町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
尿管結石 ③
2010年11月30日 (火) | 編集 |
尿道結石と尿管結石を併発したネコちゃんのつづきです。

前回お話したとおり、膀胱内の尿石が尿道をふさいでしまうため、手術で尿石を取り除かなければ命にかかわる状態でした。

ですが、ここで大きな問題が。

このネコちゃんは、併発している「尿管結石」による「水腎症」のために、重度の腎不全に陥っていたのです。

尿管結石 (2)

水腎症
水腎症に陥った腎臓。貯留した尿で腎組織が圧迫されています。結果、腎臓機能が低下し腎不全に。

非常に進行した重度の腎不全で、今回の尿道結石の事がなかったとしても、余命数カ月という状態でした。

この腎臓では、全身麻酔をかけての手術というのは非常にリスクが高い状態でした。

?手術が成功しても、術後に腎不全がさらに悪化し、術後数日?数週間で亡くなる可能性がある。
?手術そのものに体が耐えられず、命を落とす可能性がある。
?上手くいけば、術後数か月を生きることはできるが、いずれにせよ腎不全のため近い将来亡くなることは間違いない。


理想的には「尿管結石の除去」、「膀胱結石(尿道結石)の除去」、「尿道結石の再発を防ぐための尿道出口拡大手術」の3つをおこなうことです。

ですが上記のリスクを含め、飼い主様と様々なオプションについてご相談した結果、最低限、今を生き伸びるのに必要な手術のみとなりました。

手術の内容としては、膀胱内の尿石を除去することと、また新たな尿石が発生した時に、再び尿道に詰まらないよう尿道の出口を拡大する手術。

その二つを同時に行うことになりました。

つづく・・・

尿管結石 ②
2010年11月29日 (月) | 編集 |
腎臓と膀胱との間を結ぶ尿管に結石が詰まってしまった症例の続きです。

尿管結石

腎臓と膀胱を結ぶ尿管が閉塞してしまうと、腎臓で産生された尿の行き場がなくなってしまいます。
行き場のなくなった尿は腎臓を圧迫し、腎臓の組織を押しつぶしていきます。

水腎症

▽で囲んだ部分が腎臓です。
腎臓の黒く空洞になっている部分はすべて尿です。
行き場のない尿が腎臓内に溜まり、腎臓組織が押しつぶされてしまっているのです。
水腎症とよばれる状態です。

水腎症 (2)

同じ症例の腎臓でも、腎臓の障害が軽度な部分です。
上の写真に比べると腎臓の構造がまだしっかりと残っています。

押しつぶされた腎臓組織は、障害が生じてから数日のうちに閉塞を解除すれば機能を取り戻すとされていますが、今回の症例はすでに数カ月以上経過していると思われ、腎臓に重度の機能障害が生じていました。

実はこの症例は、そもそも「尿道結石(膀胱と外界を結ぶのが尿道)」で来院された症例でした。

プレゼンテーション1

→のところに小さな石が写っています。

「おしっこが急にでなくなった」ということで来院され、詳しく調べたところ「尿道(膀胱と外界をつなぐ)」だけでなく「尿管(腎臓と膀胱をつなぐ)」にも結石が見つかったのです。

おそらく、何カ月も前に尿管結石で「尿管」が閉塞し、腎臓障害が発生しており、それにつづいて今回「尿道」にも結石が詰まってしまったようです。

腎臓?膀胱


「尿道」に結石が詰まってしまうと尿がまったく排泄できなくなります。
これは致命的です。1?2日のうちに解除しなければ命にかかわります。

「尿管」の閉塞の場合は、左右の尿管が同時に閉塞しない限りは、すぐに命にかかわるということはありません。

この症例は一度は尿道にカテーテル(管)を通して結石を膀胱に押し戻し、尿道の閉塞を解除しましたが、その後、すぐにまたつまってしまいました。

これはもう、手術で石を取り出さなければいけません。

ですが、手術をおこなうには大きな問題がありました・・・

つづく・・・

尿管結石 ①
2010年11月27日 (土) | 編集 |
尿石症はどこに尿石が存在するかで病名がかわります。

腎臓内にある場合は「腎結石」。
膀胱内にある場合は「膀胱結石」。
腎臓と膀胱をつなぐ尿管内にある場合は「尿管結石」。
膀胱と外界をつなぐ尿道内にある場合は「尿道結石」。

獣医療で見かけることが多いのは「膀胱結石」や「尿道結石」です。

これらの場合は「血尿」や「排尿困難」などの症状がわかりやすいため、飼い主様も早くに気がついて来院されることが多いのですが・・・

こちらは「尿管結石」の症例のレントゲンです。

尿管結石

レントゲンに尿管そのものが写ることはないのですが、ちょうど腎臓と膀胱をむすぶ直線状に直径5mm程度の結石が写っています。

この部分を超音波で確認すると・・・

尿管結石 (2)

拡張した尿管内に白く輝く結石が詰まっているのが良くわかります。

通常、超音波で尿管を確認することはできません。

結石が尿管内に詰まると、その部分の尿の流れが滞り、溜まった尿で尿管が拡張します。
そうするとこのように超音波でも尿管を確認することができます。

尿管結石では、尿管が閉塞した際に腹部に痛みが生じるはずですが、実際には無症状で飼い主様が気づかないことも多いようです。

腎臓は2個あるので、両方の尿管が同時に閉塞しない限りは、おしっこそのものは通常通りにでるので、たとえ腹部の痛みで元気・食欲がなくなったとしても、尿管の問題とは気付かれにくいのです。

尿管結石のやっかいなところは、飼い主様にも獣医師にも気づかれないまま、腎臓障害がすすむところです。

尿管が詰まると、腎臓から膀胱に尿が流れなくなります。
そうすると、腎臓で産生された尿の行き場がなくなり、腎臓内にたまった尿が腎臓組織を圧迫し、腎臓組織を押しつぶしてしまうのです。

この症例も、すでに腎臓内に尿が貯留し、腎組織が障害され、腎不全におちいっていました。

つづく・・・

マイクロチップ登録
2010年11月25日 (木) | 編集 |
今月はマイクロチップの挿入が続きました。
マイクロチップについて詳しくはこちら→click

マイクロチップ 登録

マイクロチップ挿入後、登録用紙を「AIPO」と呼ばれる登録管理団体に送付することで手続きが完了します
登録完了までおよそ1カ月。
結構時間がかかります

動物保険のアニコムさんのデータでは、アニコム契約動物のおよそ10パーセントのワンちゃん・ネコちゃんにマイクロチップが挿入されているそうです。

県別でみると・・・

北海道では0.7%
東京都は9.9%
愛知県では18.6%

と地域差がありますが、全国平均すると9.9%ということです。

でも、最近はペットショップで販売される時点でマイクロチップが挿入されていることがほとんどですから、この数値は今後どんどん増加していくものと思われます。

おなじアニコムさんのデータで、2008年のワンちゃん・ネコちゃんの行政での保護頭数はおよそ30万頭。
飼い主様のもとに帰れたワンちゃん・ネコちゃんというのはそのうちのごく一部、数万頭程度だそうです

マイクロチップが普及するとともに、こういった数字が改善されるとよいですね。

ちょっと気が早いかな・・・?
2010年11月22日 (月) | 編集 |
ちょっと気が早い?

冷たい雨がふってますね?

こんな日は患者さんも少なく、我々もちょっと手持無沙汰になります

そこで、ちょっと気が早いかな?とおもいつつもクリスマスの飾りつけです

谷口 「ちょっとまだ早すぎるかな??」
村田 「いやでもデパートなんかは11月1日からですから?」

なんていいながらの飾り付けでした

ちょっと気が早い? (2)

ちょっと気が早い? (3)

それでも、今年も残すところあと一カ月と少しです。
早いものですね?

来月で当院も開院して丸2年になります



本日のわんにゃんドック
2010年11月20日 (土) | 編集 |
今日のわんにゃんドックはMIX犬の福ちゃんです

今月末が誕生日で、もうすぐ三歳になる女の子です

福ちゃん

診察台の上でちょっと緊張気味

診察台を降りると元気いっぱいで愛嬌をふりまいてくれるのですが、どうも診察台の上は苦手なようですね?

重度の歯周病
2010年11月19日 (金) | 編集 |
本日おこなった歯周病治療の症例です。

まだ8歳とそれ程高齢ではないのですが、すでに重度の歯周病で下顎の前歯がほとんど抜け落ちてしまっています。

下顎の歯周病

残った歯にも歯石が付着し、歯周病が進行した状況です。

歯石 奥歯

奥歯にも、前歯ほどではありませんが歯石が付着し、歯周病が発生しています。

ワンちゃんでは唾液の分泌される位置関係から、奥歯が歯周病になりやすいのですが、このワンちゃんは前歯のほうが極端に進行していました。

トイプードルやヨークシャーテリアなど毛の長いワンちゃんで時々あるのですが、皮膚を口でかじって掻くときに、前歯に毛が絡まってしまい、そこに汚れが蓄積して歯周病を起こすことがあります。

酷いときには前歯にフェルトのように毛が絡みつき、ものすごい口臭を放っていることもあります。

今回のワンちゃんも、慢性的な皮膚病を患っているので、歯で痒いところをかじっているうちに、毛と汚れが前歯周辺に蓄積していたのかもしれません。




下顎処置後

処置後の様子ですが、上の前歯も歯周病で根っこが3分の1ほど見えてしまっています。
これ以上進行していたら、この前歯も全部抜かなければならないところでした。

奥歯処置後

奥歯の歯周病はそれほどでもなかったので、クリーニングだけで済みました。

歯の健康は体全体の健康状態に大きく影響を及ぼします。

理想は毎日、それが無理でも週に2?3回はブラッシングするようにしていただくだけで、5歳を過ぎてからの歯の健康に大きく違いが出ます。

素敵ないただき物・・・
2010年11月18日 (木) | 編集 |
P1010075_20101118095002.jpg

素敵なお花をいただきました

オレンジを基調としたとてもかわいらしい薔薇のアレンジメントです
実物はもっときれいなのですが・・・

なんせ7?8年前の古いデジカメではこれが限界です

手術の記録を残したりするのにも使うので、そろそろ買い換えようかな?

またしても・・・
2010年11月16日 (火) | 編集 |
何度か取り上げている「子宮蓄膿症」ですが、この病気は発情期のサイクルが関わる病気ですので、春と秋と年に2回発症のピークがきます。

ちょうど、10月?12月までが2回目のピークになるのですが・・・

今度は4歳と比較的若いワンちゃんでの発症です。

膿の貯留した子宮
超音波画像

右側の黒い部分が膀胱です。
超音波検査では体内の液体は黒く映ります。

通常は、下腹部には液体は尿しか存在しませんので、膀胱以外に「液体を貯留した黒い像」がみられるのは異常です。

左に2個映っている黒い部分は、膿がたまった子宮です。

膿の貯留した子宮 (2)

別の断面図から見た子宮。
ソーセージ状に膨らんだ子宮の形が良くわかります。
内部のひだ構造も良くわかります。

子宮蓄膿症は以前も書いたように緊急疾患ですので、できる限り早急に手術をする必要があります。

子宮 術中所見

体重2.8kgのチワワちゃんなのですが、こんなに膿がたまっていました

取り出した子宮の重さはおよそ140g。
体重のおよそ20分の1の重さです。

これを、体重60kgの人間で換算すると、3kgもの大量の膿が体内に溜まっていたことになります

子宮蓄膿症は、手術で子宮を取り除いても、それで「もう大丈夫」というわけにはいきません。

体内に溜まっていた膿の毒素が、術後もしばらく悪影響を及ぼします。
最悪の場合、手術が成功しても、術後数日のうちに命を落とす可能性があります。

今回のワンちゃんも、術後数日間、低体温と低心拍があり心配されましたが、なんとか回復して無事に退院できそうです。

下顎間結合の分離
2010年11月15日 (月) | 編集 |
先日保護されたネコちゃん、いまだ飼い主様が見つかっていないようで心配です

先日も書きましたが、このネコちゃんは下顎に怪我を負っています

下顎間結合の分離

下顎の両側の牙の高さがずれているのがお分かりいただけますでしょうか?

下顎の骨というのは、ちょうど下の前歯のならんでる部分の真ん中で、左右の骨が結合するような構造になっています。

この結合部分が分離してしまったため、左右の顎の骨がずれてしまっています。

下顎間結合の分離 (2)

左右から伸びる下顎の骨が、本来は真中で結合するのですが、囲みの部分に隙間があいているのがお分かりいただけますか?

落下事故や交通事故で頭部に衝撃を負ったネコちゃんでは、このように下顎間結合が分離することがよくあります。

逆に、ここが真っ先に分離してくれることで、もっと重要な顎の付け根の関節などに衝撃が及ばないようになっているのです。

顎の付け根の関節が骨折してしまった場合、かなり複雑な外科手術が必要になりますが、下顎間結合の分離だけであれば、ワイヤーで簡単に結ぶだけで済みますし、場合によっては手術なしでも自然に治ることもあります(顎がずれたままくっついてしまうことがほとんどですが・・・)

今回のネコちゃんは、顎以外に外傷の様子は全くありませんので、交通事故よりはマンションのベランダなどからの落下事故が疑われます。

おそらく、マンションなどで飼われていたネコちゃんが、朝ごはんを食べた後に誤ってベランダなどから転落し、そのままうろついていたところを保護されたのだと想像します。

爪もきれいに切られており、毛並みもとてもきれいにされていたので、お家の中で大切に飼われていた子だと思うのですが・・・

手術器具
2010年11月13日 (土) | 編集 |
迷いネコ情報

スコティッシュフォールドと思われる女の子。
1?5歳くらいです。
詳しくはこちら→click



手術器具

この写真は、当院での基本手術器具セットです
滅菌作業の前に、洗浄して乾かしているところです。

メス・止血鉗子・各種剪刃(ハサミ)などをそれぞれ数本?10本ずつ組み合わせています。

避妊や去勢手術など基本的な手術では、このセットの内容のみで行います。
それ以外の複雑な手術では、この基本セットにプラスして必要なものを使用していきます。

今までは、基本セットを2セットと、予備の器具(手術時に器具を落としたりしたときのために)を用意していたのですが、最近、手術件数が増えてきたために、2セットでは間に合わなくなってきました

そこで、新たに基本セット用に手術器具を購入

これで急な手術にも迅速に対応できます

ただ・・・
一本数千円?1万円数千円の器具を数十本そろえなければいけないので、病院のお財布には厳しいのであります

保護ネコ情報 スコティッシュフォールド メス 1?5歳
2010年11月12日 (金) | 編集 |
保護ネコちゃんの情報です。

11月12日 早朝に町田市山崎町近辺で保護されたネコちゃん。

スコティッシュフォールドと思われる女の子。
年齢は1?5歳程度と思われます。
毛並みの様子や、肉球の様子からすると、室内飼育のネコちゃんが逃げ出してしまったようです。


首輪やマイクロチップなどの手掛かりは一切ありません。

保護猫

おそらく、高所からの落下もしくは交通事故にあったようで、下顎を骨折しています。
胸部レントゲンで肺などへのダメージを確認したところ、特に問題はないようでしたが、胃内に食物がたくさん残っている状態でした。

出血の新しさと、胃内の食物の様子からすると、事故にあってからまだ数時間のようです。

今のところ命に関わる問題はなく、応急処置の上、保護してくださった方のところで面倒を見ていただいていますが、2?3日のうちに状態が悪化する可能性も否めません。(交通事故、落下事故の可能性が高く、頭部に障害を負っている可能性が高いため)

お心当たりの方は病院までご連絡くださいませ。
042?711?7612 谷口動物病院

保護猫 (2)
顎の骨折のために舌が出たままになっています。

保護猫 (3)




ネコの心臓病
2010年11月11日 (木) | 編集 |
先日はワンちゃんの心臓病をとり上げましたが、今回はネコちゃんの心臓病です。

ある日突然、嘔吐し、その後から急に元気・食欲がなくなり、後ろ足がふらつくようになったということで来院された症例です。

身体検査の所見から、「肥大型心筋症」と呼ばれる心臓病を疑い、検査をおこないました。

「肥大型心筋症」は、左心室や心室中隔の筋肉の厚みが分厚くなるのが特徴で、超音波検査で診断します。

今のところ、ハッキリとした原因はわかっていませんが、生まれつきの心筋のタンパク構造の異常が疑われております。

心室壁厚の計測
超音波検査機の計測機能を使用して、心臓の筋肉の厚みを測定します。

正常では、ネコちゃんの心筋の厚みは6?8mm以下とされていますが、今回のネコちゃんは「心室中隔」の厚みが9mmを超えており、「肥大型心筋症」が強く疑われます。

「肥大型心筋症」では、心筋が分厚くなることで心臓の動きが阻害され、心不全におちいります。

また、この病気の特徴的な症状の一つに、「突然発生する後ろ足の麻痺」という症状があります。

この後ろ足の麻痺は、心臓内に発生した血栓(血の塊)によって、後ろ足につながる動脈が閉塞することで発症します。

この症状はある日突然起こることが特徴で、今回のように直前までまったく普通にしていたのに、急に後ろ足が麻痺して具合が悪くなる恐ろしい症状です。
最悪の場合は数日で死に至ることもあります。

今回の症例では幸い、血管の閉塞がすぐに解除されたようで、一時的な麻痺ですんだようですが、今後も注意深い経過観察が必要です。

早期発見の難しい病気で、症状が出た時には致命的になることも多い病気ですから、定期的な健康診断(心電図やレントゲンを含めた)が重要になってきます。

そういえばこの「肥大型心筋症」は、私が心臓病に興味を持つきっかけになった病気でもあります。

学生時代の大学病院研修の際に、担当した症例がこの「肥大型心筋症」のネコちゃんでした。

研修最終日に症例報告会があったのですが、そのために色々と勉強したのが心臓病に興味を持ったきっかけの一つかもしれません。

寒くなると・・・
2010年11月08日 (月) | 編集 |
秋冬になって、気温が下がってくると、膀胱炎や尿石症の症例が増えてきます

「涼しくなって水を飲む量が減るため、膀胱炎や尿石症が増えるのでは?」といわれることもありますが、実際のところはどうなのでしょう・・・?

真相はともかく、この時期に泌尿器疾患が増えるのは確かなようです。
当院で11月に入ってから膀胱炎・尿石症の症例がつづいています。

プレゼンテーション1

写真の症例は尿結石が尿道につまってしまったネコちゃん

→のところに直径2mm程度の尿石があるのがお分かりいただけるでしょうか?

膀胱炎や尿石症などの泌尿器疾患では、「頻尿」とよばれる症状がみられることが一般的です。

膀胱に違和感があるため、何度も何度もトイレに駆け込むのです。
おしっこが溜まっているわけではないので、いくら気張ってもちょびっとしかおしっこがでないということになります。

ただ注意が必要なのな、写真のネコちゃんのように、尿石症で尿道が詰まってしまった場合です。
このケースは、、膀胱がパンパンなのにいくら頑張ってもおしっこがでないので、何度も何度もトイレで力むのですが、それこそ数滴しかおしっこがでないのです。

通常、1日から2日もこの状態が続けば命にかかわります。
尿道が詰まるケースは、オスのネコちゃんに多いですので、普段からトイレの様子を観察しておくことが大切です。



肺水腫 ②
2010年11月05日 (金) | 編集 |
さて、肺水腫を起こした心不全のワンちゃんの続きです。

肺水腫 治療前
こちらが治療前の肺と心臓のレントゲン。




肺水腫 治療後
こちらは治療後のレントゲンです。


真中に心臓があり、その左右の肋骨に囲われた部分が肺なのですが、上の治療前の写真のほうが、心臓が大きくて、左右の肺も白っぽくなっているのがお分かりいただけるでしょうか?

心臓は逆流によって血液が停滞しているために、正常よりも大きくなります。
肺は血液がうっ血するために、水分がしみ出てきます。
白っぽく映っているのはしみ出てきた水分です。

治療後の写真では、血液の逆流が緩和されたため大きさが小さくなり、肺に出ていた水分も改善して、肺が黒くハッキリと

肺水腫 ①
2010年11月04日 (木) | 編集 |
先月、心不全からの呼吸困難で入院していたワンちゃんですが・・・

僧帽弁閉鎖不全症からの肺水腫によって呼吸困難をおこしていました。

僧帽弁閉鎖不全というのは小型犬に多い心臓病で、老齢犬の2?3割に発生するという報告もあります。

心臓内部の僧帽弁という弁膜構造に異常が生じることで、心臓内の血液の流れに問題をおこします。

僧帽弁逆流 エコー

僧帽弁は左心房(LA)と左心室(LV)の間にある弁構造なのですが、僧帽弁閉鎖不全ではこの弁の開閉に問題が生じます。
それによって、本来は左心房から左心室に一方通行するはずの血液が、左心室から左心房に向けて逆流をおこします。
写真の右側の色のついている部分が、左心室(LV)から左心房(LA)に向けて逆流する血液です。



図解 正常な血流
正常ならば、肺から心臓に流入した血液は、左心房 → 左心室を経て、大動脈から全身の臓器に流れていきます。





図解 僧帽弁逆流
僧帽弁閉鎖不全を起こすと、左心室から左心房に血液が逆流をおこします。
逆流を起こした血流は、肺から左心房への血液の流入を妨げます。
結果、肺でうっ血が起こり、うっ血が続くと血液中の水分が肺に染み出します。
これが「肺水腫」です。

本来、空気を取り込むべき肺に水分がしみ出てくるために、十分に空気を取り込めずに呼吸困難におちいるわけです。

放置すれば死にいたるため、早急に診断し治療を開始しなければいけない状況です。

つづく・・・

オリモノに血が・・・
2010年11月02日 (火) | 編集 |
オリモノに血が混ざるということで来院されたネコちゃんです。

おりもの

数年前から発情の度にオリモノに血が混ざることがあったそうです。

超音波で子宮を確認したところ、液体が貯留した子宮が確認されました。

血液検査などで明らかな異常はありませんでしたが、子宮蓄膿症が強く疑われるため、その日のうちに手術をおこないました。

術中 子宮手術中の子宮の様子

ネコちゃんの子宮は細長く二股に分かれた形状をしているのですが、御覧のように片方がかなり大きく拡張しています。

私が手でつまんでいるのが右の子宮。大きく膨らんでいるのが左の子宮です。
右の子宮も左に比べれば細いですが、正常な子宮よりはだいぶ太くなっています。

子宮蓄膿症は子宮の内部に膿がたまる病気です。
ですので、拡張した子宮はちょっと硬めの水風船のような弾力があるのですが・・・

この子宮はもっと固く、充実した弾力がありました・・・
まるで胎児が入った子宮のようです(もちろん、超音波検査で妊娠ではないことは確認済み)。

このような子宮の感触は初めてです。
どうやら単に血や膿がたまっているわけではなさそうです。

子宮内の血液塊


摘出した子宮を開いてみると・・・

なんとビックリ!
大量の血液が固まった血餅(けっぺい:血の塊)が出てきました。

どうやら数年わたって慢性的な子宮内膜炎が起こっており、その出血が少しづつ血の塊を形成し、何年もかけてここまで成長したようです。

こんな症例は初めてでビックリでした

子宮蓄膿症など発情に関連する疾患は、ほとんどが発情期のあと1?2か月以内に発生します。
避妊をおこなっていないワンちゃん・ネコちゃんでは、日ごろから発情の様子や、オリモノの具合、元気食欲などを良く観察しておくことが大切です。

いつもより発情が長く続くとか、オリモノが多いなどあれば早めに病院にご相談くださいね!

2011年 カレンダー配布
2010年11月01日 (月) | 編集 |
2011 カレンダー

来年のカレンダー配布を始めました

ワンちゃんもしくはネコちゃんのどちらか一部差し上げます

基本的には診療にいらしていただいた方にお配りするものですが、当院の患者様であれば、カレンダーのみでのご来院もです