町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
ネコの遺伝性腎疾患 ①
2011年09月30日 (金) | 編集 |
ネコちゃんの腎臓病の中に、遺伝性のある疾患があります。



「多発性のう胞腎」という病気で、ペルシャ系・アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールドなどの種類に多くみられます。


人でもみられる病気で、人間では難病指定されているような病気です。



雑種ネコでもみられ、日本国内では1000頭に1頭くらいの割合でみられるといわれています。






こちらが正常な状態の腎臓。



20110930 (2)



ソラマメ状の形をした臓器です。




多発性のう胞腎のネコちゃんでは、成長とともに腎臓内に液体をためた空洞が徐々に増加していきます。



20110930 (3)



中期ののう胞腎。腎臓の左端に直径9mm程度の空洞ができています。
この画像には写っていませんが、このほかにも直径5~10mm程度ののう胞(空洞)が多数観察されます。



これが、さらに進行すると・・・


20110930.jpg



腎臓全体にのう胞が広がり、正常な腎臓組織が失われてしまいます。


のう胞が増加したことで、腎臓そのものも巨大化しています。



正常なネコちゃんの腎臓はタテ4cm×ヨコ2cm程度なのですが、写真の症例はタテ5.7cm×ヨコ3.3cmと巨大化しています。



ここまでのう胞の数が増えて巨大化すると、正常な腎臓機能も失われ、腎不全に陥ってしまいます。



つづく・・・






回復の兆し・・・
2011年09月29日 (木) | 編集 |
消化器系の異常で入院、緊急手術をおこなったネコちゃんのカルテ。



20110929.jpg


いろいろと書いてある真中に・・・


「vig↑(元気上昇)、おこるようになる、手が出る」



という記載。


別にふざけているわけではありません。



重度の嘔吐と元気消失で、消化管の通過障害を疑い手術をおこなったのですが。



入院初日、手術前はぐったりしてほとんど動かず。


飼い主様のお話しでは、「普段から知らない人や、病院では警戒してシャーシャー怒る」ということでしたが、そんな余裕もないほどのぐったり具合。


手術から一夜明けて飼い主様が御面会にいらした時も、少しは調子が良くなったものの、まだまだ動きが鈍く、いつもの状態からは程遠い様子。


「今のところ、処置中に少し唸り声を上げることはあるけど、シャーシャーいって怒る様子はないです。もしかしたら、元気が出るとともにおこるようになるかもしれませんね~」


なんてお話しをした数時間後・・・



体温を測ろうとお尻を触ったとたん・・・



「シャー!!  パシッ!」と鋭いネコパンチが。。。


回復の兆しがみられたようです・・・


嬉しいような・・・悲しいような・・・

歯肉炎治療
2011年09月26日 (月) | 編集 |
先日わんにゃんドックに来てくれたノラちゃん



実は、一番の目的は歯肉炎の治療でした。



20110926.jpg


一見するときれいな状態なのですが、奥歯に歯石が付着し、その周辺が歯肉炎で真っ赤になっています。

痛みどめや、消炎剤で一時的に症状を紛らわすことは可能ですが、根本的な治療をおこなおうとすると、全身麻酔下での歯石クリーニングと歯肉炎治療が必要です。

そのため、麻酔前の検診も兼ねて、わんにゃんドックをご希望いただいたのでした。



「大人しいネコちゃんなら、麻酔をかけずに治療できるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりとした治療をおこなうためには、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)の処置や、歯の裏側(舌側)の処置が欠かせません。


麻酔をかけずに、ほっぺた側だけ処置をすることは、目に見える部分だけを綺麗にするだけの姑息的な治療法ですので、私はできる限り全身麻酔下での処置をお勧めしています。



さて、今回の歯肉炎ですが、普通の飼い主さんならまず気付かないレベル。


ノラちゃんの場合は、食事の際に固いドライフードを嫌がるというわずかな変化を、飼い主様が見逃さなかったため、早期発見に至りました。


今までも何度もお話してきましたが、ワンちゃん・ネコちゃんは自分自身でお口の痛みを訴えることができないため、どうしても発見が遅れ、治療が後手にまわりがちです。


動物にとって、口が痛くて食べれないというのは致命的です。
そのため、ちょっとやそっとの歯周病・口内炎は我慢してしまうので、明らかな食欲不振や痛みが出た頃にはかなり重症になっていることがほとんどです。


今回のように、比較的早い段階で、飼い主様から積極的に治療の御依頼があるというのは珍しいケース。


ほとんどの飼い主様は、こちらから治療を御提案しても、「まだ元気だし、食欲もあるから様子を見ます」とおっしゃいます。


やはり、治療に全身麻酔が必要なため、どうしてもふみきりにくいのでしょう。


治療費も、麻酔が必要になる以上、人間の歯の治療に比べて高額になってしまいますからね。


ですが、ネコちゃん・ワンちゃんの事を一番に考えれば、やっぱり早期にしっかりとした治療をおこなうことが、結果的には一番負担が少ないのです。(治療費の面でも・・・)


20110926 (2)
歯石を除去し、歯肉炎治療を実施。


今回のノラちゃんも、もしこの段階で治療をせず、数カ月から数年様子を見たとしたら、おそらく奥歯を抜かなければならないような歯周病に発展していたでしょう。


今回のように、早い段階で思い切って処置を受けていただけるというのは、飼いネコちゃんに対する飼い主様の責任と愛情が感じ取れて我々にとっても大変うれしいことなのです。





ゾロ
2011年09月24日 (土) | 編集 |
「ゾロ」という言葉を耳にされたことはございますでしょうか?


私の場合は「ゾロ」と聞くと「怪傑ゾロ」を思い浮かべるわけですが・・・



「かいけつゾロリ」を思い浮かべるお子様もいらっしゃるかもしれませんね。



ですが、この場合の「ゾロ」は「ジェネリック医薬品」のことです。



新薬の開発には莫大な投資が必要になるため、製薬会社は新薬を開発すると、その成分や製法について特許を取得し、独占的に製造・販売することで資本の回収と、次なる新薬の開発に向けての投資をおこなうわけですが・・・




P1010075_20110924124053.jpg




その特許の切れたとたんに、後発医薬品(ジェネリック医薬品)がゾロゾロと発売される様子から、医療関係者の間ではジェネリック医薬品のことを「ゾロ」とか「ゾロ品」と呼ぶわけです。

あまりイメージの良い言葉ではない気がしますが・・・


ジェネリック医薬品は、他社が開発したお薬の情報を得て製造するため、開発コストが必要ないため、オリジナルのお薬よりも安く販売できるメリットがあります。


ただ、なんでもジェネリックが良いかというと、そうでもなくて・・・


お薬の成分が同じでも、製造方法の違いやお薬の形状によって実際の生体に対する作用に差が出るのではないか?


という考え方があるようです。


ですので、慎重な先生(獣医師)によってはジェネリック医薬品の使用を避けることもあります。


先日も、某大学病院の循環器科の先生とジェネリック薬品の使用について相談した際に、「心臓病の治療中の子は、ほんのちょっとのお薬の作用の違いでも、急激に悪化させてしまう危険が0ではないので、できる限りジェネリックは使いたくないな~」という回答でした。


そういったこともあって、私自身も深刻な病状に対して使用するお薬に関しては、なるべくオリジナルのお薬(=実績がある)を使用するようにし、そうでないものはなるべくジェネリック医薬品を取り入れて、治療にかかるコストを下げるように心掛けているのです。

インプッター
2011年09月22日 (木) | 編集 |
人間でも動物でも一緒ですが、病気の治療には毎日の投薬が欠かせません。


ゴハンと一緒に気にせず食べてくれる子なら苦労はないのですが、敏感な子はゴハンの中からお薬だけ上手い具合により分けて吐きだしたりしてしまいます。


その場合は、電子レンジでチンした鶏肉に埋め込んで与えるなど工夫をするわけですが、それでも上手くいかないと・・・



今度は、口の中に上手い具合に放り込んで飲ませるわけです。

こちらに参考になるサイトがございます→click



ただ、口の中に手を突っ込んでお薬を飲ませる方法は、嫌がって咬みつかれてしまったりすると大変です。


ワンちゃん・ネコちゃんに悪気はなくても、指を突っ込まれた瞬間に反射的に咬みついてしまうことだってあります。



そんなときに役立つのがこのインプッター。



こんなのです。



20110922.jpg



先端がゴムでできていて、ここにお薬をはめ込みます。


20110922 (2)


注射器のような構造になっていて、わっかの部分を親指で押し込むとお薬が飛び出るような仕組みになっています。


先ほど御紹介したサイトにも掲載されていますが、この器具を口の奥まで差し込んで、奥まで入ったところでお薬をポンと押し込むわけです。


この方法なら我々の指が咬みつかれることはなく、安全にお薬を投与できるわけですが・・・


ただ、ワンちゃん・ネコちゃんにとっては、得体のしれない器具を口の中に突っ込まれるわけですから、もっともストレスのかかる与え方かもしれません。


病気になってからこういったことで苦労する前に、子猫・子犬の頃から、ドライフードを口の中に突っ込んで与えるなど、お薬を飲ませる練習をしておくと良いかもしれませんね。

ハネムーン期
2011年09月20日 (火) | 編集 |
糖尿病治療の中で、ハネムーン期と呼ばれる段階があります。



糖尿病の治療中は、血糖値の管理が上手くいっているか定期的に血糖値の推移を測定し、治療計画を見直す必要があります。



血糖値変動
糖尿病治療中のネコちゃんの血糖値の推移



ネコちゃんの血糖値の正常値は80~130程度です。


糖尿病治療中は、なるべく正常値に近づけるのが理想ですが、あまり欲張ると逆に低血糖をおこしてしまう危険もあるので、現実的には「100~200くらいに収まればいいかな」というところ。


上の写真は糖尿病治療中のネコちゃんで、昨年の6月に測定した値。


全体的に150以上とやや高めの血糖値ですが、まずまずといったところ。



ところが・・・


20110920.jpg


同じネコちゃんの今月の測定値。



常時400以上と血糖値のコントロールがまったく上手くいっていません。



このネコちゃん、今年の7月頃まではずーっと上手くいっていたのですが、8月ごろから急に血糖値のコントロールが上手くいかなくなってきました。



このように、糖尿病治療の初期は容易に血糖値をコントロールできていたものが、数カ月~数年たって途中から上手くいかなくなることが時々あります


これは、治療初期の段階では、まだ自分自身で血糖値をコントロールする能力が残っていたため、比較的インスリンの投与量が少なくても血糖値が上手くコントロールできるためです。


この時期をハネムーン期といいます。
何も難しく考えなくても、面白いように治療が順調に進む状態。

まさしく、ハネムーン。二人の前にはバラ色の毎日状態。




それが、時間の経過とともに糖尿病が進行し、ネコちゃん本人の血糖値をコントロールする能力がさらに低下していきます。
それによって、徐々に血糖値のコントロールが難しくなっていき、思ったように治療が進まなくなっていきます。



このように、治療のはじめは何の苦労もなく順調に行くのに、途中からだんだんギクシャクしていく様子を人間の結婚生活に例えているわけです。


それにしても、この名前を付けた人は、よっぽど結婚生活に思うところがあったんでしょうね~

困ったな~
2011年09月17日 (土) | 編集 |
昨日、午後3時の状態



20110916.jpg


トイレの排水不良発生。

ラバーカップで復旧を試みるも、どうも単純なつまりではなさそう。



業者さんに来てもらうことに・・・







午後7時の状態



20110916 (2)


トイレを外しての作業。



それでも、問題は解消されず (´Д`|||)



どうも当院テナント部分の問題というよりは、マンション共有部分の配管の問題の可能性。


特殊機材が必要とのことで、作業は17日朝に再開予定。



ということで、当院、本日午前中はトイレが使えません(´Д`) =3


ご迷惑をおかけいたします<(_ _)>

前歯の歯周病
2011年09月16日 (金) | 編集 |
先週おこなった歯周病治療のダックスちゃんの様子。



20110916as.jpg


上の前歯が歯周病でひどい状態です。


歯の根っこがむき出し。下の前歯と比べていただくとよくわかると思います。


もうぐらぐらでピアノの鍵盤状態。



ここまでなってしまうとどうにもなりません。すべて抜歯です。



20110916as (2)


奥歯も歯槽膿漏で歯根むき出しになってしまっています。これも、やむを得ず抜歯となりました。





注目はこちらの歯。


20110916as (3)


歯石で茶色く汚れているのでわかりにくいですが、歯の表面が割れて、欠けてしまっているのがお分かりいただけるでしょうか?


平板破折というのですが、奥歯が縦割れした状態です。


非常に固いものをかじった時に、歯が耐えきれずに縦にパキンと割れてしまいます。


特に乾燥させた「豚のミミ」が危険。


固いうえに弾力があるため、歯のほうが耐えきれずに割れてしまうことが多いのです。


表面が軽くかけた程度なら良いのですが、歯の根っこまで割れ目が及んだり、歯髄という歯の中心部がむき出しになったりしてしまうと抜歯が必要になります。


歯磨き効果を期待して与える飼い主様が多いのですが、獣医師歯科医療では与えてはいけないのが常識。


豚の耳に限らず、乾燥させた動物の皮やスジ等の商品で、明らかに硬そうなものは危険です。


「噛み砕ける」物はまだ良いのですが、豚の耳のように弾力があって砕けにくいものは特に危険。力が歯に集中した結果、欠けてしまうのです。


困ったことにペットショップなどで普通に売られており、こういった危険性について店員さんも熟知していない方が多いようです。


先日の中毒の時にもお話ししましたが、ペットショップで売られているものすべてが安心・安全かというとそんなことはなく、商品を購入する側も十分に知識をもって選ぶことが必要です。

本日のわんにゃんドック
2011年09月15日 (木) | 編集 |
月曜日におこなったわんにゃんドック。



2歳になるかならないかくらいのネコちゃん。




20110912nh.jpg


ノラちゃんです。


非常に病院で緊張しておりまして、御覧のように両耳がペッタンコにたたまれてしまっています。



こちらのネコちゃん、2年ほど前に当院で手術をおこなった経歴がありまして・・・


その時の様子はこちら→click


交通事故と思われるのですが、骨盤の複雑骨折と、尻尾の重度の外傷で入院しました。


尻尾については損傷がひどく、感染症もあったため切断。


骨盤骨折については、本来は手術ができれば良かったのですが、当院に来院した時点ですでに受傷から数週間たっていると思われる状態で、すでに骨が固まりつつある状態でした(歪んだ状態のまま)。


とりあえず、歩行にやや不自由がみられるものの、排便・排尿に大きな問題が無いようだったので、そのまま経過観察とした症例です。


2年たって、尻尾の部分はもちろん、骨盤についても歩き方に不自由は残ったものの、日常生活に問題のないレベルまで回復して元気にしておりました。


人間の場合、ここまで骨盤が歪んでしまうと自力での歩行は困難でしょうが、体重が軽く、四足で行動するネコちゃんは結構不自由せずに生きていくことができます。


もちろん、すべての症例で手術せずに放っておいて良いわけではありませんが、状況によってはということです。



ドクターズファイル掲載
2011年09月13日 (火) | 編集 |
ドクターズファイルという地域の医師・歯科医・獣医師を紹介するサイトがあるのですが・・・



その町田版にとりあげていただきました


df20232-main.jpg



7月末ごろに取材を受けたのですが編集スタッフさんと、カメラマンさん、ライターさんの3人での取材と、なかなか本格的な形でした。



さすが、プロのカメラマン。院内の写真がとてもきれいに撮影されています。




df20232-5.jpg




当院の待合室、診察室って日当たりが良すぎて、かえって写真を撮るのが難しいのですが・・・



さすがプロですね~

背中一面に・・・
2011年09月12日 (月) | 編集 |
背中一面に「ハゲ」ができてしまったというネコちゃん。




20110912.jpg



首から腰にかけて何箇所か毛が抜けてしまっています。




毛をかき分けてみると・・・



20110912 (2)



痒くて自分でひっかいり齧ったりしたのでしょう。



皮膚に削れたような傷跡が残り、周辺の毛が根元から切れてしまっています。



脱毛というよりは切れ毛の状態。



このように背中から腰にかけて痒みが生じ、自分で齧ってしまう症状で一番に疑うのが「ノミアレルギー」。


ワンちゃんでも、ネコちゃんでもノミに刺されてアレルギーをおこすと、写真のように背中から腰にかけて猛烈な痒みを生じ、自分で齧ってしまって皮膚炎をおこすことが一般的。



ただ、今回のネコちゃんは室内飼育でノミの寄生は確認できませんでした。



次に疑うのは、以前もとりあげましたが、ネコちゃんの「好酸球性肉芽腫症候群」。



アレルギー性皮膚炎の一種と考えられている。ネコちゃん特有の皮膚病。



一般的には内股などの皮膚の柔らかい部分に出ることが多く、このように背中一面に出ることはあまり経験が無いのですが・・・



皮膚検査をしてみると、やはり「好酸球」が多数確認されました。



20110805eo.jpg
ピンクの顆粒を持った細胞が「好酸球」。
写真は別の症例。



この「好酸球」が多数確認されるのが「好酸球性肉芽腫症候群」の特徴です。



アレルギー性疾患は完治するということは難しく、人間の花粉症のように、症状を押さえるお薬を使用するしかありません。


春先や秋口など一時期だけの投薬で済む子もいれば、一年中お薬を投与しなければいけないネコちゃんもいます。


今回のネコちゃんは、今年の8月に初めて発症したので、今後どうなるかは様子を見ながらの投薬になります。



中毒の個体差
2011年09月10日 (土) | 編集 |
さて、前回の続き。



人間には平気なものでも、ワンちゃん・ネコちゃんには中毒をおこすものが様々あるというお話をいたしました。



肝臓で化学物質を代謝する能力に種属差があるからなのですが・・・



中毒するかどうかは、個体差も大きく関わりがあります。


一番わかりやすいのが、お酒に強い人と弱い人の違い。


アルコールは化学物質の一種。お酒を飲むと、肝臓で酵素によって代謝されるのですが、この酵素の働きの個人差がお酒に強い人、弱い人の差になって表れるのです。



同様に、どんな薬物に対しても個体差がありますので、同じ化学物質を同じ量摂取しても中毒になりやすい個体と、なりにくい個体があるわけです。





あとは化学物質に対する「感受性」の差というものがあります。


つまり、同じ化学物質を摂取しても、それに対する反応の激しさが個体によって違うというのです。


代表的なのがタマネギ中毒。


人間にとっては代表的な食材ですが、ワンちゃん・ネコちゃんが摂取すると中毒をおこし、血液が溶解する「溶血」という症状が出ます。ネギやニンニクなども同様の中毒をおこします。


このタマネギ中毒は、「感受性」の差によって症状の出方が違うというのです。


たとえば、スプーン一杯の焼肉のタレ(タマネギエキスを含む)で明らかな症状が出る子もいれば、タマネギを1/4欠片ほど食べても全くケロッとしている子もいるということです。


すき焼きの残りのお汁(ネギのエキスが入っていた)で中毒を起こしたなんて話もあります。


人間の食事にはタマネギ・ニンニク・ネギなど目に見えない形で含まれているものが多いですから、思わぬもので中毒を起こす可能性があるので要注意です。


人間と生活を共にするワンちゃん・ネコちゃんは、野生の動物が本来接触しないような様々な化学物質に接触する危険性があります。


人間にとっては安全で身近なものでも油断はできませんし、人間にとっても有害な物質(ペンキ・農薬・洗剤など)は、体の小さなワンちゃん・ネコちゃんにとっては少量でも非常に重い中毒をおこすことがあります。


飼い主様がちょっと気をつけるだけで防げる事故というのはたくさんあります。


ぜひ、日ごろからご注意いただければと思います。

ミントフレーバーの歯磨きグッズ
2011年09月09日 (金) | 編集 |
当院スタッフの村田からの質問だったのですが・・・



「ペットショップで、ネコちゃん用のミントフレーバーの歯磨きグッズが売ってたんですけど、あたえて平気ですか?」


とのこと。


ミントフレーバーの商品は、人間でも歯磨きやお菓子などなどに使われているわけですが・・・


人間でも過剰に摂取すれば吐き気やめまい、痙攣などの症状をおこす可能性があるそうです。

皮膚や目に触れるものでは、皮膚炎や角膜の損傷をおこすこともあるそうな。
日本中毒情報センター


生き物というのは、体内に薬物や毒物を取り込んだ場合、肝臓で解毒して体外へ排泄するという機能をもっています。


この肝臓の機能によって、薬物の効果や、毒物による中毒の危険性がかわってきます。


そして、肝臓の機能は動物によって差があり、人間にとっては無害なもの(むしろ薬になるもの)でもワンちゃんやネコちゃんにとっては致命的な毒物になってしまうことがあるのです。

たとえば人間の風邪薬や頭痛薬にふくまれるイブプロフェンやアセトアミノフェンといった薬品。


テレビのCMでも耳にすることがある薬剤ですが、ワンちゃん・ネコちゃんで中毒をおこす薬品としてはかなり有名。

大学の薬理学の授業で散々聞かされた憶えがあります。

死にいたることもあるので要注意!

私も、過去に留守番中に風邪薬をいたずらして食べてしまったワンちゃんの中毒死を経験したことがあります。


その他いろいろありますが、キシリトールも有名。


人間では歯磨きガムなどで一躍有名になった成分。


ワンちゃん用の歯磨きガムなどにも一時期多く使われていましたが、その後、ワンちゃん・ネコちゃんで中毒をおこす(致命的な肝障害をおこすことも)ことがわかったため、現在では使われなくなっています。


また、最近ではアンチエイジング効果をうたったサプリメントに含まれていたりするαーリポ酸という物質。

人やワンちゃんではその有効性が確認されているそうですが、ネコちゃんでは毒性が強いということがわかっています。


人間用のサプリメント1~2粒程度でも中毒をおこす計算。


このように、動物種によって薬剤に対する反応というのは大きく差がありますので、安易に人間でいいサプリメントだからといってワンちゃん・ネコちゃんにあたえるのは大間違い。


キシリトールの事例のように、実際に商品として売っているものでも安心できないこともあるのです。


ですので、ミントフレーバーにしても問題ないかもしれませんが、かならずしも必要なものではないのだから、与えない方が無難というのが私の考えです。


ところで、中毒の発症には種属差だけでなく、個体差もあります。

それについては次回につづく・・・

栄養不良のため・・・
2011年09月08日 (木) | 編集 |
口腔内にガンができてしまったため、緩和療法をおこなっているネコちゃんなのですが・・・



ブラッシング中にごっそりと皮膚がはがれおちてしまいました。


20110908.jpg



口腔内のガンのため、現在自力で食事をとることができず、鼻の穴から通したチューブを通して食事を摂っているのですが・・・


それでも十分な量があたえられていないのと、ガンの進行によって体力が低下していることによって、皮膚が脆弱化しています。



特につよくブラシが当たったわけではないのに、毛のもつれと一緒に薄っぺらになった表皮がはがれおちてしまいました。



もともとネコちゃんの皮膚は犬や人に比べて薄いのですが、それがさらに薄く透けて見えるくらいの状態。



このような状態の皮膚は縫合することが不可能。



ポリウレタンフォームを使用した湿潤療法で皮膚の再生を待つこととなりました。


今回は皮膚が非常に弱った状態でのトラブルでしたが、健康なネコちゃんでも、皮膚が薄く柔らかいため、強くクシでとかしたり、毛玉をハサミで切ろうとして傷つけてしまうことが多いので注意が必要です。

ペット育児マガジン 「Peiku Magazine」
2011年09月06日 (火) | 編集 |
ペット育児マガジン 「Peiku Magasine」というのがあるんですが・・・




20110906.jpg



一部ペットショップやトリミングサロンなどで設置販売している情報誌。




ちょっと縁ありまして、「毛・スキンケア」についての紙面対談というのにご協力させていただきました。



20110906 (2)


一部100円だそうです。


病院での販売予定はありませんが、見本が一部送られてきているので置いておきますね。


ぜひご覧ください。

沈黙の臓器
2011年09月05日 (月) | 編集 |
「沈黙の臓器」という言葉を耳にされたことはございますでしょうか?



肝臓のことです。


肝臓は体内で代謝・排泄・解毒にかかわる重要な臓器で、再生力・予備能力が高いため、病気になってもかなり末期になるまで症状がでません。

裏を返せば、目に見える症状が出てから診断・治療をしても手遅れになることがほとんどなのです。


そのために、「沈黙の臓器」と呼ばれています。



この病院を開院してからもうすぐ3年ですが、ここ最近、つくづくこの事を思い知らされる症例が続いています。



こちらで開業してから、勤務医時代よりも積極的に超音波検査をおこなったり、わんにゃんドックで病気の早期発見に努めているのですが、そのおかげか、肝臓疾患を早期に発見することが非常に多くなっています。



20110905 (2)


上の写真は、歯科処置をおこなうために、麻酔前検査として血液検査をおこなった症例。
肝臓の数値に若干の異常あり。

元気食欲などまったく問題なく、肝臓の数値の上昇も軽度だったので、そのまま麻酔をかけることも可能な状態でしたが、念のために超音波で肝臓の状態を確認させていただくと・・・


肝臓中央部に直径2cmほどの腫瘍を発見。

その後の経過からすると、おそらく悪性腫瘍(つまりガン)。

超音波検査をおこなわなければ、確実に見落としています。そして、末期になって明らかな症状が出て初めて気がつくことになったでしょう。




20110905.jpg


こちらの症例は、わんにゃんドックで肝臓腫瘍(疑い)が見つかった症例。

この症例も、元気食欲などまったく問題なく、わんにゃんドックを受けていただけていなければ、まったく気がつかれなかった状態。


三角印で囲んだ部分が肝臓。その中の、丸で囲んだ部分、少し黒っぽく見える部分が腫瘍部分。


こちらも、悪性腫瘍(ガン)の疑いで、精密検査を大学病院に依頼する予定。


この二症例以外にも、多数の症例で、積極的な検診、超音波検査をおこなうことで肝臓腫瘍・肝臓病を早期発見することができています。



・・・ただ・・・


このように明らかな症状が出る前に発見できた症例でも、延命治療がやっとで、完治させることが難しいのが実情。



積極的な検査で早期発見できるようになったものの、まだまだ元気・食欲もまったく問題のないワンちゃん・ネコちゃんに、天寿を全うすることが難しいとお伝えしなければならないことがほとんど。


見た目にはまったく問題のない愛犬・愛猫を前にした飼い主様にとってはまさに「青天の霹靂」。


どうすれば、深刻な病状を正確にお伝えすることができるのか、いつも悩まされるのです。

にくきゅう~
2011年09月02日 (金) | 編集 |
先日、皮膚病で治療中のネコちゃんからこんなものをいただきました。



20110902.jpg



アレルギー疾患のため、いろいろと食事療法をご相談させていただいていたのですが、そのお礼にとねねちゃんからプレゼント



ドキドキしながら開けてみると・・・




20110902 (2)



なかから「幸せにくきゅう」が・・・





20110902 (3)


美味しくいただきました





こんなのもでました
2011年09月01日 (木) | 編集 |
先日の重度歯周病のワンちゃんですが・・・


抜けてきたのは歯だけではありませんでした。



20110901.jpg



これ・・・


木の枝? それともプラスチックの破片?



何かは良くわかりませんが、歯槽膿漏でグズグズに炎症を起こした奥歯の根っこに入り込んでいました。



20110827 (2)
この歯を抜いたら奥から出てきました。



草木をかじったり、プラスチックのおもちゃをかじったりしているうちに、その破片が歯槽膿漏でグズグズになった部分に入り込んでしまったのでしょう。


両端に歯石がついているくらいですから、少なくとも数カ月は歯の根っこにささったままだったんでしょう。


これで、ずいぶんと楽になったはずです。