2010年01月30日 (土) | 編集 |
よく「トリミングやペットホテルはやってないの
」とお問い合わせをいただくことがあります。
動物病院というとトリミング(シャンプー、カット)
やペットホテルもおこなっているイメージが強いと思いますが、当院ではおこなっていません。
なぜかというと、トリミングやペットホテルをおこなってしまうと、突然の急患や入院にスタッフが対応しきれないことがあるからです。
規模の大きな病院さんで、トリミング・ペットホテルのための専任スタッフが確保できれば問題ないのですが、小規模病院ではトリミング・ホテルスタッフは医療スタッフと兼任になってしまいがちです。
そうすると急患などあって人手が必要な時に大慌て
になってしまいます
場合によってはトリミングを中断して人手を確保する必要が出てきてしまいます。
また、年末年始やゴールデンウィークなどペットホテルの需要が多いときには、ペットホテルのワンちゃん・ネコちゃんのお世話に追われて、入院している動物の看護が手薄になってしまうことが出てきてしまいます。
場合によってはペットホテルの管理も入院の看護も、両方が中途半端になってしまいかねません。
これじゃトリミング・ペットサロンのお客さんにも申し訳ないですし、診療にいらした患者様にも申し訳が立ちません。
また医療施設としての機能が十分に発揮できなくなってしまい、何のための動物病院かわかりません。
10年、20年前ならともかく、今はペットホテルやトリミングを専門でやっているサロンもたくさんあります。
ですので、「餅は餅屋」ということで、私は動物医療に専念するためにペットホテルやトリミングはやらないことにしたのです。
ですが、「当院ではやってません」と突っぱねてしまうのもサービス業としてはどうかと思いますので・・・
お問い合わせが会った時には「わんわんサロン takeo」さんをご紹介しています

テナントの大家さんを通じてお付き合いさせていただくようになったのですが、各種割引サービス
や送迎サービス
など充実していますし、オーナーさんのお人柄など安心してご紹介できるサロンさんです。

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なぜかというと、トリミングやペットホテルをおこなってしまうと、突然の急患や入院にスタッフが対応しきれないことがあるからです。
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そうすると急患などあって人手が必要な時に大慌て


場合によってはトリミングを中断して人手を確保する必要が出てきてしまいます。
また、年末年始やゴールデンウィークなどペットホテルの需要が多いときには、ペットホテルのワンちゃん・ネコちゃんのお世話に追われて、入院している動物の看護が手薄になってしまうことが出てきてしまいます。
場合によってはペットホテルの管理も入院の看護も、両方が中途半端になってしまいかねません。
これじゃトリミング・ペットサロンのお客さんにも申し訳ないですし、診療にいらした患者様にも申し訳が立ちません。
また医療施設としての機能が十分に発揮できなくなってしまい、何のための動物病院かわかりません。
10年、20年前ならともかく、今はペットホテルやトリミングを専門でやっているサロンもたくさんあります。
ですので、「餅は餅屋」ということで、私は動物医療に専念するためにペットホテルやトリミングはやらないことにしたのです。
ですが、「当院ではやってません」と突っぱねてしまうのもサービス業としてはどうかと思いますので・・・
お問い合わせが会った時には「わんわんサロン takeo」さんをご紹介しています


テナントの大家さんを通じてお付き合いさせていただくようになったのですが、各種割引サービス


2010年01月29日 (金) | 編集 |
「おしっこがうまく出ない」ということでご来院いただいたワンちゃん。

▽で囲ったところが膀胱です。
なんとなく楕円形になっているのがお分かりいただけるでしょうか?
おしっこがパンパンにたまっています。
お腹の中の半分は膀胱でいっぱいになっています。
おしっこが出なくなる原因で一番多いのは尿道結石などによる物理的な閉塞です。
昨年の夏ごろの症例です。大量の尿道結石・膀胱結石です。
ですが今回の症例はどうも違うようです。
レントゲンには結石は写っていませんし、おしっこを排出するための管(カテーテル)を尿道に通したときにも、とくに何かが尿道をふさいでいる様子はありませんでした。
となると、神経的な異常で尿をうまく排泄できていない可能性があります。
おしっこをうまく排泄するには、膀胱を収縮させ尿を押し出す働きや、普段は閉じている尿道の入口を開く筋肉の調節など複雑な神経の働きが必要になります。
こういった神経の一部に異常が起こることで尿の排泄がうまくいかなくなるのです。
現在、尿道の入口を開くのを助けるお薬を投薬して経過観察中です。
今のところうまくいっているようです。
ところで、おしっこが出ないときというのは基本的には救急疾患です。
膀胱が破裂してしまうと命にかかわりますし、破裂しなかったとしても長時間おしっこを出せないでいると腎不全になってしまいます。
また、膀胱が膨れ上がった状態が長く続くと、パンパンに引き延ばされた膀胱の筋肉が障害を受けて、膀胱麻痺が起こることがあります。
この膀胱麻痺は一生残ることもあります。
何より、おしっこがいっぱいたまっているのに出すことができないというのはものすごく苦しいはずですからね。

▽で囲ったところが膀胱です。
なんとなく楕円形になっているのがお分かりいただけるでしょうか?
おしっこがパンパンにたまっています。
お腹の中の半分は膀胱でいっぱいになっています。
おしっこが出なくなる原因で一番多いのは尿道結石などによる物理的な閉塞です。

ですが今回の症例はどうも違うようです。
レントゲンには結石は写っていませんし、おしっこを排出するための管(カテーテル)を尿道に通したときにも、とくに何かが尿道をふさいでいる様子はありませんでした。
となると、神経的な異常で尿をうまく排泄できていない可能性があります。
おしっこをうまく排泄するには、膀胱を収縮させ尿を押し出す働きや、普段は閉じている尿道の入口を開く筋肉の調節など複雑な神経の働きが必要になります。
こういった神経の一部に異常が起こることで尿の排泄がうまくいかなくなるのです。
現在、尿道の入口を開くのを助けるお薬を投薬して経過観察中です。
今のところうまくいっているようです。
ところで、おしっこが出ないときというのは基本的には救急疾患です。
膀胱が破裂してしまうと命にかかわりますし、破裂しなかったとしても長時間おしっこを出せないでいると腎不全になってしまいます。
また、膀胱が膨れ上がった状態が長く続くと、パンパンに引き延ばされた膀胱の筋肉が障害を受けて、膀胱麻痺が起こることがあります。
この膀胱麻痺は一生残ることもあります。
何より、おしっこがいっぱいたまっているのに出すことができないというのはものすごく苦しいはずですからね。
2010年01月28日 (木) | 編集 |
昨日は休診日でしたが、スーツを来てお出かけです。

JR市ヶ谷駅です。
労務管理セミナーに参加するためです
私は獣医師としてはそれなりに経験を積んできたつもりですが、経営者としてはまったくの駆け出しです
勤務医時代とは違い、経営者・雇用主としても学ぶことがまだまだたくさんあります
私の理想とする診療体制は私ひとりが頑張って実現できるものではありません。
飼い主様に親身になって応対してくれる受付スタッフ。
ワンちゃん・ネコちゃんの様子に常に気を配り、細かな配慮の行き届いたサポートをしてくれる看護師。
そして知識と経験、思いやりを持った獣医師。
この三者による完璧な協力体制が欠かせません。
そのためには、スタッフ全員がやりがいを持って働ける職場環境の整備が大切になります。
今回の労務管理セミナーもそのための勉強の一環です。

セミナー前に駅上のスターバックスで一息
お堀に面した立地なので、都心ながら見晴らしが良くて気持ちがいいところでした

JR市ヶ谷駅です。
労務管理セミナーに参加するためです

私は獣医師としてはそれなりに経験を積んできたつもりですが、経営者としてはまったくの駆け出しです

勤務医時代とは違い、経営者・雇用主としても学ぶことがまだまだたくさんあります

私の理想とする診療体制は私ひとりが頑張って実現できるものではありません。
飼い主様に親身になって応対してくれる受付スタッフ。
ワンちゃん・ネコちゃんの様子に常に気を配り、細かな配慮の行き届いたサポートをしてくれる看護師。
そして知識と経験、思いやりを持った獣医師。
この三者による完璧な協力体制が欠かせません。
そのためには、スタッフ全員がやりがいを持って働ける職場環境の整備が大切になります。
今回の労務管理セミナーもそのための勉強の一環です。

セミナー前に駅上のスターバックスで一息

お堀に面した立地なので、都心ながら見晴らしが良くて気持ちがいいところでした

2010年01月25日 (月) | 編集 |
2010年01月23日 (土) | 編集 |

先日、吐き気がひどいということで来院されたワンちゃんのおしっこです。
ずいぶんと色が濃く、オレンジ色に近いのがお分かりいただけるでしょうか?
この尿はビリルビンという色素を多く含むため、このようにオレンジ色になっています。
ビリルビンという色素は血液細胞に含まれる色素で、肝臓がその色素の処理をおこなっています。
ですので、血液の病気や肝臓の病気のときにこのビリルビンを多く含んだ尿が排泄されることがあります。
見た目に明らかにオレンジ色をしたおしっこなので、普段から注意していただければすぐにわかると思います。
ワンちゃんは腎臓でのビリルビン処理能力が低いため、肝臓病や血液の病気がなくても、今回のようにひどい嘔吐によって脱水症状を起こし、おしっこが濃くなっているようなときにはこのビリルビンが多く含まれることがあります。
今回のワンちゃんも念のため血液検査をさせていただいて肝臓や血液の数値を確認したところ、大きな問題はありませんでした。
一方、ネコちゃんは腎臓でのビリルビンの吸収能力が高いため、正常ではこのビリルビン尿が排泄されることはまずありません。
したがって、ネコちゃんでこのようにオレンジ色の尿が出る場合はほぼ確実に肝臓や血液に何かしらの異常があると考えられます。
尿の色・量・回数というのは健康状態のバロメーターのひとつです。
普段からちょっと意識して見るようにしてみてくださいね

2010年01月22日 (金) | 編集 |
先日とりあげた口腔内悪性腫瘍のネコちゃん。
再診にいらっしゃいました。

少し体重が減ってしまっていましたが、まだまだ食欲も旺盛で毛艶もよく、良い状態を維持しているようです
一安心です
ただ、とりきれていない腫瘍組織は増殖を続けているようです。
手術直後よりもだいぶアゴの腫瘍組織は大きくなってしまっていました。
それでも痛みはほとんどないようで、かわらずにご飯を食べてくれているそうです。
手術前は歯周病もひどい状態だったので、それがないだけでもだいぶ楽みたいですね。
新津さんになでられてご機嫌です
再診にいらっしゃいました。

少し体重が減ってしまっていましたが、まだまだ食欲も旺盛で毛艶もよく、良い状態を維持しているようです

一安心です

ただ、とりきれていない腫瘍組織は増殖を続けているようです。
手術直後よりもだいぶアゴの腫瘍組織は大きくなってしまっていました。
それでも痛みはほとんどないようで、かわらずにご飯を食べてくれているそうです。
手術前は歯周病もひどい状態だったので、それがないだけでもだいぶ楽みたいですね。
新津さんになでられてご機嫌です

2010年01月19日 (火) | 編集 |
1月24日(日)
無料相談セミナーを開催いたします。
「どうぶつを飼う前に」
1月24日(日)
14:00?
参加ご希望の方は前日までに電話にてご予約ください!
詳しくはこちら→click
これからワンちゃん・もしくはネコちゃんを飼おうと考えていらっしゃる方、ワンちゃんやネコちゃんを飼い始めて1か月以内の方を対象としたセミナーです。
「どうぶつを飼う前に」、その動物の習性や基本的な「しつけ」の方法をしっかりと理解しておくことがワンちゃん・ネコちゃんとの幸せな生活には欠かせません。
ワンちゃん・ネコちゃんとのハッピーライフを送るために、ぜひご参加ください!
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ワンちゃん・ネコちゃんとのハッピーライフを送るために、ぜひご参加ください!
2010年01月18日 (月) | 編集 |
本日、臍ヘルニア(この病気について詳しくはこちら)の手術と、去勢手術・歯石クリーニングをおこなったワンちゃんです。
術前と術後とずーとおとなしくしてくれていたのですが、先ほどからエリザベスカラーを嫌がってすごく暴れてしまいます

さっきまではカラーをしたままでも落ち着いて寝てくれていたのですが・・・
すこし気持ちが落ち着くまで抱っこしながら事務作業にブログの更新です・・・
術前と術後とずーとおとなしくしてくれていたのですが、先ほどからエリザベスカラーを嫌がってすごく暴れてしまいます


さっきまではカラーをしたままでも落ち着いて寝てくれていたのですが・・・

すこし気持ちが落ち着くまで抱っこしながら事務作業にブログの更新です・・・

2010年01月17日 (日) | 編集 |
2010年01月16日 (土) | 編集 |
さて口の中に腫瘍ができたネコちゃんですが、前回も記載したように、術後に大きく体調を崩してしまいました。
17歳という年齢と、数カ月にわたるお口の痛みで十分に食事をとることができず、体が弱り切っていた中での手術でした。
また、あごの腫瘍の部分だけでなく、歯周病もかなりひどい状態だったので麻酔時間も長引いてしまいました。
手術自体はうまくいったのですが、やはり体への負担が大きかったようです。
うまくいけば一泊の入院でお返しできると思っていたのですが、一週間も入院することになってしまいました。
もちろん、本人の年齢・体調からそういった危険性があることもご理解いただいたうえでの手術だったのですが、飼い主様にはずいぶんとご心配をおかけしてしまいました。

リハビリの様子
そして、この術後の体調悪化がきっかけで一時的に手足がこわばり、筋力が弱ってしまい歩けなくなってしまいました。
手術からたった2日で、すっかり足腰が弱ってしまったのです。
老齢の大型犬などではよくあるのですが、病気で一度寝たきりになったりすると足腰がすっかりと弱ってしまって立てなくなることがあります。
こういったことを防ぐには入院中から起立・歩行のリハビリをおこなうことが重要です。
今回のネコちゃんも体調が少し落ち着いたところですぐにリハビリを開始。
退院後も自宅でのリハビリを続けていただきました。
結果・・・
退院後数日でふらつきながらも歩けるようになり、1週間後にはご飯もよく食べてくれるようになりました

その後、日ごとに元気を取り戻し、術後一カ月過ぎるころには手術前には栄養不良でバサバサだった毛並みがすっかりと良くなり、1?2歳若返ったみたいに元気になってくれました。
飼い主様にも「毛艶が見違えるようによくなった
」ととても喜んでいただけました
やはり手術前の口の痛みはかなりひどかったようで、手術でガンのひどい部分や、歯周病を治療したことですっかり痛みが治まり、食欲が戻ってきたようです。
足取りもすっかり元通りで、飼い主様にも、
「手術直後は無理して手術をしないほうがよかったかもしれないと悩んだり、後悔したけれども、今は頑張って手術うけてよかったと思う
」とおっしゃっていただくことができました。
このお言葉をいただいて、私も「ずいぶんとご心配をおかけしてしまったけれど、最終的にご満足いただけてなにより」と本当にうれしく思ったものです
そういえば、元気になってからのお写真を撮らせていただくのを忘れていました・・・
ただ、このネコちゃんのガンは治ったわけではありません。
ガンにひどく侵された部分を切除したことで一時的に症状は治まっていますが、ガンはとりきれたわけではありません。
昨日記載したように、あごの骨を切除するような手術をしない限り(場合によってはそれでも手遅れかもしれません)、残っているガン組織がまた増殖して同じ症状を引き起こすのです。
ですが、このネコちゃんにこれ以上の手術は負担が大きすぎるため、飼い主様とご相談させていただいた結果、これ以上は積極的な治療(手術や抗がん剤、放射線治療といった)はおこなわず、緩和療法(現在の痛みなどの症状をおさえて、うまくガンと付き合っていく治療)をおこなっていくことになりました。
現在、手術から2カ月がたちましたが、あごが少し腫れて、よだれが出たりするものの、痛みはなく、よくご飯も食べてくれているようです
つらい手術に頑張って耐えてくれたネコちゃんと、不安な中、私を信頼して通院を続けてくださった飼い主様のためにも、うまく今の状態を維持できるように頑張らなければいけませんね
17歳という年齢と、数カ月にわたるお口の痛みで十分に食事をとることができず、体が弱り切っていた中での手術でした。
また、あごの腫瘍の部分だけでなく、歯周病もかなりひどい状態だったので麻酔時間も長引いてしまいました。
手術自体はうまくいったのですが、やはり体への負担が大きかったようです。
うまくいけば一泊の入院でお返しできると思っていたのですが、一週間も入院することになってしまいました。
もちろん、本人の年齢・体調からそういった危険性があることもご理解いただいたうえでの手術だったのですが、飼い主様にはずいぶんとご心配をおかけしてしまいました。

リハビリの様子
そして、この術後の体調悪化がきっかけで一時的に手足がこわばり、筋力が弱ってしまい歩けなくなってしまいました。
手術からたった2日で、すっかり足腰が弱ってしまったのです。
老齢の大型犬などではよくあるのですが、病気で一度寝たきりになったりすると足腰がすっかりと弱ってしまって立てなくなることがあります。
こういったことを防ぐには入院中から起立・歩行のリハビリをおこなうことが重要です。
今回のネコちゃんも体調が少し落ち着いたところですぐにリハビリを開始。
退院後も自宅でのリハビリを続けていただきました。
結果・・・
退院後数日でふらつきながらも歩けるようになり、1週間後にはご飯もよく食べてくれるようになりました


その後、日ごとに元気を取り戻し、術後一カ月過ぎるころには手術前には栄養不良でバサバサだった毛並みがすっかりと良くなり、1?2歳若返ったみたいに元気になってくれました。
飼い主様にも「毛艶が見違えるようによくなった


やはり手術前の口の痛みはかなりひどかったようで、手術でガンのひどい部分や、歯周病を治療したことですっかり痛みが治まり、食欲が戻ってきたようです。
足取りもすっかり元通りで、飼い主様にも、
「手術直後は無理して手術をしないほうがよかったかもしれないと悩んだり、後悔したけれども、今は頑張って手術うけてよかったと思う

このお言葉をいただいて、私も「ずいぶんとご心配をおかけしてしまったけれど、最終的にご満足いただけてなにより」と本当にうれしく思ったものです

そういえば、元気になってからのお写真を撮らせていただくのを忘れていました・・・

ただ、このネコちゃんのガンは治ったわけではありません。
ガンにひどく侵された部分を切除したことで一時的に症状は治まっていますが、ガンはとりきれたわけではありません。
昨日記載したように、あごの骨を切除するような手術をしない限り(場合によってはそれでも手遅れかもしれません)、残っているガン組織がまた増殖して同じ症状を引き起こすのです。
ですが、このネコちゃんにこれ以上の手術は負担が大きすぎるため、飼い主様とご相談させていただいた結果、これ以上は積極的な治療(手術や抗がん剤、放射線治療といった)はおこなわず、緩和療法(現在の痛みなどの症状をおさえて、うまくガンと付き合っていく治療)をおこなっていくことになりました。
現在、手術から2カ月がたちましたが、あごが少し腫れて、よだれが出たりするものの、痛みはなく、よくご飯も食べてくれているようです

つらい手術に頑張って耐えてくれたネコちゃんと、不安な中、私を信頼して通院を続けてくださった飼い主様のためにも、うまく今の状態を維持できるように頑張らなければいけませんね

2010年01月15日 (金) | 編集 |
前回のつづきです
さて、レントゲンの結果から単なる歯周病だけではなく、腫瘍性疾患も視野に入れての手術をおこなうことになりました。
まずは歯周病があるのは間違いないので歯のクリーニングです。
問題の右下あごですが、御覧のように歯の周りに膿状の汚れがたまっています。
歯自体も歯石が付着して汚れています。

他の部分も全体的に歯周病が見られましたので、歯石のクリーニングや抜歯治療をおこなっていきます。
でクリーニングが終わった右下あごを見てみると・・・

歯ぐきに大穴があいており、歯ぐきの表面が変色しています。
やはり単なる歯周病ではなさそうです。
この変色した歯ぐきは壊死(血行が途絶えて死滅した組織)した組織ですので、これも取り除いていきます。
すると・・・

あごの骨までつづく大穴でした。
今回の手術では、この部分はできる限り壊死組織を取り除いた状態で穴をふさぐだけにとどめ、採取した組織を検査に送ることにしました。
結果は扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)。
やはり悪性腫瘍でした。
この扁平上皮癌はネコちゃんの口の中にできる腫瘍としては代表的なものです。
このガンは一見すると口内炎か歯周病のように見えることがあります。
局所浸潤性といって、周辺の組織に広がる力が強いガンです。
今回のネコちゃんも、レントゲン写真からわかるようにすでに右下あごの骨まで侵されています。
積極的に治療するならば、このガンに侵された右下あごをすべて切除することが必要となります。
ですが、今回のネコちゃんの場合はそこまでの治療には耐えられそうにありませんでした。
実は、術後に大きく体調を崩してしまったのです・・・つづく・・・
さて、レントゲンの結果から単なる歯周病だけではなく、腫瘍性疾患も視野に入れての手術をおこなうことになりました。
まずは歯周病があるのは間違いないので歯のクリーニングです。
問題の右下あごですが、御覧のように歯の周りに膿状の汚れがたまっています。
歯自体も歯石が付着して汚れています。

他の部分も全体的に歯周病が見られましたので、歯石のクリーニングや抜歯治療をおこなっていきます。
でクリーニングが終わった右下あごを見てみると・・・

歯ぐきに大穴があいており、歯ぐきの表面が変色しています。
やはり単なる歯周病ではなさそうです。
この変色した歯ぐきは壊死(血行が途絶えて死滅した組織)した組織ですので、これも取り除いていきます。
すると・・・

あごの骨までつづく大穴でした。
今回の手術では、この部分はできる限り壊死組織を取り除いた状態で穴をふさぐだけにとどめ、採取した組織を検査に送ることにしました。
結果は扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)。
やはり悪性腫瘍でした。
この扁平上皮癌はネコちゃんの口の中にできる腫瘍としては代表的なものです。
このガンは一見すると口内炎か歯周病のように見えることがあります。
局所浸潤性といって、周辺の組織に広がる力が強いガンです。
今回のネコちゃんも、レントゲン写真からわかるようにすでに右下あごの骨まで侵されています。
積極的に治療するならば、このガンに侵された右下あごをすべて切除することが必要となります。
ですが、今回のネコちゃんの場合はそこまでの治療には耐えられそうにありませんでした。
実は、術後に大きく体調を崩してしまったのです・・・つづく・・・
2010年01月14日 (木) | 編集 |
昨年の症例なのですが、「口が痛そうでご飯が食べられない」ということでいらしたネコちゃんです。
17歳と高齢のネコちゃんでした。
お口の中の汚れ具合と、症状からすると歯周病のようでした。
しかし、触診で顎を触ると、右の下あごの骨に異常があります。
あごの骨がゴツゴツとして変形しているようです。
歯周病がひどいときにも骨が炎症を起こして腫れることはありうることですが、どうも様子が違います。
レントゲンで確認です。

画像の右側が症例にとっての左側
○で囲んでいるのが「正常な」左の下あごの骨です。
上あごと重なっているのでわかりにくいですが、まっすぐ棒状になった骨がお分かりいただけると思います。
反対側にも同じように右下あごの骨が写らなければならないのですが、その部分がモヤモヤしてはっきりした骨の形が分かりません。
これは、その部分の骨が変形し、正常な構造を失っていることを示しています。
どうやら単純な歯周病ではなさそうです。
口の中にできるガンの可能性も考えなければいけません。
詳しいことは手術をおこなって、変形した顎の骨の一部を検査所に送らなければ分かりません。
17歳という年齢を考えると負担の大きな手術ですが、飼い主様も積極的な治療を希望されたので手術にふみきりました。
次回につづく・・・
17歳と高齢のネコちゃんでした。
お口の中の汚れ具合と、症状からすると歯周病のようでした。
しかし、触診で顎を触ると、右の下あごの骨に異常があります。
あごの骨がゴツゴツとして変形しているようです。
歯周病がひどいときにも骨が炎症を起こして腫れることはありうることですが、どうも様子が違います。
レントゲンで確認です。

画像の右側が症例にとっての左側
○で囲んでいるのが「正常な」左の下あごの骨です。
上あごと重なっているのでわかりにくいですが、まっすぐ棒状になった骨がお分かりいただけると思います。
反対側にも同じように右下あごの骨が写らなければならないのですが、その部分がモヤモヤしてはっきりした骨の形が分かりません。
これは、その部分の骨が変形し、正常な構造を失っていることを示しています。
どうやら単純な歯周病ではなさそうです。
口の中にできるガンの可能性も考えなければいけません。
詳しいことは手術をおこなって、変形した顎の骨の一部を検査所に送らなければ分かりません。
17歳という年齢を考えると負担の大きな手術ですが、飼い主様も積極的な治療を希望されたので手術にふみきりました。
次回につづく・・・
2010年01月11日 (月) | 編集 |
まだ生後7か月の症例です。
お鼻の先端に腫瘍が発生。
事前の検査で「組織球腫」と仮診断し、経過観察としていたのですが、「これ以上様子を見ていると、切り取ったときにほっぺたの形が変わっちゃう?」というところまで大きくなってしまったので切除しました。
(「組織球腫」について詳しくはこちら)
この時点で直径11mm。

術後の様子はこちら

もう少しほっぺたがつりあがっちゃうかと思っていたのですが、思いのほかうまく落ち着きましたね。
お鼻の先端に腫瘍が発生。
事前の検査で「組織球腫」と仮診断し、経過観察としていたのですが、「これ以上様子を見ていると、切り取ったときにほっぺたの形が変わっちゃう?」というところまで大きくなってしまったので切除しました。
(「組織球腫」について詳しくはこちら)
この時点で直径11mm。

術後の様子はこちら

もう少しほっぺたがつりあがっちゃうかと思っていたのですが、思いのほかうまく落ち着きましたね。
2010年01月10日 (日) | 編集 |

当院も所属している木曽商工ネット協賛の「新春賀詞交歓の集い」に・・・

大西ライオンがやってきます

「し?んぱ?い ないさ?

ちょっと興味あるのですが、土曜日のこの時間ではちょっと無理ですね・・・

ところで、昨日いらしていただいた患者様のお宅のお嬢様に、当院でのワンちゃんの治療をきっかけに「獣医師の仕事にすごく興味をもつようになった」とおっしゃっていただけました。
高校生くらいのお嬢様なのですが、「将来の進路に考えてみたい

私自身、やりがいを感じて、日々真剣に向き合っている仕事ですから、そのように言っていただけるのは大変うれしいことです

あと10年もして、彼女が獣医師になったときに、「この病院で働きたい


2010年01月09日 (土) | 編集 |
昨日ご来院いただいた症例です。
9歳になる中型犬で、「夏ごろから左前足がおかしい、びっこをひくようだ」とのことでした。
まずは広いスペースで歩いてもらって視診から。
確かに歩く様子に違和感があります。
慎重に触診を進めると・・・
左前足には関節の異常や痛がる部分はないのですが、右の肘に「腫れ」と曲げ伸ばしをした時の痛みがあるようです。
飼い主様のお話では左前足の異常とのことでしたが、どうやら右肘に異常があるため、それをかばって歩く様子が左前脚がおかしいように見えるようです。
レントゲンをとってみると・・・

右の肘関節に「骨棘」と呼ばれる突起が発生しています。
左肘の写真と比べてお分かりいただけるでしょうか?
この「骨棘」は、関節炎などによって骨や軟骨が変形して形成されます。
この骨の変形が進むと、関節の動きは悪くなっていき、痛みも増していきます。
こういった状態を「変形性関節症」と呼びます。
原因は様々で、老化による関節炎や、捻挫などの外傷がきっかけになることもあります。
「変形性関節症」になると、徐々に関節の動きは悪くなり、持続的な痛みに悩まされることになります。
人間でも年とともに膝の関節が悪くなり、膝が曲がらなくなったり痛みに悩まされたりしますよね。
この病気を完治させることはできません。(人間だと人工関節などといった手段があるそうですが・・・)
月日とともに徐々に悪くなっていく症状をいかにコントロールするか、いかに痛みをコントロールするかが重要になってきます。
痛み止めの使用や、適度な運動や関節のリハビリ、コンドロイチンなど関節軟骨に有用なサプリメントを使用するなどして管理するようになります。
中高齢のワンちゃんが散歩に行きたがらないとか、階段の上り下りがつらそうになったという時にはこの「変形性関節症」が発症しているかもしれません。
気になる様子があれば早めにご相談くださいね。
9歳になる中型犬で、「夏ごろから左前足がおかしい、びっこをひくようだ」とのことでした。
まずは広いスペースで歩いてもらって視診から。
確かに歩く様子に違和感があります。
慎重に触診を進めると・・・
左前足には関節の異常や痛がる部分はないのですが、右の肘に「腫れ」と曲げ伸ばしをした時の痛みがあるようです。
飼い主様のお話では左前足の異常とのことでしたが、どうやら右肘に異常があるため、それをかばって歩く様子が左前脚がおかしいように見えるようです。
レントゲンをとってみると・・・

右の肘関節に「骨棘」と呼ばれる突起が発生しています。
左肘の写真と比べてお分かりいただけるでしょうか?
この「骨棘」は、関節炎などによって骨や軟骨が変形して形成されます。
この骨の変形が進むと、関節の動きは悪くなっていき、痛みも増していきます。
こういった状態を「変形性関節症」と呼びます。
原因は様々で、老化による関節炎や、捻挫などの外傷がきっかけになることもあります。
「変形性関節症」になると、徐々に関節の動きは悪くなり、持続的な痛みに悩まされることになります。
人間でも年とともに膝の関節が悪くなり、膝が曲がらなくなったり痛みに悩まされたりしますよね。
この病気を完治させることはできません。(人間だと人工関節などといった手段があるそうですが・・・)
月日とともに徐々に悪くなっていく症状をいかにコントロールするか、いかに痛みをコントロールするかが重要になってきます。
痛み止めの使用や、適度な運動や関節のリハビリ、コンドロイチンなど関節軟骨に有用なサプリメントを使用するなどして管理するようになります。
中高齢のワンちゃんが散歩に行きたがらないとか、階段の上り下りがつらそうになったという時にはこの「変形性関節症」が発症しているかもしれません。
気になる様子があれば早めにご相談くださいね。
2010年01月07日 (木) | 編集 |
タウンニュース誌(1月7日)に掲載されました。

「飲水量」を普段から気をつけていただきたいという話題です。
腎臓病・糖尿病・子宮の病気など日常の診療で多く見かける病気に共通する兆候の一つに、「水をよく飲む」というのがあります。
この「水をよく飲む」という兆候は、まだ元気も食欲もあるような初期段階からみられることが多いのですが、その分、軽く考えられがちな兆候なのです。
「なんだか水をよく飲むな・・・」とは思っていても、元気・食欲がある状態だと「ま、大丈夫だろう」と軽く考えてしまうようです。
そのうちに病気が進行して元気も食欲もなくなった状態で病院にいらっしゃるわけです。
そこで飼い主様に「水の飲み具合におかしいところはありませんでした?」とお伺いすると・・・
「そういえば2?3週間前からやたら水を飲みたがっていたような・・・」と「気がついてはいた」けど「気にしていなかった」というパターンが非常に多いのです。
たまたま暑い日に一日だけ水を多く飲むというのは問題ないですが、数日以上にわたって通常よりも明らかに水を多く飲むというのは病気の兆候の可能性があります。
普段から水をどのくらい飲んでいるかを気にしておくと病気の早期発見につながります。
ところで当たり前ですが、水を多く飲むためおしっこも多くなりますので、水の量だけでなくおしっこの量や回数もチェックしていただくことも重要です。

「飲水量」を普段から気をつけていただきたいという話題です。
腎臓病・糖尿病・子宮の病気など日常の診療で多く見かける病気に共通する兆候の一つに、「水をよく飲む」というのがあります。
この「水をよく飲む」という兆候は、まだ元気も食欲もあるような初期段階からみられることが多いのですが、その分、軽く考えられがちな兆候なのです。
「なんだか水をよく飲むな・・・」とは思っていても、元気・食欲がある状態だと「ま、大丈夫だろう」と軽く考えてしまうようです。
そのうちに病気が進行して元気も食欲もなくなった状態で病院にいらっしゃるわけです。
そこで飼い主様に「水の飲み具合におかしいところはありませんでした?」とお伺いすると・・・
「そういえば2?3週間前からやたら水を飲みたがっていたような・・・」と「気がついてはいた」けど「気にしていなかった」というパターンが非常に多いのです。
たまたま暑い日に一日だけ水を多く飲むというのは問題ないですが、数日以上にわたって通常よりも明らかに水を多く飲むというのは病気の兆候の可能性があります。
普段から水をどのくらい飲んでいるかを気にしておくと病気の早期発見につながります。
ところで当たり前ですが、水を多く飲むためおしっこも多くなりますので、水の量だけでなくおしっこの量や回数もチェックしていただくことも重要です。
2010年01月05日 (火) | 編集 |
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