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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
人と犬との違い
2010年06月06日 (日) | 編集 |
先日、あるホームセンターのペット用品コーナーに行った時のことです。

ペット用の飲料水の棚に、犬の尿石予防の効果をうたった飲料水が並んでいました。

説明文を読むと、「マグネシウムを多く含むことで尿石予防に効果あり」(正確な文面は忘れましたが、内容としてはこのような内容です)と書いてあります。

これにはビックリです!!

ワンちゃん・ネコちゃんの尿石症の原因となるのは、ほとんどがマグネシウムを主成分とした「リン酸アンモニウムマグネシウム:ストラバイト」という結石であり、その予防治療のためにはマグネシウムの制限が必要不可欠です。

ストラバイト結晶

マグネシウムを多く含んだ飲料水などは逆効果になってしまいます。

いったいなぜこんな商品が出ているのだろうと気になってインターネットで調べてみると、

人間では尿結石の約8割が「シュウ酸カルシウム」という主にシュウ酸という物質が関わる結石なのだそうです。
そして、この「シュウ酸カルシウム」の予防に「マグネシウムの摂取」が良いというのです。

おそらく、前述の飲料水は人間で言われていることをそのまま動物にも通用するだろうと考えて作られた商品なのではないでしょうか?

ワンちゃん・ネコちゃんでも「シュウ酸カルシウム結晶」は日常的に見られますが、その割合は尿石全体の20?30パーセントとそれほど多いものではありません。
(「リン酸アンモニウムマグネシウム:ストラバイト」は全体の50?60%)

確かに、ワンちゃん・ネコちゃんでも「シュウ酸カルシウム結晶」の場合は適量のマグネシウム摂取は効果があるようですが、あえて過剰に摂取するのは「リン酸アンモニウムマグネシウム:ストラバイト」の危険性を増すことになります。

この飲料水を飲むことでマグネシウム系の尿結石の危険がどこまで高まるかはわかりません。

ですが、過去にマグネシウム系の尿結石が出たワンちゃんで、普段食べているオヤツの煮干し(マグネシウムが豊富)をやめていただくだけで尿結石が治った症例も経験しています。

そのことからすれば、必要以上にマグネシウムを含んだお水は尿石予防には勧められるは思えません。

昨今、さまざまなペット用サプリメントや飲料水などが販売されておりますが、その中には今回の飲料水のように(おそらく)人間で言われていることをそのまま動物にも通用するだろうと安易に開発されたものも含まれているのではないでしょうか?

人間と犬・猫の体内の生理作用、代謝作用などは多くの点で異なります。
以前にキシリトール中毒のお話もしましたが、人間にとって有用なものでも犬・猫にとっては致命的な害を及ぼすこともあるのです。

正直、今のように様々なサプリメント類が販売されている状況では、我々獣医師もどれが有用でどれが害があるのか把握しきれないのが現状です。

サプリメントメーカーさんも商売ですから様々な新商品を開発するのは良いのですが・・・
そのすべてが有用かどうか、どこまで気を使ってくれているのでしょう・・・?