町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
子宮蓄膿症 2
2012年09月29日 (土) | 編集 |
さて、パンパンに膿がたまった子宮ですが・・・





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このまま放置すると、最悪の場合は子宮破裂。




そうでなくても、大量に蓄積した子宮内の膿の影響から、多臓器不全をおこし命に関わります。




治療には基本的には外科手術が必要。





膿でパンパンに膨れた子宮を丸ごと切除することになります。





このワンちゃんも、その日のうちに緊急手術となりました。






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拡大注意!




お腹をあけると、すぐに膿がたまった子宮が・・・





不用意な力を加えて、破裂させてしまわないように慎重に子宮を腹腔外に引っ張り出します・・・





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拡大注意!





いつ破裂するかとひやひやしながら何とか子宮を腹腔外へ・・・





ちなみに、このワンちゃんは体重4kg(そのうち400gは膿の溜まった子宮)のマルチーズ。






実質の体重3.6kgのマルチーズのお腹から、これだけ巨大な子宮が出てきたってちょっと信じがたい写真ですよね。





子宮の摘出そのものは、一般的な避妊手術と同じ手順ですが、子宮を乱暴に扱うと破裂する危険があります。




また、子宮破裂までは行かなくても、すでに子宮から膿が少量ずつ漏れ出していることもあり、そういったときは、膿が漏れ出た部分が癒着をおこしていることもあるため、慎重に手術をおこないます。





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無事に手術は成功。






腹膜炎等の合併症がなければ、翌日にはケロッとして御飯をモリモリ食べてくれます。





このワンちゃんも、手術翌日には元気に御飯を食べてくれて一安心。




いつもながら、手術後のワンちゃん・ネコちゃん達のガンバリには感心させられます。














子宮蓄膿症 1
2012年09月26日 (水) | 編集 |
「数日前から、急にお腹が張ってきてウンチが出にくいみたい」





ということでいらしたワンちゃん。





そこそこ元気で、御飯を食べようとする気はあるようですが、身体検査をすると、たしかに腹部がパンパンに張っています。





レントゲンを撮ってみると・・・





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写真左側が頭。右側がお尻。






下腹部にかなり大きな白い塊・・・






子宮であります。





子宮がこれだけ大きくなるということは、妊娠か子宮蓄膿症。






症例の状況からして、妊娠は考えられません。






超音波で腹腔内を調べてみると・・・







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やっぱり・・・





内部にパンパンに膿をためた子宮です。(黒~グレーの部分が子宮内の膿)





子宮蓄膿症です。





子宮蓄膿症は、中高齢の女の子のワンちゃんに多い疾患で、特に発情期から1~2カ月の間に発症することが多いのが特徴。





子宮内に細菌が入り込み、感染症をおこした結果、内部に大量の膿がたまります。





時には数百ミリリットルから1リットルにも及ぶ大量の膿が蓄積することも。





食欲不振、元気消失、膿状のオリモノといった症状のほか、感染症の影響で喉が渇くため、水を多量に飲むといった症状がみられます。





子宮蓄膿症には、子宮の入り口(子宮頸管)が開いている「開放性」のものと、入口が閉じてしまっている「閉鎖性」のものがあります。





「開放性」の場合は、膿が外部に排泄されるため、オリモノとして確認されやすく、診断が容易です。




また、膿が体外に流出する分、子宮内の膿のたまりが少なくなります。






一方、「閉鎖性」の場合は、膿が外部に漏れ出ることがない為、子宮内に急速かつ大量に膿がたまってしまいます。





そのため、子宮破裂をおこし、膿が腹腔内に漏れ出てしまう危険が「開放性」に比べて高くなります。





今回の症例は「閉鎖性」の子宮蓄膿症。




極めて大量の膿が子宮内にたまっており、子宮破裂の危険も高い状態。





これを治療するには、外科手術が基本。




パンパンに膿がたまった子宮を摘出しなければなりません。




つづく・・・



本日のわんにゃんドック
2012年09月24日 (月) | 編集 |
少し前の症例ですが、わんにゃんドックのご紹介です 







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MIX猫の茶々丸君です 






もと野良ちゃんのため、正確な年齢は解りませんが、おそらく5~10歳くらいの間でしょうか?






過去に、脳神経系の異常からと思われる症状があり、現在もその後遺症が残るネコちゃんです。





そういったこともあり、今回はわんにゃんドックCで詳しく検診させていただきましたよ 


膿皮症
2012年09月22日 (土) | 編集 |
ようやく朝晩涼しくなり、秋らしい気候になってきましたが・・・





それでも、日中陽が差すとまだまだ暑い日が続いております。





以前にも書きましたが、春先から晩夏までは、ワンちゃんで皮膚病が多くなる季節。





本日とりあげるのは、「膿皮症」であります。






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皮膚炎の原因には、「アレルギー性」「寄生虫性」「真菌性」「細菌性」など、様々なものがございますが・・・






膿皮症(のうひしょう)は、「細菌」が原因になって発症する皮膚病です。





皮膚表面にスライドグラスを押しつけたものを、染色液で染めて顕微鏡で見ますと・・・





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青いツブツブが観察されます。





ブドウの房状に増殖するので、「ブドウ球菌」といいます。





治療には細菌を退治するための抗生物質を使用します。





抗生物質には様々な種類がありますが、それぞれに有効な細菌の種類が異なります。




そのため、抗生物質を処方するときには、ある程度細菌の種類を把握したうえで、それに適したものを処方することになります。





写真の症例では、ブドウ球菌に効果が高いものを選択して使用することになります。

毎月恒例! 無料相談セミナー 「どうぶつを飼う前に」
2012年09月21日 (金) | 編集 |
先月は夏休みということでお休みさせていただきましたが、今月も無料相談セミナー開催いたします




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ワンちゃん・ネコちゃんを飼うということは簡単なことではありません。


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小指の先くらい・・・
2012年09月18日 (火) | 編集 |
さて、この超音波写真・・・






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なんだかお解りになりますか?






大きさは22.9mm。小指の先ほどの大きさ・・・





正解は・・・

















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子猫ちゃんです 






はたして、こんな顔しているかどうかはわかりませんが・・・妊娠30日前後といったところです。







この頃になると、心臓の動きもはっきりとわかりますし、手足を動かす様子も観察できます。







10月の2週目くらいの出産予定。楽しみですね~ 

血尿
2012年09月15日 (土) | 編集 |
突然の血尿と頻尿を主訴にしたワンちゃん。





こんなおしっこが朝から急に出始めたそうです。





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これはもう黒っぽくなってしまっていますが、御自宅でのおしっこはもっとハッキリとした「血の色」をしていたそうです。





血尿の原因として、もっとも一般的なのは膀胱炎。






早速、尿を顕微鏡で調べます。





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赤い粒状に見えるのは、すべて赤血球(血液細胞)。





膀胱炎の原因は、細菌感染によるものや、尿石症によるものが一般的です。





尿検査では、出血以外の明らかな異常は認められませんでしたので、超音波検査で膀胱内を詳しく調べていきます。





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真ん中の黒い部分がおしっこ。その周りをぐるっと囲んでいるのが膀胱壁。





かなり分厚くなって、表面がでこぼこしています。





膀胱の粘膜が炎症をおこし、腫れぼったくなった状態です。ここから出血しているわけです。





幸い、尿石などもないようですので、消炎剤を投与して様子を見ること数日・・・






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すぐに出血もおさまって、膀胱壁もこんなに奇麗になりした。





治療前に比べて、薄く滑らかな様子がお解りいただけるでしょうか?






膀胱炎はお留守番が長く、おしっこを我慢する時間が長くなったときなどにも起きやすいので、日ごろから室内で自分でおしっこができるように訓練をしておくことも大切です。


職場体験
2012年09月10日 (月) | 編集 |
先日もブログでご紹介いたしましたが・・・



現在、当院ではヤマザキ学園動物看護科の学生さんの現場実習と、木曽中学校の生徒さんの職場体験をおこなっております。




大学生の方は、8月のお盆過ぎから9月末まで、合計8名の学生さんが6日間ずつ交代で実習にいらっしゃっています。




木曽中学校の生徒さんは2名いらっしゃっており、本日より9月14日までの5日間の職場体験となります。







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普段、3人で仕事をしているところが、一気に倍の6人の大所帯になって、ミーティングのテーブルも急に手狭になってしまいました 





新津さんや村田さんにとっては、普段の業務に加えて、学生さん達の指導ということで負担をかけますが・・・





ただ我々自身もそうやって実習を経験させていただいて学校を卒業してきましたので、後に続く人たちにできる限りの協力をするのは当然のこと。




また、職場体験の生徒さんたちにも、せっかく動物病院の仕事に興味を持ってきていただいたので、病院の様々な業務(その中には動物の生死にかかわるシビアな部分も含まれるわけですが)を体験していただき、将来の進路を考える一助にしていただければ幸い。




実習生たちも慣れない現場で戸惑うことも多いかと思いますが、できる限り積極的に様々なことを体験していただき、有意義な実習にしていただければと思っています。

血栓塞栓症
2012年09月08日 (土) | 編集 |
前回、「肥大型心筋症」による血栓についてお話をいたしましたが・・・






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十字印部分が血栓





今回は、その血栓の行く末についてもう少し詳しくお話しいたします。





「肥大型心筋症」による血栓は、心臓の中でも「左心房」と呼ばれる部分にできます。





心筋壁が肥大することで、心臓のポンプ機能が障害され、血のめぐりが悪くなった左心房内に血栓が形成されると考えられています。





形成された血栓は、左心房内でコロコロ転がっているうちは大きな問題をおこすことはありません。
(肥大型心筋症による心不全症状は別として)






この血栓が、何かの拍子で動脈に流れて行ったときに大きな問題になります。






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おっと、大動脈弁の向きがさかさまになってしまいました 




心臓からのびる大動脈は徐々にほそくなり、分岐しながら後ろ足の先まで伸びていきます。





左右の足としっぽに向かって三又に血管が分岐する部分があるのですが、この部分に血栓が詰まることが多いのです。






血栓が詰まると、後ろ足への血流が途絶えますので、突然の後ろ足の痛みと、麻痺が生じることになるのです。






この血栓塞栓症は、肥大型心筋症の症状としては末期的な症状の一つです。





詰まってしまった血栓は、手術で取り出したり、特殊な注射薬で溶かすことも可能ですが、一時的な延命処置に過ぎません。





血栓をいくら取り除いたところで、「肥大型心筋症」による心不全が治るわけではありませんので、また新たな血栓が発生したり、心不全が悪化し突然死することがほとんどです。






残念ながら、ほとんどの症例が数日から数週間程度で亡くなってしまいます。





この肥大型心筋症というのは、私が学生の時の病院実習で担当した病気だったこともあり、非常に思い入れの強い病気であります。





サスケ君というアメリカンショートヘアの男の子だったのですが、彼を担当したことが、私が循環器疾患に興味を持つきっかけの一つとなりました。

血栓
2012年09月07日 (金) | 編集 |
ちょっとわかりにくい写真ですが・・・





20120830tah01.jpg




心臓の内部の超音波画像です。





十字印が付いているのは、心臓内部に発生した「血栓(血の塊)」です。





大きさは、およそ1cm。





これは、「肥大型心筋症」のネコちゃんの心臓です。





「肥大型心筋症」は、心筋たんぱく質の先天的な異常によって、徐々に心臓の筋肉が分厚くなっていってしまう病気です。




特にアメリカンショートヘアやペルシャ系のネコちゃんに多い心臓病なのですが、心臓の筋肉が徐々に厚みを増すことによって、心臓のポンプ機能が障害され心不全症状が現れます。




その結果、心臓内部に血栓が形成されます。





形成された血栓は、心臓内部にあるうちは無症状ですが、心臓から動脈に流れて行って、血管を詰まらせてしまうことで、突然の後肢マヒなどの症状が発症します。




これがなかなか厄介な病気で、後期~末期になるまで症状があまり見られず、早期発見が難しい病気です。




しかも、初めて症状が出たときには、いきなり後肢マヒ(血栓が後ろ足の動脈に突然詰まってしまうため)や、突然死をおこしてしまうなど、劇的な症状であることも珍しくありません。







初期~中期にかけてはほとんど無症状で、心音などに異常が出ることも少なく、通常の身体検査で発見することは困難です。






この病気を完治させる方法はなく、できる限り早期発見し、治療を開始することで延命を図るしか手立てがないのが現状です。






そのため、危険性の高い猫種(アメリカンショートヘア系、ペルシャ系)のネコちゃんでは、心電図検査やレントゲン検査などで定期健診を受けていただくことが望まれます。

急性出血性胃腸炎
2012年09月04日 (火) | 編集 |
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こちら、出血のように見えますが・・・





これは血便です。






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オムツが真っ赤になるくらいの血便。





「急性出血性胃腸炎」という病気です。





「急性」とつく通り、数時間のうちに急激に悪化する出血性の嘔吐と下痢を特徴とする消化器疾患です。






写真のワンちゃんも、明け方に急に吐き気が始まり、数時間のうちにご覧のようなひどい血便になってしまいました。





原因ははっきりしておらず、食物に対する過敏反応や、細菌の異常増殖などいくつかの可能性が疑われています。






このワンちゃんも、特に変なものを食べさせたおぼえもなく、前夜まで全く普通にしていたということで、まったく原因が分からないままでした。





この「急性出血性胃腸炎」は的確な治療をおこなえば、2~3日で回復することがほとんどですが、治療が遅れると、多臓器不全を起こして命にかかわる危険性を秘めた病気ですので注意が必要です。





まあ、これだけの血便が出てるのに、「もうちょっと様子を見ていよう・・・」という飼い主様も余りいらっしゃらないかと思いますが、なるべく早めの受診をお勧めいたします。