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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
乳腺腫瘍
2009年12月10日 (木) | 編集 |
昨日は乳腺腫瘍摘出の手術でした。

乳腺腫瘍 (2)

黄色で囲んだところが腫瘍です。
写真では分かりませんが、このほかにも数ミリの小さな腫瘍がありました。

その下のもっと目立つでっぱりがありますが、これは「臍ヘルニア(さいヘルニア)」といって、簡単にいえば「でべそ」です。
これも同時に整復手術をおこないましたが、これについてはまた後日・・・

ワンちゃんの乳腺腫瘍は、獣医療でもっとも手術をおこなう機会が多い腫瘍ともいわれています。
一般的には乳腺腫瘍は良性と悪性の確率が50%といわれています。

つまり、乳腺腫瘍で手術をした場合、2頭に1頭は悪性(ガン)だということです。
ですが、実際に私が日常で見ている限りはそこまで悪性は多くないように感じます。
私の感覚では良性65%、悪性35%という感じでしょうか。

いずれにせよ、悪性の可能性が十分考えられることと、おっぱいは左右あわせて8?10個あるので、今後の再発や転移を防ぐためにも、広範囲にわたって切除することが推奨されています。

どの位置に腫瘍ができるかにもよりますが、通常は1/4?1/2の乳腺を切除するようになります。
今回の症例は1/2切除、つまり腫瘍のある側のおっぱいすべてを切除しました。
前足の付け根から股の付け根までを広範囲に切除することになります。

術後

傷が蛇行しているのは切るのが下手なわけではなくて、「でべそ」の整復手術も一緒におこなったからです。

腫瘍が良性か悪性かは検査所の報告待ちになります。

ワンちゃんでもネコちゃんでも乳腺腫瘍は避妊手術で予防できることがわかっています。

ワンちゃんでは初回発情前に避妊手術をした場合、乳腺腫瘍になる危険性が避妊しない場合の1/200になるといわれています。
この予防効果は発情を重ねるごとに効果が下がっていき、発情4回目以降では予防効果はないとされています。

ネコちゃんでは乳腺腫瘍の症例の99%が避妊をしていないネコちゃんだといわれているようで、避妊の重要性がうかがわれます。
とくにネコちゃんの乳腺腫瘍は悪性度が極めて高く(80?90%が悪性)、腫瘍発見から1年以上生存することはまれだとされていますので、赤ちゃんを産ませる予定がないのなら早期の避妊手術をお勧めしています。

もちろん、避妊しなかったからといって皆が乳腺腫瘍になるわけではありませんし、避妊・去勢の是非については様々な意見があるとは思います。

ただ、避妊・去勢で予防できる病気は数多くあり、なかには乳癌や子宮蓄膿症のように命にかかわる病気もございますので、当院では繁殖の予定がないワンちゃん・ネコちゃんでは早期の避妊・去勢をお勧めしています。