん・ネコちゃんの健康管理の一環として、年に一度の「わんにゃんドック」をお勧めしております 

仔犬を飼う前に・・・
2013年01月14日 (月) | 編集 |
今日は書籍のご紹介です。




20130114tah01.jpg



星雲社から発売されている「こころのワクチン」という本です。




仔犬のしつけ、問題行動治療でご活躍されている村田香織先生(獣医師)が、一般の飼い主様向けに出版された本であります。




犬と人間、習性の全く違う種族同士が、お互いストレスなく生活するにはどうすればよいか・・・?





オスワリの仕方、散歩の仕方・・・といった技術的なことだけではありません。




人間とは生活習慣の全く違う「犬」という種族に、人間社会のルールを一方的に押し付けることは大変なストレスになります。




そんな、人間の都合だけの一方的な「しつけ」にならないように、「犬の習性」を解り易く解説し、「犬の習性」
に配慮したしつけ方法を説明してくださっています。




私自身も、仔犬のしつけ、問題行動治療は村田先生の書籍を参考にさせていただいており、そのワンちゃんの気持ち・習性を一番に考えたトレーニング方法は非常に優れたものだと実感しています。




ワンちゃんと幸せに暮らすために、しつけに関してはこの本一冊で十分!




これからワンちゃんを迎えようかなと思っていらっしゃる方は必見です!




すでにワンちゃんと共に生活されている方でも、これを読んでいただければ目から鱗間違いなしです。



ぜひ、ご一読いただきたい一冊です。


尿石症 3
2013年01月10日 (木) | 編集 |
年齢のことや、口腔内や脾臓の腫瘍などいくつかの心配事を抱えつつの尿石症手術。




今回の症例では、1mm以下~最大でも3mm程度と極めて小さな尿石が、数十~数百個と極めて多量に膀胱内に存在すると推測されます。




20130105tah02.jpg
○で囲ったところが尿石。下側の白く光る帯状の部分は、数mmの微細な尿石が多数沈殿している様子。



膀胱結石の手術では、このような細かな尿石が多数存在するパターンというのが一番厄介。



大きな物が2~3個というのであれば、ピンセット等で簡単につまんで取り出せますが、数mm以下のものとなると、スプーン状の器具で何度もすくいとらなければなりませんし、すべてを残さず除去するのが大変です。



万全の態勢を整え、手術開始。





皮膚・皮下脂肪を切開し、腹壁(腹筋)を開いて膀胱を探ると・・・



20130105tah04.jpg


ジャリジャリ・・・



ありました。やはり多量の砂粒状の尿石の手ごたえです。エコー像から予想していたよりも多いようです。



膀胱自体も、炎症のためにひどく分厚く腫れてしまっています。




まずは膀胱の周りを濡らしたガーゼでおおいます。尿や尿石で腹腔内を汚染しないようにするためです。



膀胱の状態をよく確認し、なるべく血管の少ない部分を選んでメスを入れます・・・




と、このとき突如、心電図に異変が!




それまで、全く問題なく安定していた心電図の波形が突如乱れ始めたのです。




新津さんからの報告を受け、即座に状況確認を指示。



心電図の電極が外れていないかなどの機器のチェックと同時に、聴診・触診で心臓の拍動を確認します。



術者である私も、膀胱表面の血管の状態から、できる限り循環状態の把握に努めます。



どうやら、完全な心停止ではありませんが、かなり危険な状態に陥っているようです。



術前の心電図などでは異常は認めらませんでしたが、高齢犬の衰えた心臓に致命的な不整脈が発生したようです。



即座に手術を中断。ガス麻酔は停止し、心臓拍動を刺激するタイプのお薬を投薬、心臓マッサージをおこないます。




数分後、何とか心臓の拍動も再開し、血圧も維持できているようでしたが、心電図上の波形はかなり不安定な様子。



ガス麻酔を停止しているにも関わらず、麻酔から覚める気配はありません。



このまま手術を続行するか、手術を停止し、蘇生に専念するか・・・



飼い主様の緊急連絡先にお電話しても、お仕事中なのか留守番電話になってしまい、状況をお伝えすることもできません。



手術を中断するかどうか迷うところではありましたが、様々な条件・状況を考慮したうえでこの場は手術続行を決断。



腹筋を閉じたり、皮膚を縫うのは多少麻酔から醒めかけていても何とかなりますので、麻酔停止しても意識がないのであれば、この時間を最大限利用して尿石を除去するほうがよいと判断したのです。



大急ぎで膀胱を切開し、内部の尿石をすくいだします。



すくいきれない細かな尿石は何度も膀胱内を洗浄して洗い流します。




20130105tah05.jpg
摘出した尿石です。数え切れないほどの多数の細かな結石です。



その間も、心臓の状況は極めて不安定。麻酔薬を完全に停止した状態にもかかわらず、意識が回復する様子は全くありません。



術中にさらに2度の心停止が発生し、心臓マッサージで回復させつつ何とか膀胱の処置を終え、腹壁を閉じる段階に入ったのですが・・・



後はお腹を縫うだけ、という段階になって4度目の心停止。


新津さんが何とか目覚めさせたいという思いで、懸命に心臓マッサージを続けてくれたのですが、残念ながら再び心臓が動いてくれることはありませんでした。




理屈としては、今回こういった術中死があり得るということは理解していましたし、飼い主様にもその危険についてご説明はしておりました。



ですが、術前検査の結果や、食欲・元気の状態から、おそらく手術に耐えてくれるだろうと期待していただけに非常に残念な結果でした。



その後、飼い主様にご連絡を取れたのは、手術が終了してから数時間がたってからでした。



飼い主様からは「ベストを尽くしていただいた結果ですので・・・」とおっしゃっていただき、むしろ感謝と労いのお言葉をかけていただきましたが、私としては、やはり元気なワンちゃんのお顔を見せて差し上げたかった。



決して楽観視していたわけではありませんし、油断していたわけでもありません。



ですが、やはり「何か違う方法をとっていれば、命を助けることができたのでは?」という思いが強くあるのです。



勤務医時代の院長の言葉を思い出します。



「獣医師として働いていると、どんなに懸命に手を尽くしても、思ったような結果を残せずに苦しむ時が訪れるもの・・・」




もう7~8年前にかけていただいた言葉なのですが、今さらながらにその言葉の重さを痛感しています。




今回助けることのできなかったワンちゃん。13歳にもなろうというおじいちゃん犬なのですが、とても元気で人懐っこく、散歩に連れていくと新津さんをグイグイと引っ張っていく程。



尿道カテーテルを管理する処置の間中も元気に動き回るので、「まったく、元気なおじいちゃんだね~」なんて言いながらの処置でした。



Lちゃんのご冥福を、心よりお祈りいたします・・・

尿石症 2
2013年01月07日 (月) | 編集 |
ゴールデンレトリバーの尿石症の続きです。




20130105tah03.jpg



尿道閉塞を防ぐためには、手術で膀胱内の尿石を取り除かなければなりませんが、症例は12歳11カ月と極めて高齢のゴールデンレトリバーです。



一般的なゴールデンレトリバーの平均寿命よりも高齢なため、手術のリスクは決して低くなく、手術そのものが成功したとしても、術中・術後に亡くなってしまう可能性もあります。



「手術をしない」という選択肢もあります。




ただ、その場合は尿道にカテーテル(管)を留置したまま生活しなければならず、長期的には膀胱の感染症などの危険性がございますし、「毎日のカテーテル管理を飼い主様ご自身がおこなわなければならない」という問題があります。



20130105tah01.jpg




手術の危険性は? 自宅でのカテーテル管理が可能か? 




そういったことを、入念に飼い主様とご相談させていただきました。




その結果、飼い主様のご家庭の状況では、長期のカテーテル管理が非常に困難であるため、危険を伴うとしても、手術での治療を選択することになりました。




幸い、症例は高齢ではあるものの、食欲・元気の状態が良く、よっぽどのことがなければ手術に十分耐えうるだけの体力があるように見受けられました。



事前の血液検査・心電図等の検査でも大きな問題は見受けられませんでした。



唯一の不安材料としては、実はこのワンちゃんが脾臓と口腔内に悪性を疑う腫瘍を患っていたことです。



ただ、これらの腫瘍に関しては、今回の手術に対して直接の悪影響はないと判断しました。
(今回の治療では、ワンちゃんの生活を直接脅かす尿道閉塞の治療のみに専念し、腫瘍疾患については積極的な治療をおこないませんでした)




いくつかの不安材料を抱えつつも、万全の準備をおこない、手術に臨むこととなりました・・・



つづく・・・





尿石症 1
2013年01月05日 (土) | 編集 |
さて、本日2度目の更新であります。



今回ご紹介するのは、昨年末にご来院いただいた症例です。



2013年1月で13歳になる高齢のゴールデンレトリバーの男の子。(来院時は12歳11カ月)








尿石症(尿道閉塞)の治療のご相談でした。




20130105tah02.jpg
膀胱の超音波画像。丸で囲った部分が尿石。
特に、下側の白く帯状に光っている部分は、多数の細かな尿石が沈殿していると思われます。



数ミリ、もしくは1ミリにも満たないような細かな尿石が多数膀胱内に沈殿しています。




その細かな尿石によって尿道がふさがってしまい、おしっこが出なくなってしまったのです。




まずは尿道にカテーテル(管)を通して、尿の通り道を確保します。



20130105tah01.jpg




カテーテルを通して出てきた尿に混ざって、非常に細かな尿石が排出されてきます。



20130105tah03.jpg



カテーテルの内径よりも細かいような尿石はこのように排出されますが、1mmを超えるサイズのものは膀胱内にとどまります。



そのため、カテーテルを抜けばまたすぐに尿道は詰まってしまいます。




人間とは違い、ワンちゃんのペニスには、陰茎骨という骨が存在します。



この骨が尿道のすぐそばにあるため、尿石が引っ掛かりやすくなるのです。

20130105tah08.jpg



この骨さえなければ、ゴールデンレトリバーサイズのワンちゃんでしたら、3~4mmの尿石ぐらいなら排泄されるのですが・・・






尿石は、その主成分によって様々な種類に分類されます。




ワンちゃんで一般的なのはストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)というマグネシウム系の尿石です。



このタイプの尿石でしたら、食事療法で石を溶かすことができます。




ただ、残念ながら今回の症例はケイ酸を主成分とする尿石でしたので、手術で石を取り出すしかありません。




ですが、ここで大きな問題が・・・




症例の年齢です。




ゴールデンレトリバーで13歳というのは極めて高齢。



きちんとした統計を取ったわけではないですが、経験上、平均的なゴールデンレトリバーの寿命は10~12歳といったところです。




平均寿命をこえるほどの高齢犬に手術をするリスクを考えなければいけません。




選択肢は二つ。



①高齢というリスクはあるが、思い切って手術に踏み切り、完治を目指す。



②手術はおこなわず、カテーテルをいれっぱなしにして余生を送る。



①の場合は、手術そのものの危険がございます。麻酔・手術中に亡くなる危険性、手術に耐えたとしても、手術後に腎不全などをおこしてなくなってしまう危険性などです。




②の場合は、カテーテルを入れ続けることでの細菌感染の危険性や、自宅での数カ月~数年(寿命を考えれば1~2年?)のカテーテル管理を、御家族が許容できるかどうかという問題がございます。






そのあたりをじっくりと飼い主様とご相談して、治療方針を決めなければなりません。




つづく・・・




年末年始の休診日について
2013年01月05日 (土) | 編集 |
年末年始の診療について


ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

2013年 今年もよろしくお願いいたします
2013年01月05日 (土) | 編集 |
新年明けましておめでとうございます <(_ _)>




1月1日~1月4日までお休みさせていただいておりましたが、本日5日より通常診療となっております。




お休み中は、入院症例もあったため、完全にリラックスモードとはまいりませんでしたが、久しぶりに子供とゆっくり過ごしたり、親戚で集まったりなど、一応お正月らしいお正月を過ごさせていただくことができました 



さあ、今日から心機一転、スタッフ一同、力を合わせて診療をがんばってまいりたいと思います 




今年もよろしくお願い申し上げます