町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
心配なニュース
2011年11月29日 (火) | 編集 |
子犬ちゃんたちの事をとりあげるつもりでしたが、心配なニュースがありましたので、先にそちらについて・・・



全国初のトイプードル警察犬誕生!



「大型犬などが入り込めないような狭い場所での活動を期待」


とありますが・・・



これは災害現場での作業を意味するのでしょうか?



これはとっても心配。



トイプードルといえば、「膝蓋骨脱臼をおこしやすいことで有名」かつ「飛び降り・落下での前足骨折の代表犬種」です。


「椅子から飛び降りたら骨が折れた」「子供が抱っこしてたら、落っことしてしまって骨が折れた」「ソファから飛び降りたら膝の皿が脱臼した」なんてことが日常茶飯事の犬種を災害現場に連れて行ったらと思うと・・・




トイプードルやチワワ、ポメラニアンといった小型愛玩犬は骨格が脆く、過激な運動、段差からの落下・飛び降りには注意が必要というのはペット業界ではもはや常識だと思うのですが、違ったかな~?



いったいどんな現場で活動をさせるつもりなのか解りませんが、一般的にイメージする警察犬の活動には不向きな犬種だと思うのですが・・・



話題優先の人事(犬事?)ではないと信じたいものです・・・



怪我のない範囲で活躍してね・・・

産後の低カルシウム血症 予告編
2011年11月28日 (月) | 編集 |
入院の子たちの処置が忙しくて、ブログまで手が回らない状態でございます。




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この子たちの事をとりあげようと思っているのですが・・・




とりあえずは可愛いお尻を眺めてお待ちくださいませ・・・

骨が溶ける?? ②
2011年11月26日 (土) | 編集 |
さて、昨日の続き・・・



小型犬に多くみられる、大腿骨骨頭の壊死を特徴とする「レッグ・カルベ・ペルテス病」。



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丸で囲んだ部分が、壊死し始めた左股関節。右に比べると、全体的に黒っぽく写っています。
黒っぽく見えるのは、骨組織が壊死し、骨の密度が低下しているから。



ハッキリとした病因はわかっていませんが、病変部の軟骨血管の異常などによって骨組織が壊死していきます。



骨組織の壊死と、それによる骨の変形による関節炎で痛みが生じます。


この病気の治療法はありません。


痛み止めを使用しながら、患部のマッサージやリハビリ運動などで痛みの症状を緩和する(保存療法)ことはできますが、壊死の進行を止めることは通常はできません。


そのため、このような「保存療法」では一生痛みと付き合わなければなりません。



では、どうするかというと・・・


通常は外科的に壊死部分を取り除く手術がすすめられます。



「レッグ・カルベ・ペルテス病」で壊死がおこるのは股関節部分に限定されていますので、その部分の骨を切除してしまうことで、壊死の進行や骨の変形による痛みを取り除くわけです。




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このように股関節の骨を切除してしまっても、ワンちゃんの場合は体重を4本の足で支えていますので、日常生活に支障はでません。


もちろん、術後に数カ月のリハビリが必要ですが、それを過ぎれば見た目にはまったく普通に飛んだり跳ねたりできるようになります。


ちなみに、このような整形外科手術は私は不得意分野で、人員も手術器具も不足していますので大学病院などの二次診療施設にお願いしています。


整形外科は下手にいじくるとかえって悪化させてしまうことがあるので、中途半端に手を出すもんじゃないと思っております。




成長期のワンちゃんに発症する関節疾患では、このように成長異常・形成異常によって発症するものが多く、外科治療が必要になることも多いため注意が必要です。


このような骨格の形成異常によって発症する関節疾患では、少しづつ痛みや跛行(はこう:びっこをひくこと)が進行していきますので、ついつい見逃してしまったり、のんびり様子を見てしまいがちですのでご注意ください。




ちなみに大型犬では成長期に前足に異常が出ることが多いのでこちらもご注意ください。

骨が溶ける?? ①
2011年11月25日 (金) | 編集 |
ずいぶん前の症例になりますが・・・



ワクチン接種にいらした1歳のトイプードルちゃん。



飼い主様が、



「そういえば、最近左足(後ろ足)を痛がる様子があるんだけど・・・」
とのこと。



詳しくみてみると、確かに左の股関節を痛がる様子があります。



生後1年程度の小型犬で、股関節を痛がる場合に疑わしい病気の一つに、「レッグ・カルベ・ペルテス病」という病気があります。



成長期の小型犬に多くみられる病気で、大腿骨骨頭(太ももの骨の、股関節にはまる部分)が壊死してしまう病気です。


いまだ正確な病因がわかっていない病気。

病変部の軟骨の血管の異常などによって、徐々に骨が壊死し変形していきます。


骨の変形とともに痛みが生じ、歩行にも異常が出ます。


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丸で囲った部分が左の股関節。


その部分の色が、右に比べて薄い(黒っぽい)のがわかると思います。


これは、この周辺の骨が壊死したため、骨の密度が低下していることを示します。


まだ初期のため、極端な骨の変形は見受けられません。



つづく・・・

美味しいいただき物
2011年11月22日 (火) | 編集 |
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もうクリスマスシーズンですね~。



いただき物のコーヒー。クリスマスブレンドです。



このコーヒー、豆の状態でいただきました。



コーヒーを豆でくださるということは、私がコーヒー好きで、なおかつ自分で豆をひいて飲んでいることを御存知いただいているということ。



おそらく、このブログでずーっと以前に書いたのをご覧いただいて、憶えていただいていたのでしょうか。



そうでなければ、私がコーヒーを飲むこと、ましてや豆をひいて飲んでいることなど御存知ないはずの方でしたから・・・



こういったお心遣い、とてもうれしいものです。


本当にありがとうございました。美味しくいただいています!




ところで、先日の日曜日もずいぶんと良い天気でした。


また、サイクリングがてら紅葉を探しに行ってきました。



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座間市にある谷戸山公園


町田市にお住まいの方にはなじみのない場所ですね。


私は勤務医時代は座間市に住んでいたのですが、当時の住まいから歩いて10分ほどの場所にある公園。


この辺で言うと小山田緑地を少し小さくしたような感じでしょうか。


といっても、実際に行ったことはまだありませんが・・・



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のんびり外周を歩くだけでも30~40分。



とてもリラックスできる空間です。



昔ながらの里山そのままの姿を残す公園で、こんな素敵な東屋もあります。



園内には散策路がとても良く整備されており、かなりの部分が車いすやベビーカーでも不自由しないで散策できるようになっています。



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この公園、開業前に色々と悩んでいる時期に散歩したり、ランニングしたりして気分転換を図った場所です。



ここに来ると、初心に帰ったように、すがすがしい気持ちになれます。





これは痛い!
2011年11月21日 (月) | 編集 |
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これ、どういう状況か解りますか?




ネコちゃんの前足ですが・・・



伸びすぎた爪が肉球に刺さっている状態。



こりゃ痛い!



ワンちゃんでも親指の部分がこういう風になることが良くあります。




徐々に肉に食い込んでいくため、結構深くまで食い込むまで気づかれないことが多いのです。



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取り除いた爪。



5mmくらいが刺さっていました。



爪が二つになっているのは、抜くときに分離したから。



私が今まで見た症例で一番かわいそうだったのは、この刺さった爪がそのまま伸び続け、ぐるっと一周して爪の根元の横から出てきて、もう一回刺さり始めているという状態。



はじめ見た瞬間は頭の中に「?」マーク。



一本の指に爪が2本並んでいるように見えて、はじめは奇形か何かと思ったくらい。



局所麻酔をかけて爪を抜くと、ぐるっと1周半くらいの爪が出てきました。



ワンちゃんやネコちゃんの爪というのは、本来、自然環境の中で木に登ったり、地面を掘ったりする中で自然に適度な長さに保たれるものなのですが、人間のペットとして室内で飼育されている場合は、十分に爪が擦り減らないためにこういった問題が起きるものと考えられます。



しっかりと気をつけて管理してあげなければいけません。

神隠し
2011年11月19日 (土) | 編集 |
例の子猫ですが、まだ居候中。




当院にはワンちゃん専用の入院室、ネコちゃん専用の入院室、集中治療室の三か所の入院施設があるのですが、子猫はネコちゃん専用室に居候中。




他のネコちゃんの入院が無い時は、時々、ケージから出して室内で自由に遊ばせているのですが・・・




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いなくなってしまいました。



密室からいったいどこへ??



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最近は自分でケージの中までよじ登ることを身に付けたので、ケージの中にいるかと思いきや・・・



そこにもいない・・・










いました。




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そこは入院ネコちゃんの荷物カゴだぞ!



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いつの間にか、こんなところまでよじ登ることができるようになったみたいです。

水虫  ②
2011年11月18日 (金) | 編集 |
さて、水虫の続き。


「水虫」というのは人間での呼び名で、ワンちゃん・ネコちゃんでは「皮膚糸状菌症」という呼び名になります。



呼び方は違えと、原因となる菌は人間もワンちゃん・ネコちゃんも共通のため、人間から動物にうつることもあれば、動物から人にうつる場合もあります。



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糸状菌(水虫菌)



人間では水虫というと皮膚病の代表的なイメージがあるのですが、ワンちゃん・ネコちゃんの皮膚病としてはマイナーな存在です。



そんなに、しょっちゅう見かけるものではありません。



私も、今まででドンピシャ診断したのは数例です



これは、「皮膚糸状菌症」は軽症であれば1カ月~数カ月で自然に回復することがあることと、菌に感染しても無症状のこともあるからだと思われます。



ひどい症例では赤く皮膚炎をおこし、痒みも出ますし、脱毛し白っぽいフケのようなかさぶたが発生します。



症状の軽いものでは、少しフケっぽくなるだけで、飼い主様が気づかなかったり、気づいても様子を見ているうちに治ってしまっていることもあると思われます。




治療法は人間と同じ。



抗真菌作用のあるお薬を使用しますが、大切なのが最低でも1カ月は投薬を続けること。



皮膚糸状菌(水虫菌)はなかなかしぶとい菌です。



お薬を使い始めて1~2週間で症状が良くなったように見えても、菌はまだ生き残っていますので、その時点でお薬を止めてしまうとすぐに再発してしまいます。



ところで、治療法が同じとは言え、市販の水虫のお薬を、自己判断で使用するようなことはおやめくださいね。

水虫 ①
2011年11月17日 (木) | 編集 |
「皮膚糸状菌症」についてのお話です。




解りやすく言えば、「水虫」です。




皆さんご存知かと思いますが、「水虫」の正体はカビ。



「皮膚糸状菌」という種類のカビが皮膚に感染します。



良く耳にする「白癬菌」はそのうちの一種です。



この「皮膚糸状菌」ですが、人医療では感染する部位によって病名がかわるようです。



足なら「水虫」、頭なら「シラクモ」、股間なら「インキン・タムシ」などなど・・・



で、この「皮膚糸状菌」ですが、人畜共通感染症です。



つまり、人にもワンちゃん・ネコちゃんにも感染するということ。



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写真の上側が「糸状菌」の繁殖したネコちゃんの体毛。


下が正常な体毛。


「糸状菌」に感染した毛では、毛の構造が破壊され、ツブツブした菌がたくさん繁殖しています。





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これは繁殖途中の状態。



正常な毛の表面に菌が増殖している様子が良くわかります。



ワンちゃん・ネコちゃんでは体のどこに発症しても、基本的には「皮膚糸状菌」で呼び名は統一されます。



つづく・・・

本日のわんにゃんドック
2011年11月15日 (火) | 編集 |
今日はわんにゃんドックの話題。




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トイプードルのライチ君。



5歳になる男の子です。


歯石クリーニングを御希望なのですが、その全身麻酔前の検査を兼ねてのわんにゃんドックでした。



当院では、全身麻酔前には血液検査・心電図検査・胸部レントゲン撮影をおこない、麻酔の安全性について十分に調べさせていただくようにしています。



大きな疾病がない状態での麻酔(歯石クリーニングや避妊・去勢手術など)の場合は、12000円で上記の検査をおこなっています。



ライチ君についても、麻酔前検査としてはそれで充分だったのですが、「せっかく検査するならわんにゃんドックでもっと詳しく」との飼い主様のご希望で、わんにゃんドックBをおこなうことになりました。


わんにゃんドックは予防医療の一環としておこなっていますので、普通に検査をバラバラにうけていただくよりも、1000~3000円程度お安くうけていただけるようになっています。
(術前検査自体も、一つ一つの検査をバラバラにうけるよりも若干お安く設定してます。)


ようはセット価格ですね。


ですので、ライチ君も、通常の術前検査としての費用よりは金額はかかりましたが、検査の内容としては1000円~2000円程度お得になっています。



結果、大きな問題はありませんでしたので、予定通りに歯石クリーニングをおこなうこととなりました。




すこしづつ・・・
2011年11月14日 (月) | 編集 |
今日は獣医療とは関係のないお話し・・・




昨日は、とても良い天気でしたので、診療が終わってから尾根緑道をサイクリング。




そろそろ紅葉もはじまったころかと、のんびりと走ってきました。





紅葉


何の木でしょうね?



クヌギやコナラでしょうか?



写真に撮ると割と良く紅葉しているように見えますが、実際にはもう一息といったところ。




銀杏





多摩美大のあたりの銀杏は綺麗に色づいていました。



やはり、場所、木によって違いますね。



途中に見事な枝ぶりのもみじがあるのですが、そこはまったく紅葉の気配はなし。


昨年、通りがかった時にとても見事な紅葉を見せてくれていたので楽しみにしていたのですが、あと2週間くらい先でしょうか・・・


本日のわんにゃんドック
2011年11月12日 (土) | 編集 |
ちょっと久々にわんにゃんドックの話題。



キャバリアのチャーリー君。



1歳3カ月の男の子。




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昨年に引き続き、わんにゃんドックAをうけていただきました。



昨年の様子はこちら→click!



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昨年と比べるとずいぶんと大人っぽくなりましたね~。



チャーリー君
去年はこんな感じ。


チャーリー君、お住まいはなんと大田区。


わんにゃんドックのために、わざわざ町田まで足を運んでいただきました。


こんなに遠い病院でも、当院の理想とする医療に共感していただいて、ご来院いただける。



大変、ありがたく幸せなことです。



また、来年も元気なチャーリー君に会いたいものです。

爪とぎは段ボール製がお勧め
2011年11月11日 (金) | 編集 |
仔ネコの発育のために仕方がないので、仕事の手を止めて工作。



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何だかわかりますか?





正解は・・・















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爪とぎ。




ネコちゃんの正常な行動の一つとして、欠かせないのが爪とぎ。




爪の健康を保ったり、縄張りを主張したり、ストレス発散したり・・・




ネコちゃんを飼っている方の悩みの一つに、爪とぎがあると思います。



「カーテンで爪とぎして困る」「壁紙がボロボロになってしまった」などなど・・・



こういったことは、子猫のうちからしっかりと対策することで、かなり防ぐことができます。



ネコちゃんは、小さな頃に爪とぎをした場所や、素材に執着する傾向があるようです。



ですので、子猫のうちから、しっかりと爪とぎをして良い場所、良い素材を教え込むのです。



具体的には・・・



①仔ネコのうちは、ケージなどで行動の場を制限する。

どこにでも好きに行ける状態だと、自分で勝手にどこへでも爪とぎをしてしまうため、壁紙やカーテンが被害にあってしまいます。
ある程度、しつけがすむまでは、なるべくケージ(2階建~3階建のネコちゃん用ケージが望ましい)で飼育し、自分で好き勝手に爪とぎができないようにします。
もちろん、人の目がある時は自由にさせていてOK。
壁紙やカーテンなど「いけない場所」で爪とぎをしそうになったら、大きな物音で脅かしたりしてやめさせましょう。

こういったケージは、留守番中や、夜中に思わぬいたずらをしてしまったり、事故を防ぐために、大人になっても使用することがすすめられます。


②ケージ内に爪とぎを用意する。

市販の爪とぎを買ってきて、ケージの中に置いておく。
行動範囲の中に、爪とぎができそうな場所を一か所に限定しておくことがポイント。
そうすると、自然とそこで爪とぎする習慣ができます。
その状態で大人になったネコちゃんは、爪とぎをする場所と素材に好みが出来上がっていますの、その他の場所や素材ではあまり爪とぎをしなくなります。
もちろん、例外はあるので留守番中などはケージに入れておくことがお勧め。
そのため、ケージは大人になっても十分ゆとりのある大きめサイズがお勧めです。



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③爪とぎは段ボール製がお勧め。

この方法の一番の肝は、爪とぎをおこなう素材の好みを確立することにあります。
市販の爪とぎには、木製の物や、カーペット状のものなどがありますが、あまりお勧めできません。
なぜなら、ネコちゃんが家の柱と木製の爪とぎの区別がつく保証はありません。
同様に、床のカーペットとカーペット素材の爪とぎの区別もおそらくつきません。

そのため、カーペット素材の爪とぎに慣れた子は、床のカーペットでも爪とぎをしてしまうと考えられます。

その点、段ボール製の爪とぎであれば、万が一、専用の爪とぎ以外の段ボールで爪とぎをしても、それ程被害はでませんからね。(段ボール製のオブジェとかがあれば別ですが・・)


こういった工夫を仔ネコのうちからしっかりとしておくことで、かなり爪とぎの被害は防ぐことができるはずです。


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段ボール爪とぎ気に入ったようです。

神経学的検査
2011年11月10日 (木) | 編集 |
前回お話しした「神経学的検査」についてもう少し詳しく・・・


といっても、べつに特殊な事をやっているわけではなくて、まじめに神経疾患を診断しようとしたら、一番基本にやるべき検査です。



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専用の検査表を「獣医神経病研究会」作成してくれていますので、これに従って検査を進めるだけ。


上の写真は、「脊髄神経」の異常を診断するための検査項目のリスト。


有名なところでは「膝蓋腱反射」ですね。


いわゆる「脚気の検査」。膝のところを叩くと、足がピョコンと跳ねるあれです。


表を見ていただくと、「膝蓋腱反射」の横に「大腿神経」とかL4 L5 L6と記載してあります。


これは、この反射に関わる神経・脊髄を表します。


つまり、「膝蓋腱反射」に異常があれば、「大腿神経」やL4 L5 L6(腰の部分の脊髄神経)に異常があるということが推測されるわけです。



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こちらは「脳神経」の異常を調べるための項目。


脳からは、12対の脳神経が主に顔面に分布しています。


代表的なのが視神経や顔面神経、三叉神経といったところ。なんとなく耳にしたことがあるのではないでしょうか。



これらの神経が目の動きや、顔面の動き、口や舌の動きなどに関わっています。


ですので、「まぶたに触れた時に瞬きをするかどうか?」「唇をつねった時に反応するか?」「舌の動きは正常か?」ということを一つ一つ確認することで、どの神経に異常が起きているかがわかります。


どの神経に異常があるかが絞り込んだあと、その神経が脳のどの部位から発生しているかを確認すれば、脳のどの位置に異常があるかが推測できるわけです。



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このように、どの脳神経が、脳のどの位置から出ているかがわかっていますので、これに照らし合わせることで脳の異常部分がわかります。


たとえば、第3脳神経(Ⅲ)である動眼神経に異常があれば、脳幹部と呼ばれる脳の中央部分に異常があるということがわかるわけです。


基本的な検査で、脳神経疾患を診断するうえでは必ずやらなければならない検査なのですが、正しい知識のもとに、正確に神経を刺激し、その反応を判定しなければならないので、多少の経験が必要です。



この検査、地図を片手に「脳」という迷宮を探検するような感覚で、不謹慎な話かもしれませんが、とても好きな検査の一つです。

脳疾患 ②
2011年11月08日 (火) | 編集 |
さて、原因不明の食欲不振で経過観察をしていたネコちゃんですが・・・


一般的な治療に対しての反応が悪く、脳神経の異常の疑いがでてきました。



脳神経の異常というと、視覚異常、聴覚異常、発作、手足のまひなど様々な障害が出るのですが、自覚症状を訴えることのできないワンちゃん、ネコちゃんでは正確な病状をつかむのが難しいのが実情です。


高齢のワンちゃん・ネコちゃんの脳神経疾患では、脳腫瘍が原因になることが多いのですが、最終的にはMRI検査のような特殊検査で調べる必要があります。


ただ、MRI検査は大学病院等の特殊な検査施設での検査が必要ですし、何より、検査には全身麻酔が必要なので、「疑わしいから、ちょっと見てみましょう」という気軽な検査ではありません。


ですので、もう少し情報を集めて、本当に脳神経疾患かどうか診断を絞り込む必要があります。


そんなときに重要な検査が「神経学的検査」。


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写真は、「獣医神経病研究会」という専門医の先生方が提案している神経学的検査の検査表です。


これに従って、脳神経・脊髄神経系のチェックを進めていくことで、かなりの部分まで神経異常の位置を絞り込むことができます。


項目数はかなり多いのですが、これらの神経学的検査を一つ一つ調べて、どの部分に異常が出るかを診断していきます。


それによって、神経病変が脳内のどの部位にあるのかということが絞り込めます。


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これは私が独自に作成した、「病変の位置決めマップ」。


これと神経学的検査の結果を照らし合わせることで、どの部分の神経に異常が出ているのかが容易に判断できます(もちろん上手くいかないことも中にはありますが・・・)。



この検査で病変の位置を絞り込み、そのうえで必要性を判断しMRI検査などを進めていくことになります。



今回のネコちゃんでは、病変の正確な位置の絞り込みは困難だったのですが、脳腫瘍の可能性が極めて高く、大学病院での精密検査が勧められる状態でした。


ですが、すでに病状が進行しており、全身麻酔のリスクや、仮に脳腫瘍だったとしてその後の治療の可能性などを総合的に飼い主様とご相談させていただいた結果、これ以上の積極的な検査・治療は進めず、当院で可能な限りの緩和治療をおこなうこととしました。


ただ、残念なことに、このネコちゃんは初診から2週間程度で脳神経症状が急激に進行してしまい、飼い主様と相談した結果、それ以上の延命措置はおこなわずに看取ることとなりました。


初めに飼い主様が「様子がおかしい」とお気づきになられてから、たった1カ月半のことでした。


そして、明確な脳神経症状が認められてからは1週間程度のことでした。


きっと、ネコちゃん自身が自覚症状を訴えることができれば、もっと早くに診断ができたのかもしれません。


あらためて、脳神経症状の早期発見の難しさを思い知らされた症例でした。


改めて、このネコちゃんのご冥福をお祈りいたします。

脳疾患
2011年11月07日 (月) | 編集 |
自覚症状を訴えることのできないワンちゃん・ネコちゃんの診療で、難しいと感じるのが脳神経疾患の早期発見。



人間で脳疾患というと、脳梗塞が真っ先に頭に思い浮かぶ方が多いかと思いますが、ワンちゃん・ネコちゃんで脳梗塞というのは今のところ一般的ではなく、脳腫瘍による脳神経疾患が多いように思います。




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脳腫瘍


脳内に腫瘍ができると、徐々に大きさを増す腫瘍によって脳が圧迫され、それによって様々な神経症状が発現します。


たとえば、視覚障害・聴覚障害・めまい・頭痛・顔面神経の麻痺・手足のしびれや麻痺など・・・


これが、人間であれば初期のうちに自覚症状がでて病院に行くわけですが、ワンちゃん・ネコちゃんではそうもいきません。



ワンちゃん・ネコちゃんも、おそらく初期には軽いめまいや頭痛、手足のしびれのような違和感などを感じているはずですが、通常、そのような時期に飼い主様が症状を発見することは困難です。


おそらく我々獣医師が診察しても判別するのは困難でしょう。


たとえ、手足にしびれがあったとしても、普通どおりに動いていれば我々には異常なしと見えてしまいます。


「普通に動かせるけど少ししびれるんです」と言ってくれれば、そこから神経の異常を疑うことができるんですがね。


先日も、このような脳腫瘍を疑う症例で、早期発見の難しさを思い知らされたネコちゃんがいました。


一ヶ月くらい食欲不振が続くということで来院されたネコちゃん。


すでに、別の病院さんで血液検査などおこなったが、まったく異常が見つからないとのこと。



ですが、食欲がずっと回復せず、自宅でも常にベッドの下などの人眼につかないところに入り込み、御家族が触ろうとしても「ウーッ!」と唸るということ。



当院でも改めて血液検査・レントゲン・超音波検査など詳しく調べましたが、明らかな異常が見つかりませんでした。



唯一気になったのが、前足の動きが少し不自由そうなこと。


自宅では普通に歩いたり、高いところに飛び乗るようなことも多少はしているようでしたが、診察台などにのせた時に、少し前につんのめるような症状がありました。


ただ、この時点では長期の食欲不振による脱水症状や体力低下もありましたので、そのせいでふらついているのかな?という感じでした。


明らかな異常は見つからないものの、慢性的な脱水症状と栄養不良の状態でしたので、数日入院していただき、点滴治療と、鼻からチューブを入れて流動食の強制給餌をおこない、まずは体力を回復させて経過をみることにしました。


ところが、3~4日の集中的な治療で脱水症状・栄養状態が改善したにも関わらず、以前、食欲不振が続き、前足がつんのめるような症状も全く改善がありませんでした。


ここで、改めて脳神経の異常を疑い、検査をすることに・・・


つづく

尿石症の食事療法 ②
2011年11月04日 (金) | 編集 |
昨日は尿石症の一つの事例としてストラバイト尿結晶・尿石についてお話ししました。



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このように、長方形の結晶が特徴てきな尿結晶で、マグネシウムを主成分とする尿結晶。



尿石症には、体質と食生活が大きく関わっており、このストラバイト尿結晶はマグネシウムを多く含む食品を摂りすぎると発症することがあります。



特に注意していただきたいのが「煮干し」。


オヤツ代わりに与えていらっしゃる方も多いのですが、「煮干し」のマグネシウム含有量は魚介類の中でもトップクラス。


実際に、ストラバイト尿結晶のワンちゃんで、オヤツに与えていた「煮干し」を中止しただけで治ってしまった症例もあります。


ストラバイト尿結晶・尿石は昨日もお話ししたように、専用食を与えることで溶かすことができる可能性のある尿石です。


具体的には、マグネシウムやリンなどの栄養素を制限し、尿を弱酸性化することで、ある程度の大きさの尿石でも溶かすことができます。


もちろん100%ではないので、1~2か月継続しても溶解しない場合は手術が必要です。



ストラバイト尿結晶以外に良くみるのが、シュウ酸カルシウム結晶というカルシウム系の尿結晶。



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写真のように、ピラミッドを上から見たような特徴的な形。


この尿石は、一度、尿石化してしまうと食事療法などでは溶かすことができないため、手術での摘出が必須です。


ですので、尿石になる前の尿結晶の段階で予防食などを使用して尿石化を防ぐ必要があります。



注意したい食品はほうれん草。


シュウ酸が多く含まれる食品で、シュウ酸カルシウム結晶の危険性が高まります。



あとは、犬種も重要。



シーズーやビション・フリーゼ、トイプードルなどは、尿石症の多い犬種として知られていますので日ごろから注意が必要です。

尿石症の食事療法
2011年11月03日 (木) | 編集 |
散歩中に何度もおしっこをし、最後の方にはポタポタと血が混ざるということでいらしたワンちゃん。




もう、一年近く前からそのようなことが時々おこるそうです。




頻尿(少量の尿をちょこちょことやる)や血尿は膀胱炎の代表的な症状。



ワンちゃんの膀胱炎では、尿石が関わっていることが多いため、まずはしっかりと尿検査をする必要があります。



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調べてみると、やはり尿結晶がでています。



ストラバイトと呼ばれるタイプの尿結晶。


主にマグネシウムを主成分とした尿石・尿結晶で、ワンちゃんに最も多いタイプの尿石・尿結晶です。



尿検査で尿結晶が認められたら、次は超音波もしくはレントゲンで膀胱内のチェック。



尿中に認められるのは「尿結晶」といって、非常に小さな結晶の状態。


塩の結晶が水に溶けかけた状態をイメージしていただくと解りやすいかな?



一方、「尿石」は尿結晶が巨大化したもので、塩の結晶に対して「岩塩」をイメージしていだたくと解りやすいと思います。


「尿石」はある程度の大きさがありますので、おしっこ中にはなかなか出てきません。


したがって。超音波検査やレントゲン検査などの画像診断で、膀胱の中を確認し、「尿石」があるかどうかを確認する必要があります。



「尿結晶」だけであれば食事療法で治療できますが、大きな「尿石」が膀胱内に存在する場合は、手術が必要になることもあります。


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で、超音波検査をしてみると、御覧のように白っぽいモコモコした塊がみっつ。



これが「尿石」です。



幸い、今回出ているストラバイトというタイプの尿結晶・尿石は、食事療法で溶かすことができるタイプ。


手術はせずに、食事療法で経過を見ることになりました。


ただ、ここで注意が必要なのが、尿中に出ている「尿結晶」と膀胱内の「尿石」が同じ性質のものだとは限らないということ。


尿にでてきた尿結晶がストラバイトであることは間違いないのですが、膀胱内の尿石が別の種類であることもあり得るのです。


その場合は、食事療法では効果が無いため、手術をしなければなりません。



うまく尿石が溶けてくれることを期待しつつ、食事療法を続けること3週間。



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よかった、尿石はほとんど解けたようです。



黒く映っている部分が膀胱内の尿なのですが、とても綺麗な状態です。


町田市助成金について
2011年11月01日 (火) | 編集 |
ワンちゃん・ネコちゃんの避妊・去勢手術に対して、町田市が手術費の一部を補助する制度があるのですが・・・




今年度は補助金の申請が非常に多かったようで、平成23年度分の補助金を使い切ってしまったそうです。



例年であれば、1~2月頃に補助金終了の知らせが来ることが多かったのですが、今年は11月になる前に市から補助金終了の知らせが来てしまいました。



そのため、今後、ワンちゃん・ネコちゃんの避妊・去勢手術の際に補助金を希望される方は、キャンセル待ちとなるそうです。



補助金を申請する方の中には、近所のノラ猫ちゃんの避妊手術をするつもりだったのが、上手く捕まらなくて中止するというケースもあるので、キャンセルはそこそこにあるようです。


ただ、来年度4月からはまた新たな予算の枠組みで補助をおこなうはずですから、特に御急ぎでない場合は来年4月以降でも良いと思います。