2012年05月28日 (月) | 編集 |
さて、心臓の超音波検査ですが・・・
心臓の超音波検査では、
① 心臓の内部構造の観察・・・弁の構造、血管構造、心筋壁の厚みなど
② 心臓の弁の動きや、心筋の収縮や拡張運動の様子
③ 心臓内の血流の速度の測定
といった、様々な観察、計測値をもとに、心臓機能を把握していきます。
たとえば、僧帽弁閉鎖不全症では・・・

大動脈(AO)と左心房(LA)のサイズの比較
正常ではこの両者の比率は1:1なのですが、御覧のように左心房(LA)がかなり大きくなっています。

左心室から左心房に逆流する血液のスピードを測定。
丸で囲んだ4.35m/sというのは、秒速4.35mで血液が逆流しているということを示します。
僧帽弁閉鎖不全症では、初期の段階であれば秒速6mくらい、重度になるほど逆流のスピードが「遅く」なります。
秒速4m台というのは、かなり重度の部類に入ります。

今度は逆に、左心房から左心室に流入する血液のスピード測定。
こちらは、症状が重くなればなるほどスピードが「速く」なります。
正常なら秒速1m程度ですが、写真の症例では秒速1.68m。
この数値が1.2mを超えると、「肺水腫」という合併症を発症する可能性が極めて高くなります。
多くの僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんが、末期になるとこの「肺水腫」をおこし、呼吸困難から死に至ります。
そのため、早い段階で「肺水腫」の兆候を見つけ、適切な投薬をおこなうことが大切です。
こういった計測値を元に、心臓の正確な状況を把握し、適切な薬剤を選択して治療していきます。
心臓の超音波検査では、
① 心臓の内部構造の観察・・・弁の構造、血管構造、心筋壁の厚みなど
② 心臓の弁の動きや、心筋の収縮や拡張運動の様子
③ 心臓内の血流の速度の測定
といった、様々な観察、計測値をもとに、心臓機能を把握していきます。
たとえば、僧帽弁閉鎖不全症では・・・

大動脈(AO)と左心房(LA)のサイズの比較
正常ではこの両者の比率は1:1なのですが、御覧のように左心房(LA)がかなり大きくなっています。

左心室から左心房に逆流する血液のスピードを測定。
丸で囲んだ4.35m/sというのは、秒速4.35mで血液が逆流しているということを示します。
僧帽弁閉鎖不全症では、初期の段階であれば秒速6mくらい、重度になるほど逆流のスピードが「遅く」なります。
秒速4m台というのは、かなり重度の部類に入ります。

今度は逆に、左心房から左心室に流入する血液のスピード測定。
こちらは、症状が重くなればなるほどスピードが「速く」なります。
正常なら秒速1m程度ですが、写真の症例では秒速1.68m。
この数値が1.2mを超えると、「肺水腫」という合併症を発症する可能性が極めて高くなります。
多くの僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんが、末期になるとこの「肺水腫」をおこし、呼吸困難から死に至ります。
そのため、早い段階で「肺水腫」の兆候を見つけ、適切な投薬をおこなうことが大切です。
こういった計測値を元に、心臓の正確な状況を把握し、適切な薬剤を選択して治療していきます。
2012年05月25日 (金) | 編集 |
こちらは、心臓病を疑うということで来院されたワンちゃんの超音波検査の画像です。

心臓には上下左右に4つの部屋があり、それぞれ右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)、左心室(LV)と名前がついています。
正常な心臓では、左心房(LA)と右心房(RA)の大きさというのは、ほぼ同程度の大きさなのですが・・・
上の画像を見ていただくと、右心房(RA)にくらべて左心房(LA)が倍以上に大きくなっています。
それを顕著にあらわすのが、矢印部分の心房中隔(左右の心房を隔てる壁)の位置。
点線部分が本来の心房中隔壁の位置なのですが、極端に右心房(RA)側に倒れてしまっています。
これは、拡大した左心房(LA)に押されて位置が変位してしまったのです。
「左心房拡大」という状況なのですが・・・
なぜこうなってしまったかというと・・・
「僧帽弁」と呼ばれる、左心房(LA)と左心室(LV)の間の血液の流れを制御する「弁」の閉鎖不全が原因です。

僧帽弁がうまく閉まらず(黄色い丸の部分に隙間が開いてしまっています)、
血液が左心室から左心房に逆流する様子。
高齢犬では、「僧帽弁」が変形・変質することで、閉鎖不全が発生し、血液の流れを正常に制御することができなくなってしまうことがあります。
この状態を「僧帽弁閉鎖不全症」と呼びます。
(先天的な心奇形で発症する場合もあります)
「僧帽弁閉鎖不全症」では、初期の段階では、ほとんど無症状で、飼い主様が気がつくことはほとんどありません。
飼い主様が気がつくような異常、「咳」「運動するとすぐに疲れる」「元気・食欲がない」といった症状が出る頃には、かなり病気は進行してしまっていることがほとんどです。
高齢犬の20~30%近くで発生がみられるとも言われるほど多い心臓病ですので、定期的な検診で早期発見に努めることが大切です。
僧帽弁閉鎖不全症では、初期の段階から特徴的な「心雑音」が聴取されることがほとんどですので、一般的な身体検査で十分に発見可能であります。
聴診で「心雑音」が聴取され、「僧帽弁閉鎖不全症」が疑われた場合は、最低でも心電図・レントゲンをおこないます。
さらに、心臓超音波検査を行うことができれば、より正確に心不全の程度を把握することができるため、病気の進行状況に合わせた適切な治療計画を立てることができます。
つづく・・・

心臓には上下左右に4つの部屋があり、それぞれ右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)、左心室(LV)と名前がついています。
正常な心臓では、左心房(LA)と右心房(RA)の大きさというのは、ほぼ同程度の大きさなのですが・・・
上の画像を見ていただくと、右心房(RA)にくらべて左心房(LA)が倍以上に大きくなっています。
それを顕著にあらわすのが、矢印部分の心房中隔(左右の心房を隔てる壁)の位置。
点線部分が本来の心房中隔壁の位置なのですが、極端に右心房(RA)側に倒れてしまっています。
これは、拡大した左心房(LA)に押されて位置が変位してしまったのです。
「左心房拡大」という状況なのですが・・・
なぜこうなってしまったかというと・・・
「僧帽弁」と呼ばれる、左心房(LA)と左心室(LV)の間の血液の流れを制御する「弁」の閉鎖不全が原因です。

僧帽弁がうまく閉まらず(黄色い丸の部分に隙間が開いてしまっています)、
血液が左心室から左心房に逆流する様子。
高齢犬では、「僧帽弁」が変形・変質することで、閉鎖不全が発生し、血液の流れを正常に制御することができなくなってしまうことがあります。
この状態を「僧帽弁閉鎖不全症」と呼びます。
(先天的な心奇形で発症する場合もあります)
「僧帽弁閉鎖不全症」では、初期の段階では、ほとんど無症状で、飼い主様が気がつくことはほとんどありません。
飼い主様が気がつくような異常、「咳」「運動するとすぐに疲れる」「元気・食欲がない」といった症状が出る頃には、かなり病気は進行してしまっていることがほとんどです。
高齢犬の20~30%近くで発生がみられるとも言われるほど多い心臓病ですので、定期的な検診で早期発見に努めることが大切です。
僧帽弁閉鎖不全症では、初期の段階から特徴的な「心雑音」が聴取されることがほとんどですので、一般的な身体検査で十分に発見可能であります。
聴診で「心雑音」が聴取され、「僧帽弁閉鎖不全症」が疑われた場合は、最低でも心電図・レントゲンをおこないます。
さらに、心臓超音波検査を行うことができれば、より正確に心不全の程度を把握することができるため、病気の進行状況に合わせた適切な治療計画を立てることができます。
つづく・・・
2012年05月24日 (木) | 編集 |
今までもちょくちょくとりあげていますが、乳歯抜歯の症例です。

チワワ、ミニチュアダックス、トイプードル、ヨークシャーテリアなどなど・・・
小型犬では、乳歯から永久歯の生え換わりが正常に行われず、特に犬歯の部分の乳歯が抜けずに残ってしまうことが多く発生しています。
写真の症例は小型犬のMIX犬なんですが、犬歯の部分の乳歯が抜けずに残っており、去勢手術の際に抜歯をおこないました。
乳歯といえども、犬歯の部分は歯根が非常に頑丈。
強引に抜こうとすると、根っこが折れてしまったり、アゴの骨自体にダメージが加わってしまう危険性もあります。
そこで、歯茎を切開し、アゴの骨の一部を削る外科的抜歯をおこないます。
上の写真は、アゴの骨を削って、歯根を露出したところ。

抜歯がすんだあと。
ぽっかりと空いた抜歯のあとが、犬歯(乳歯)の歯根の頑丈さを物語っています。
結構な大穴があいてしまいますが、きちんと歯茎を縫い合わせて閉鎖してやれば、1カ月もすれば骨が再生して完全に治ります。

チワワ、ミニチュアダックス、トイプードル、ヨークシャーテリアなどなど・・・
小型犬では、乳歯から永久歯の生え換わりが正常に行われず、特に犬歯の部分の乳歯が抜けずに残ってしまうことが多く発生しています。
写真の症例は小型犬のMIX犬なんですが、犬歯の部分の乳歯が抜けずに残っており、去勢手術の際に抜歯をおこないました。
乳歯といえども、犬歯の部分は歯根が非常に頑丈。
強引に抜こうとすると、根っこが折れてしまったり、アゴの骨自体にダメージが加わってしまう危険性もあります。
そこで、歯茎を切開し、アゴの骨の一部を削る外科的抜歯をおこないます。
上の写真は、アゴの骨を削って、歯根を露出したところ。

抜歯がすんだあと。
ぽっかりと空いた抜歯のあとが、犬歯(乳歯)の歯根の頑丈さを物語っています。
結構な大穴があいてしまいますが、きちんと歯茎を縫い合わせて閉鎖してやれば、1カ月もすれば骨が再生して完全に治ります。
2012年05月22日 (火) | 編集 |
こちらは、先日去勢手術をおこなったワンちゃんの、「手術前」の写真です。

どこかおかしなところがあるのですが・・・わかりますか??
正解は・・・
手術「前」なのに、本来あるべきところに睾丸が見当たりません。
ペッタンコになった陰のう(袋)だけが確認されます。
中身はどこにいったかというと・・・

ここにありました。
おちんちんの両サイドにぽっこりと盛り上がった部分があるのがお分かりいただけますでしょうか?
「停留睾丸」もしくは「陰睾」という先天性の疾患です。
睾丸というのは、胎児期には腹腔内にあるのですが、胎児の成長とともに陰のう(袋)に移動してくるものです。
それが、正常に移動せず、成犬になっても陰のう内に降りてこないことを「停留睾丸」「陰睾」と呼ぶのです。
今回の症例では、陰のう(袋)まであと一息のところまで来ていましたが、症例によっては完全にお腹の中に睾丸が残ってしまうこともあります。
腹腔内に残った睾丸は、正常な睾丸の10~20倍もガン化しやすいというデータもあります。
「停留睾丸」は遺伝すると考えられていますので、いずれにせよ去勢手術が勧められます。
ところで、この「停留睾丸」ですが、今回の症例のように比較的簡単に睾丸の位置を確認できるケースもあれば、触診ではまったく睾丸の位置がわからない場合もあります。
その場合は腹腔内に睾丸が停留している可能性が高いのですが、中には小さく発達の悪い睾丸が陰茎近くの脂肪に埋もれるように存在しており、触診で確認が困難なケースもあります。
こういったケースでは、「触診で探して見つからないから」とお腹の中を開けても見つからず、結局「どこにあるかわかりません」なんてことになりかねません。
当院では、そういったことを防ぐために、睾丸の位置が触診で正確に確認できない場合は、超音波検査機で確認をとるようにしています。
町田市 谷口動物病院

どこかおかしなところがあるのですが・・・わかりますか??
正解は・・・
手術「前」なのに、本来あるべきところに睾丸が見当たりません。
ペッタンコになった陰のう(袋)だけが確認されます。
中身はどこにいったかというと・・・

ここにありました。
おちんちんの両サイドにぽっこりと盛り上がった部分があるのがお分かりいただけますでしょうか?
「停留睾丸」もしくは「陰睾」という先天性の疾患です。
睾丸というのは、胎児期には腹腔内にあるのですが、胎児の成長とともに陰のう(袋)に移動してくるものです。
それが、正常に移動せず、成犬になっても陰のう内に降りてこないことを「停留睾丸」「陰睾」と呼ぶのです。
今回の症例では、陰のう(袋)まであと一息のところまで来ていましたが、症例によっては完全にお腹の中に睾丸が残ってしまうこともあります。
腹腔内に残った睾丸は、正常な睾丸の10~20倍もガン化しやすいというデータもあります。
「停留睾丸」は遺伝すると考えられていますので、いずれにせよ去勢手術が勧められます。
ところで、この「停留睾丸」ですが、今回の症例のように比較的簡単に睾丸の位置を確認できるケースもあれば、触診ではまったく睾丸の位置がわからない場合もあります。
その場合は腹腔内に睾丸が停留している可能性が高いのですが、中には小さく発達の悪い睾丸が陰茎近くの脂肪に埋もれるように存在しており、触診で確認が困難なケースもあります。
こういったケースでは、「触診で探して見つからないから」とお腹の中を開けても見つからず、結局「どこにあるかわかりません」なんてことになりかねません。
当院では、そういったことを防ぐために、睾丸の位置が触診で正確に確認できない場合は、超音波検査機で確認をとるようにしています。
町田市 谷口動物病院
2012年05月19日 (土) | 編集 |
「肛門腺が破裂する!」
って、耳にされたことございませんか?
肛門腺というのは、肛門付近にある分泌腺のことで、強烈な臭気を放つ分泌液を分泌します。
この肛門腺は、肛門の両脇にある肛門嚢という袋状の器官に貯留し、排便時や興奮時などに分泌されるのですが・・・
この分泌口が、感染症や炎症などでふさがってしまうと、内部にたまった膿などが、あたかも破裂したようになって肛門の横から排出されることがあります。
こんな感じ↓

矢印は肛門の位置を示しています。まるで囲ったところが、破裂した肛門嚢。
皮膚に穴が開いて、内部から膿が排泄されます。
この症例はまだ軽度で、もっとひどい症例では、直径2cmほどの大穴があくこともあります。
やたらとお尻を気にしてなめる、お尻を地面にこすりつけるなどの症状がみられた場合は、この疾患の可能性がありますので、早めにご相談いただくことをお勧めいたします。
町田市 谷口動物病院
って、耳にされたことございませんか?
肛門腺というのは、肛門付近にある分泌腺のことで、強烈な臭気を放つ分泌液を分泌します。
この肛門腺は、肛門の両脇にある肛門嚢という袋状の器官に貯留し、排便時や興奮時などに分泌されるのですが・・・
この分泌口が、感染症や炎症などでふさがってしまうと、内部にたまった膿などが、あたかも破裂したようになって肛門の横から排出されることがあります。
こんな感じ↓

矢印は肛門の位置を示しています。まるで囲ったところが、破裂した肛門嚢。
皮膚に穴が開いて、内部から膿が排泄されます。
この症例はまだ軽度で、もっとひどい症例では、直径2cmほどの大穴があくこともあります。
やたらとお尻を気にしてなめる、お尻を地面にこすりつけるなどの症状がみられた場合は、この疾患の可能性がありますので、早めにご相談いただくことをお勧めいたします。
町田市 谷口動物病院
2012年05月17日 (木) | 編集 |
避妊手術前の検査で、乳腺に腫瘍が見つかったワンちゃんの術中の写真です。

手術器具で示している部分に「しこり」があるのがお分かりいただけるでしょうか?
乳腺に腫瘍が見つかった場合の対処法にはいくつかあります。
① 腫瘍部分を含む側の乳腺をすべて切除する。
② 腫瘍部分の乳腺だけを切除する。
③ 腫瘍部分だけをくりぬくように切除する。
などです。
それぞれ、一長一短あるわけですが・・・
今回は、避妊手術がメインだったことと、腫瘍が5mm程度と小さなものが1個だけでしたので、腫瘍部分だけをくりぬくように切除しました。
くりぬいた腫瘍は検査所に送って詳しく検査してもらいます。
その結果が、万が一「悪性」で合った場合は、改めて乳腺をごっそりと取り除くような手術が必要になるのですが・・・
今回は、幸いにも結果は「良性」でありました。
乳腺腫瘍は、女の子のワンちゃんでは最も多い腫瘍の一つです。
2~3週間のうちに、急激に大きくなるケースや、複数出現するケースもありますので、中高齢のワンちゃんでは、普段からおっぱい周辺にしこりが無いかお家でチェックしていただくことが大切です。

手術器具で示している部分に「しこり」があるのがお分かりいただけるでしょうか?
乳腺に腫瘍が見つかった場合の対処法にはいくつかあります。
① 腫瘍部分を含む側の乳腺をすべて切除する。
② 腫瘍部分の乳腺だけを切除する。
③ 腫瘍部分だけをくりぬくように切除する。
などです。
それぞれ、一長一短あるわけですが・・・
今回は、避妊手術がメインだったことと、腫瘍が5mm程度と小さなものが1個だけでしたので、腫瘍部分だけをくりぬくように切除しました。
くりぬいた腫瘍は検査所に送って詳しく検査してもらいます。
その結果が、万が一「悪性」で合った場合は、改めて乳腺をごっそりと取り除くような手術が必要になるのですが・・・
今回は、幸いにも結果は「良性」でありました。
乳腺腫瘍は、女の子のワンちゃんでは最も多い腫瘍の一つです。
2~3週間のうちに、急激に大きくなるケースや、複数出現するケースもありますので、中高齢のワンちゃんでは、普段からおっぱい周辺にしこりが無いかお家でチェックしていただくことが大切です。
2012年05月15日 (火) | 編集 |
前回、インスリン注射について少しお話しましたが・・・
今回は、糖尿病になった時の症状についてであります。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリン(ホルモンの一種)が不足することで引き起こされます。
インスリンというのは、血液中のエネルギー(糖分)を細胞内に取り込む働きを持っています。
そのため、インスリンが不足すると、血液中のエネルギー(糖分)を細胞に取り込むことができないため、血液中にエネルギー(糖分)が余ってしまう=高血糖になってしまうわけです。
血液中の過剰な糖分は、腎臓から排泄されて糖尿になります。
尿に糖分が排泄される際に、水分も一緒に多く排泄されるため、おしっこの量が多くなります。
おしっこに水分が多く出て行ってしまうため、当然、喉が渇き、水を飲む量が増えてきます。
そのため、初期の糖尿病で飼い主様が一番気がつきやすいのが、「多飲・多尿」といった症状になります。
糖尿病がさらに進行すると、今度は「食欲はあるのに痩せていく」という症状が出てきます。
前述のように、インスリンは細胞内にエネルギーを取り込む働きを持っています。
インスリンが不足すると、細胞内にエネルギーを取り込めなくなってしまうため、結果的にはいくら食べても体はエネルギー不足の状態に陥ってしまいます。
そのため、体は生きていくために脂肪を分解して、なんとかそれをエネルギーとして利用しようとするのです。
なので、「食べてるのに痩せていく」という症状がでてくるわけです。
ただし、この「脂肪を分解してエネルギーとして利用する」のには限界がありまして、脂肪を分解した際に発生するケトン体という物質が蓄積すると、中毒症状が発症し、最悪の場合は死にいたる危険がございます。
「食べてるのに痩せていく」という症状は、糖尿病の症状としてはかなり進行し、危険な状況が近づいていることを意味します。
糖尿病は、ワンちゃん・ネコちゃんでも一般的な病気で、ここ近年は人間同様に食習慣や運動不足から症例数が増えているという報告もございます。
やはり、まずは適切な食事管理と運動量。
そして、日ごろからの元気食欲・排便排尿の状態をよく観察していただき、気になる点があれば早め早めに獣医師にご相談いただくことが大切です。
今回は、糖尿病になった時の症状についてであります。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリン(ホルモンの一種)が不足することで引き起こされます。
インスリンというのは、血液中のエネルギー(糖分)を細胞内に取り込む働きを持っています。
そのため、インスリンが不足すると、血液中のエネルギー(糖分)を細胞に取り込むことができないため、血液中にエネルギー(糖分)が余ってしまう=高血糖になってしまうわけです。
血液中の過剰な糖分は、腎臓から排泄されて糖尿になります。
尿に糖分が排泄される際に、水分も一緒に多く排泄されるため、おしっこの量が多くなります。
おしっこに水分が多く出て行ってしまうため、当然、喉が渇き、水を飲む量が増えてきます。
そのため、初期の糖尿病で飼い主様が一番気がつきやすいのが、「多飲・多尿」といった症状になります。
糖尿病がさらに進行すると、今度は「食欲はあるのに痩せていく」という症状が出てきます。
前述のように、インスリンは細胞内にエネルギーを取り込む働きを持っています。
インスリンが不足すると、細胞内にエネルギーを取り込めなくなってしまうため、結果的にはいくら食べても体はエネルギー不足の状態に陥ってしまいます。
そのため、体は生きていくために脂肪を分解して、なんとかそれをエネルギーとして利用しようとするのです。
なので、「食べてるのに痩せていく」という症状がでてくるわけです。
ただし、この「脂肪を分解してエネルギーとして利用する」のには限界がありまして、脂肪を分解した際に発生するケトン体という物質が蓄積すると、中毒症状が発症し、最悪の場合は死にいたる危険がございます。
「食べてるのに痩せていく」という症状は、糖尿病の症状としてはかなり進行し、危険な状況が近づいていることを意味します。
糖尿病は、ワンちゃん・ネコちゃんでも一般的な病気で、ここ近年は人間同様に食習慣や運動不足から症例数が増えているという報告もございます。
やはり、まずは適切な食事管理と運動量。
そして、日ごろからの元気食欲・排便排尿の状態をよく観察していただき、気になる点があれば早め早めに獣医師にご相談いただくことが大切です。
2012年05月12日 (土) | 編集 |
先日退院したネコちゃんのお尻です。
こちらは退院直前のお写真。

お尻の両サイドの毛を刈られてしまっています。
これは、別に皮膚病とかではなくて、糖尿病治療のためであります。
人間でも運動不足や肥満といった生活習慣を背景に、糖尿病の患者さんが多くいらっしゃるわけですが、ネコちゃんでもこの30年の間に、糖尿病の症例が増える一方だそうです。
おそらく、人間と生活するなかで、必要以上の栄養摂取、室内飼育が増えたことでの運動不足が関わっているのかもしれません。
さて、糖尿病になると、治療にはインスリン注射がかかせなくなります。
動物用にインスリン注射というものは開発されていませんので・・・
当然、人間用の物を応用せざるを得ません。

こんなちっちゃな注射器で・・・

こんなちょっぴりの量を注射しなければならないのです。
これを、飼い主様に御自宅で一日二回注射していただかなければならないのですが、なれない注射を、動くワンちゃん・ネコちゃん相手に正確に注射するのはなかなか困難。
しかも、こんな小さな注射器でちょっぴりの量となると、余計に大変であります。
そのため、注射する部位が見えやすいように毛を刈っておいたのです。
このあと、飼い主様に注射の練習をしていただいてから、元気に退院していきました。
こちらは退院直前のお写真。

お尻の両サイドの毛を刈られてしまっています。
これは、別に皮膚病とかではなくて、糖尿病治療のためであります。
人間でも運動不足や肥満といった生活習慣を背景に、糖尿病の患者さんが多くいらっしゃるわけですが、ネコちゃんでもこの30年の間に、糖尿病の症例が増える一方だそうです。
おそらく、人間と生活するなかで、必要以上の栄養摂取、室内飼育が増えたことでの運動不足が関わっているのかもしれません。
さて、糖尿病になると、治療にはインスリン注射がかかせなくなります。
動物用にインスリン注射というものは開発されていませんので・・・
当然、人間用の物を応用せざるを得ません。

こんなちっちゃな注射器で・・・

こんなちょっぴりの量を注射しなければならないのです。
これを、飼い主様に御自宅で一日二回注射していただかなければならないのですが、なれない注射を、動くワンちゃん・ネコちゃん相手に正確に注射するのはなかなか困難。
しかも、こんな小さな注射器でちょっぴりの量となると、余計に大変であります。
そのため、注射する部位が見えやすいように毛を刈っておいたのです。
このあと、飼い主様に注射の練習をしていただいてから、元気に退院していきました。
2012年05月11日 (金) | 編集 |
こちらのレントゲンは、正常なワンちゃんの胸のレントゲン。

真中が心臓で、写真左側が右の肺。写真右側が左の肺。
そして、こちらが2か月ほど前から時々喘息のような症状がでるということでいらっしゃったネコちゃんのレントゲン。

左上の肺の一部が真っ白になってしまっています。
「無気肺」と呼ばれる状態です。
「無気肺」とは読んで字のごとし、「肺に空気が無い」状態。
気道疾患や、肺炎、外傷などきっかけは様々ですが、なんらかの理由で肺へ空気がしっかりと取り込めなくなってしまった状態であります。
このネコちゃんでは、すでに発症からかなりの時間が経っているようです。
肺の1/4がつぶれているにもかかわらず、喘息の症状が出ているとき以外は呼吸状態も問題なく、血液検査でも肺炎などの明らかな異常は認められませんでした。もちろん、元気食欲も問題なし。
これは、肺がつぶれた状態がすでに長く、体がその状態に慣れてしまっていることを示します。
そのため、なぜ無気肺になってしまったかの原因は今となってはハッキリしませんが、結果としては今現在、肺の1/4がまともに機能しない状況になってしまっていました。
このネコちゃんでは、喘息の疑いがありますので、おそらくはそれが原因かと推測はしていますが・・・
治療としては、すでに時間が経ってしまっているので、残念ながら、つぶれた肺が元に戻ることは望み薄です。
したがって、まずは喘息治療をおこないつつ、経過観察をし、これ以上悪化させないことを一番に考えていくようになります。
自分自身で痛い・苦しいを訴えることのできないワンちゃん、ネコちゃんですから、やはり異変を感じたら早めに受診していただくことが重要です。

真中が心臓で、写真左側が右の肺。写真右側が左の肺。
そして、こちらが2か月ほど前から時々喘息のような症状がでるということでいらっしゃったネコちゃんのレントゲン。

左上の肺の一部が真っ白になってしまっています。
「無気肺」と呼ばれる状態です。
「無気肺」とは読んで字のごとし、「肺に空気が無い」状態。
気道疾患や、肺炎、外傷などきっかけは様々ですが、なんらかの理由で肺へ空気がしっかりと取り込めなくなってしまった状態であります。
このネコちゃんでは、すでに発症からかなりの時間が経っているようです。
肺の1/4がつぶれているにもかかわらず、喘息の症状が出ているとき以外は呼吸状態も問題なく、血液検査でも肺炎などの明らかな異常は認められませんでした。もちろん、元気食欲も問題なし。
これは、肺がつぶれた状態がすでに長く、体がその状態に慣れてしまっていることを示します。
そのため、なぜ無気肺になってしまったかの原因は今となってはハッキリしませんが、結果としては今現在、肺の1/4がまともに機能しない状況になってしまっていました。
このネコちゃんでは、喘息の疑いがありますので、おそらくはそれが原因かと推測はしていますが・・・
治療としては、すでに時間が経ってしまっているので、残念ながら、つぶれた肺が元に戻ることは望み薄です。
したがって、まずは喘息治療をおこないつつ、経過観察をし、これ以上悪化させないことを一番に考えていくようになります。
自分自身で痛い・苦しいを訴えることのできないワンちゃん、ネコちゃんですから、やはり異変を感じたら早めに受診していただくことが重要です。
2012年05月10日 (木) | 編集 |
2012年05月07日 (月) | 編集 |
さて、バリウム検査本編であります。
人間ドックなんかでおなじみのバリウム検査。
胃の粘膜の状態をみたり、胃から腸への通過状況を確認するための検査なのですが、獣医領域では主に胃腸の通過障害が無いかを調べるためにおこなうことが多いです。
たとえば、吐き気が続く症例で検査をしたらボールが腸に詰まっていたとか、ビニールが詰まっていたとか・・・
なんてことが見つかったりいたします。
当院でも過去に梅干しの種が見つかった症例や、腸に穴があいちゃってた症例をとりあげたことがありましたね。

バリウムを飲む前の状態。

バリウムを飲んだ直後。
胃にバリウムが充満しています。

バリウムを飲んで1~2時間程度。
バリウムが胃から腸へ流れる様子が映し出されます。

6~7時間もすると、すべてのバリウムが結腸へ。
つまり、もう後はウンチとして出るだけであります。
このように、半日かけてバリウムの通過を追っかけてレントゲンを撮影し、胃腸の通過障害の有無を調べていきます。
写真の症例は、原因不明の下痢・嘔吐で検査をした症例。
残念ながらバリウムでは異常は明らかになりませんでした。
人間ドックなんかでおなじみのバリウム検査。
胃の粘膜の状態をみたり、胃から腸への通過状況を確認するための検査なのですが、獣医領域では主に胃腸の通過障害が無いかを調べるためにおこなうことが多いです。
たとえば、吐き気が続く症例で検査をしたらボールが腸に詰まっていたとか、ビニールが詰まっていたとか・・・
なんてことが見つかったりいたします。
当院でも過去に梅干しの種が見つかった症例や、腸に穴があいちゃってた症例をとりあげたことがありましたね。

バリウムを飲む前の状態。

バリウムを飲んだ直後。
胃にバリウムが充満しています。

バリウムを飲んで1~2時間程度。
バリウムが胃から腸へ流れる様子が映し出されます。

6~7時間もすると、すべてのバリウムが結腸へ。
つまり、もう後はウンチとして出るだけであります。
このように、半日かけてバリウムの通過を追っかけてレントゲンを撮影し、胃腸の通過障害の有無を調べていきます。
写真の症例は、原因不明の下痢・嘔吐で検査をした症例。
残念ながらバリウムでは異常は明らかになりませんでした。
2012年05月02日 (水) | 編集 |
昨日のうちに、ゴールデンウィーク前最後のブログ更新をと思っていたのですが・・・
急な入院や、時間外診療のワンちゃん・ネコちゃんがいらしたため、思いのほか忙しくなってしまいました
ホームページには載せていましたが、GW中は5月3日(木)から5月5日(土)まで午前診療となっておりますのでご注意くださいませ。
その他は通常診療でございます。
さて、今日は「バリウム検査」の予告編であります。

バリウム。
つい先日、私も人間ドックで飲みましたが、ホントに飲みにくいですよね~
これを、写真にも写っていますが、針のついていない大きな注射器を使ってワンちゃん・ネコちゃんに飲ませます。
ワンちゃん・ネコちゃんも飲みにくそうにしていますが、大体はなんとか我慢して飲んでくれます。
ただ、人間のバリウム検査のように発泡剤を使用することはないので、まだましかもしれません。
人間の場合は、胃を膨らませる発泡剤も飲むために、げっぷが出そうになるのを我慢しながら無理やり飲むので余計に飲みにくいんですよね。
バリウムを飲んだ後に撮影したレントゲンはこんな感じです。

GW明けにつづきます・・・
急な入院や、時間外診療のワンちゃん・ネコちゃんがいらしたため、思いのほか忙しくなってしまいました

ホームページには載せていましたが、GW中は5月3日(木)から5月5日(土)まで午前診療となっておりますのでご注意くださいませ。
その他は通常診療でございます。
さて、今日は「バリウム検査」の予告編であります。

バリウム。
つい先日、私も人間ドックで飲みましたが、ホントに飲みにくいですよね~
これを、写真にも写っていますが、針のついていない大きな注射器を使ってワンちゃん・ネコちゃんに飲ませます。
ワンちゃん・ネコちゃんも飲みにくそうにしていますが、大体はなんとか我慢して飲んでくれます。
ただ、人間のバリウム検査のように発泡剤を使用することはないので、まだましかもしれません。
人間の場合は、胃を膨らませる発泡剤も飲むために、げっぷが出そうになるのを我慢しながら無理やり飲むので余計に飲みにくいんですよね。
バリウムを飲んだ後に撮影したレントゲンはこんな感じです。

GW明けにつづきます・・・
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