2009年09月28日 (月) | 編集 |
歯科処置をおこなった12歳のビーグル犬です。
重度の歯周炎(歯の周囲におこる炎症)のため、クリーニングと同時に抜歯処置をおこないました。

○で囲んだ部分を見ていただくと、歯ぐきがなくなって、歯の根っこが見えてしまっているのがわかると思います。
また、この露出した歯根に歯石が付着して茶色く汚れてしまっています。
重度の歯周炎により、歯の根っこを覆っているはずの歯ぐきの肉やアゴの骨(歯槽骨)がとけてしまった状態です。
この歯は抜歯が必要です。

奥歯は根っこが二股に分かれているため、そのままでは抜けません。
まずはドリルで分割して・・・

抜けました。
残り半分もこのあと抜歯します。
大きな穴が開きますので、この部分は歯ぐきを整形して縫い合わせます。

続いて左下顎の奥歯。
○で囲んだ真っ黒になった部分が歯周病を起こした部分。
上述の歯と同じように、歯ぐきもアゴの骨も一部が消失しています。

こちらも二分割してから抜歯します。
抜歯した根っこの汚れがわかるでしょうか。
真黒に汚れ、灰色の膿がくっついてきています。
こんなものがアゴの骨に入り込んでいるのです。
この歯周病の毒素やバイ菌はアゴの骨や周囲の血管を通して体内に入り込み、肝臓や腎臓・心臓などの大切な臓器にも悪影響を及ぼします。
歯周病の怖さはここにあります。
歯だけの問題ではないのです。

こちらは右下顎の奥歯。
歯石クリーニングをした後で、一見するときれいに見えますが・・・
(歯ぐきが黒いのはもともとの色素です)

手にもった器具(歯周プローブ)が奥歯の横にズボッと深くはいってます。
これは、歯周病によって奥歯の根っこの部分に隙間ができていることを示しています。
歯根(歯の根っこ)はアゴの骨に1cm?1.5cmほどの深さまではまり込んでいます。
歯根とアゴの骨は靭帯で隙間なくつながっているので、通常は歯周プローブがこのように刺さることはあり得ません。
上述の写真のように歯周プローブが1cm近く刺さるということは、この奥歯の根っこの大部分がダメになってしまっているということです。
この歯も放置しておけば1?2年後には上述の歯のような歯周病に進行していきます。
この歯は早めに抜歯したほうが良いかもしれませんが、本人の年齢や、麻酔時間(クリーニング・抜歯・抜歯後の縫合処置などトータルで2時間半かかっています)を考えて、この歯は抜歯をせずにできる範囲の歯周病治療としました。
12歳という年齢と、一般的なビーグル犬の寿命を考えれば、今回麻酔時間を延長して抜歯するよりも、今後、飼い主様に歯磨きなど日常の歯のケアを頑張っていただいて、この歯周病の進行をなるべく遅らすほうが本人への負担は軽いと考えます。
もちろん、この歯の歯周病は少しづつ進行しますが、上手く管理すれば、寿命をまっとうするまで症状をコントロールできると判断しました。

抜歯した歯です。
黄色の斜線はアゴの骨をあらわしています。
根っこがどれだけ深くアゴの骨に根を張っているかがわかると思います。
そして、その根っこが真黒に汚れているのも・・・
このように、歯の治療というのは実際には麻酔時間も長く、アゴの骨を削ったりするような立派な外科処置になります。(今回も、抜歯した部分を整形して縫い合わせるために、アゴの骨を若干削っています)
人間とは違い、自分自身で歯を磨くことのない動物の歯周病というのは、症例によっては想像を絶するひどさです。
ひどい時には歯周病で弱ったアゴの骨が骨折(自然に)してしまい、アゴがグラグラになっていることもあります。
こういった歯周病は、飼主様の日常の努力(歯ミガキ)で大部分を防ぐことができます。
毎日の歯磨きはなかなか大変ですが、週に2?3回でも良いので、できる限り日常的に歯磨きに取り組んでいただければと思います。
重度の歯周炎(歯の周囲におこる炎症)のため、クリーニングと同時に抜歯処置をおこないました。

○で囲んだ部分を見ていただくと、歯ぐきがなくなって、歯の根っこが見えてしまっているのがわかると思います。
また、この露出した歯根に歯石が付着して茶色く汚れてしまっています。
重度の歯周炎により、歯の根っこを覆っているはずの歯ぐきの肉やアゴの骨(歯槽骨)がとけてしまった状態です。
この歯は抜歯が必要です。

奥歯は根っこが二股に分かれているため、そのままでは抜けません。
まずはドリルで分割して・・・

抜けました。
残り半分もこのあと抜歯します。
大きな穴が開きますので、この部分は歯ぐきを整形して縫い合わせます。

続いて左下顎の奥歯。
○で囲んだ真っ黒になった部分が歯周病を起こした部分。
上述の歯と同じように、歯ぐきもアゴの骨も一部が消失しています。

こちらも二分割してから抜歯します。
抜歯した根っこの汚れがわかるでしょうか。
真黒に汚れ、灰色の膿がくっついてきています。
こんなものがアゴの骨に入り込んでいるのです。
この歯周病の毒素やバイ菌はアゴの骨や周囲の血管を通して体内に入り込み、肝臓や腎臓・心臓などの大切な臓器にも悪影響を及ぼします。
歯周病の怖さはここにあります。
歯だけの問題ではないのです。

こちらは右下顎の奥歯。
歯石クリーニングをした後で、一見するときれいに見えますが・・・
(歯ぐきが黒いのはもともとの色素です)

手にもった器具(歯周プローブ)が奥歯の横にズボッと深くはいってます。
これは、歯周病によって奥歯の根っこの部分に隙間ができていることを示しています。
歯根(歯の根っこ)はアゴの骨に1cm?1.5cmほどの深さまではまり込んでいます。
歯根とアゴの骨は靭帯で隙間なくつながっているので、通常は歯周プローブがこのように刺さることはあり得ません。
上述の写真のように歯周プローブが1cm近く刺さるということは、この奥歯の根っこの大部分がダメになってしまっているということです。
この歯も放置しておけば1?2年後には上述の歯のような歯周病に進行していきます。
この歯は早めに抜歯したほうが良いかもしれませんが、本人の年齢や、麻酔時間(クリーニング・抜歯・抜歯後の縫合処置などトータルで2時間半かかっています)を考えて、この歯は抜歯をせずにできる範囲の歯周病治療としました。
12歳という年齢と、一般的なビーグル犬の寿命を考えれば、今回麻酔時間を延長して抜歯するよりも、今後、飼い主様に歯磨きなど日常の歯のケアを頑張っていただいて、この歯周病の進行をなるべく遅らすほうが本人への負担は軽いと考えます。
もちろん、この歯の歯周病は少しづつ進行しますが、上手く管理すれば、寿命をまっとうするまで症状をコントロールできると判断しました。

抜歯した歯です。
黄色の斜線はアゴの骨をあらわしています。
根っこがどれだけ深くアゴの骨に根を張っているかがわかると思います。
そして、その根っこが真黒に汚れているのも・・・
このように、歯の治療というのは実際には麻酔時間も長く、アゴの骨を削ったりするような立派な外科処置になります。(今回も、抜歯した部分を整形して縫い合わせるために、アゴの骨を若干削っています)
人間とは違い、自分自身で歯を磨くことのない動物の歯周病というのは、症例によっては想像を絶するひどさです。
ひどい時には歯周病で弱ったアゴの骨が骨折(自然に)してしまい、アゴがグラグラになっていることもあります。
こういった歯周病は、飼主様の日常の努力(歯ミガキ)で大部分を防ぐことができます。
毎日の歯磨きはなかなか大変ですが、週に2?3回でも良いので、できる限り日常的に歯磨きに取り組んでいただければと思います。
2009年09月28日 (月) | 編集 |
2009年09月25日 (金) | 編集 |
昨日はHills社さんによる院内セミナーでした。
ネコちゃんの泌尿器疾患とその食事管理についてのセミナーだったのですが、その際にこんなものをいただきました。
肥満のリスクについてわかりやすく絵本形式で描かれています。


人間でもそうですが、肥満が健康に与える悪影響というのは無視できないものがあります。
ある研究では、肥満傾向のラブラドールと適正体重のラブラドールで平均寿命に2年近くの差がでたと報告されています。
2年というと大した差ではないように感じるかもしれませんが、これを人間に当てはめると10年?15年の寿命の差ということになります。
また、肥満はネコちゃんでは糖尿病の危険因子の一つであったり、犬では膵臓病の危険因子でもあります。
その他、心臓疾患や呼吸器疾患、関節疾患への悪影響もございます。
実際に診療をおこなっていても、小さい頃から適切な体重管理・食事管理をされてきたワンちゃん・ネコちゃんのほうが、高齢期になってからの毛づや・肌のコンディションが明らかに良いですし、その他の病気の発症も少ないように感じます。
ワンちゃん・ネコちゃんが肥満するかどうかは、基本的には飼主様が肥満のリスクを正しくご理解され、的確な食事管理をおこなってくださるかどうかにかかっています。
「食」は健康管理の基本中の基本。
待合室に置いてありますので、ぜひ手にとってご覧になってください。
ネコちゃんの泌尿器疾患とその食事管理についてのセミナーだったのですが、その際にこんなものをいただきました。
肥満のリスクについてわかりやすく絵本形式で描かれています。


人間でもそうですが、肥満が健康に与える悪影響というのは無視できないものがあります。
ある研究では、肥満傾向のラブラドールと適正体重のラブラドールで平均寿命に2年近くの差がでたと報告されています。
2年というと大した差ではないように感じるかもしれませんが、これを人間に当てはめると10年?15年の寿命の差ということになります。
また、肥満はネコちゃんでは糖尿病の危険因子の一つであったり、犬では膵臓病の危険因子でもあります。
その他、心臓疾患や呼吸器疾患、関節疾患への悪影響もございます。
実際に診療をおこなっていても、小さい頃から適切な体重管理・食事管理をされてきたワンちゃん・ネコちゃんのほうが、高齢期になってからの毛づや・肌のコンディションが明らかに良いですし、その他の病気の発症も少ないように感じます。
ワンちゃん・ネコちゃんが肥満するかどうかは、基本的には飼主様が肥満のリスクを正しくご理解され、的確な食事管理をおこなってくださるかどうかにかかっています。
「食」は健康管理の基本中の基本。
待合室に置いてありますので、ぜひ手にとってご覧になってください。
2009年09月22日 (火) | 編集 |
保護猫の「チャコ」ちゃん。
今朝ついに目が開きました
目が開くといっても、一晩でいきなり開くわけではありません。
保護されてちょうど1週間ですが、そのあいだに少しずつ開いてきました。

保護初日。おそらく生後2?3日といったところです。
上下の目蓋は完全にくっついています。
目を「閉じている」のではなくて、一枚の膜が眼球を覆っている状態です。

保護してから3日目くらい。
おそらく生後5?7日と思われる状態です。
完全にくっついていた目蓋が、写真のように、目頭から徐々にわかれ始めました。
オタマジャクシの尻尾がなくなるとの同じ原理で、上下の目蓋をつないでいた部分の細胞が消失していきます。

保護されてから5日。
半分くらい開きました。

で、1週間たった今朝、やっと目が完全に開きました
ようやく子猫らしい顔になりましたね
体重も220gと、保護初日の倍以上です
目は開いたといっても、まだ網膜の発達は不十分で、目の機能としてはこれからまだ時間をかけて発達していきます。
この「目が開く」という現象は、私も知識としては知っていましたが、このように1週間かけて観察するのは初めてでした。
獣医師やっていても、さすがに生後数日の猫を人工哺乳で育てることというのはそうあることではありません。
生後2?3日で保護が必要になるような子猫はたいていその時点で衰弱しきっていて、一晩もたないことがほとんどです。
なかなか貴重な体験をさせてもらっています。

ところで耳も、生まれたときは耳の穴がありません。
これも徐々に開いていきます。
目に比べるともう少し時間がかかるようです。
今朝ついに目が開きました

目が開くといっても、一晩でいきなり開くわけではありません。
保護されてちょうど1週間ですが、そのあいだに少しずつ開いてきました。

保護初日。おそらく生後2?3日といったところです。
上下の目蓋は完全にくっついています。
目を「閉じている」のではなくて、一枚の膜が眼球を覆っている状態です。

保護してから3日目くらい。
おそらく生後5?7日と思われる状態です。
完全にくっついていた目蓋が、写真のように、目頭から徐々にわかれ始めました。
オタマジャクシの尻尾がなくなるとの同じ原理で、上下の目蓋をつないでいた部分の細胞が消失していきます。

保護されてから5日。
半分くらい開きました。

で、1週間たった今朝、やっと目が完全に開きました

ようやく子猫らしい顔になりましたね

体重も220gと、保護初日の倍以上です

目は開いたといっても、まだ網膜の発達は不十分で、目の機能としてはこれからまだ時間をかけて発達していきます。
この「目が開く」という現象は、私も知識としては知っていましたが、このように1週間かけて観察するのは初めてでした。
獣医師やっていても、さすがに生後数日の猫を人工哺乳で育てることというのはそうあることではありません。
生後2?3日で保護が必要になるような子猫はたいていその時点で衰弱しきっていて、一晩もたないことがほとんどです。
なかなか貴重な体験をさせてもらっています。

ところで耳も、生まれたときは耳の穴がありません。
これも徐々に開いていきます。
目に比べるともう少し時間がかかるようです。
2009年09月21日 (月) | 編集 |

このレントゲンは「椎間板ヘルニア」を疑う症例です。
背骨のレントゲンです。
真ん中の四角いのが背骨で、その横に飛び出しているのが肋骨です。
背骨1個1個の隙間を見たときに、?の部分が他の所に比べて狭くなっているのがわかるでしょうか?
この部分が「ヘルニア」を起こしていると考えられます。
確定するにはCTもしくはMRIが必要ですが、症状からするとほぼ間違いないでしょう。

図解するとこんな感じです
椎間板というのは、背骨一個一個の間にあるクッションのようなもので、軟骨の一種です。
この椎間板が、なんらかの原因で変形したり、破裂して中身が飛び出すことで脊髄神経を圧迫してしまいます。
そうすると、その部分に痛みが生じたり、程度がひどい場合は神経に麻痺がおこったりします。
この症例も、腰の痛みと、後ろ足のふらつき(神経の部分的な麻痺)が見られました。
椎間板ヘルニアはダックスに多いことで有名です。
ダックスは「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれています。
これは軟骨に成長異常のある犬種のことで、ビーグルやシーズーも含まれます。
ダックスは足が短いのが特徴ですが、軟骨に成長異常があるためにあのように足が短くなってしまいます。
ダックスフントという人間の作り出した犬種としては正常でも、生物本来としては奇形の一種なのです。
このような軟骨に異常を持つ犬種は椎間板にも異常が出やすく、ダックスにヘルニアが多いのもこのためです。
2009年09月19日 (土) | 編集 |
待合室・トイレに消毒薬を設置いたしました。

新型インフルエンザ対策ではありません。
いや、もちろんそれでもいいんですが・・・
一番の目的は、初回ワクチンなどで来院された子犬ちゃん・子猫ちゃんのためです。
ワクチン接種前の子犬ちゃん・子猫ちゃんは大人のワンちゃん・ネコちゃんに比べて免疫力が低い状態です。
そのため、大人のワンちゃん・ネコちゃんならなんてことない病原体でも、病気を発症してしまうことがあります。
それを防ぐために、初回ワクチンのワンちゃん・ネコちゃんは待合室では待たずに、車の中で待機していただくという方法も考えられます。
ですが、ワクチン終了前の子犬・子猫にとって病院の待合室というのは、いろんな動物を目にしたり、いろんな人と触れ合う絶好の社会化の場でもあります。
そこで、消毒薬の登場です。
これで、手指の消毒をしていただいてからなら、安心して触れ合うことができます。
ただし、床を歩かせたり、大人のワンちゃん・ネコちゃんとの直接の接触・ご挨拶はワクチンがきちんと終わるまではお控えくださいね。
また、病気の動物を連れてご来院の方は、消毒をしたとしても危険が伴いますので、ワクチン前のワンちゃん・ネコちゃんとの接触はお控えくださいますようお願い申し上げます。

新型インフルエンザ対策ではありません。
いや、もちろんそれでもいいんですが・・・
一番の目的は、初回ワクチンなどで来院された子犬ちゃん・子猫ちゃんのためです。
ワクチン接種前の子犬ちゃん・子猫ちゃんは大人のワンちゃん・ネコちゃんに比べて免疫力が低い状態です。
そのため、大人のワンちゃん・ネコちゃんならなんてことない病原体でも、病気を発症してしまうことがあります。
それを防ぐために、初回ワクチンのワンちゃん・ネコちゃんは待合室では待たずに、車の中で待機していただくという方法も考えられます。
ですが、ワクチン終了前の子犬・子猫にとって病院の待合室というのは、いろんな動物を目にしたり、いろんな人と触れ合う絶好の社会化の場でもあります。
そこで、消毒薬の登場です。
これで、手指の消毒をしていただいてからなら、安心して触れ合うことができます。
ただし、床を歩かせたり、大人のワンちゃん・ネコちゃんとの直接の接触・ご挨拶はワクチンがきちんと終わるまではお控えくださいね。
また、病気の動物を連れてご来院の方は、消毒をしたとしても危険が伴いますので、ワクチン前のワンちゃん・ネコちゃんとの接触はお控えくださいますようお願い申し上げます。
2009年09月18日 (金) | 編集 |

ロイヤルカナン社製のペットフードが10月1日より値上がりいたします。
今年初めに一度落着きを見せた原材料価格の変動ですが、再び価格高騰が始まったため、やむをえず値上げとのことです。
商品によって違うようですが、5?10%ほど値上がりするようです。
当院では、治療食など長期にわたってご使用いただく商品に関しては、なるべくオーナー様のご負担を軽くするために、メーカー指定の希望価格よりも5?10%程度お安くご提供させていただいております。
価格改正後も、値上がりはいたしますが、従来通りメーカー指定の価格よりも5?10%ほどお安い価格でご提供させていただく予定でございます。
長期にわたり使用しなければならない処方食の値上がりは、飼い主様のご負担を考えれば、非常に心苦しい限りではございますが、何とぞ事情ご賢察のうえ、ご了解賜りますようお願い申し上げます。
2009年09月18日 (金) | 編集 |
2009年09月17日 (木) | 編集 |
先日の子猫ちゃん。
夜間・休日は自宅管理ですので、今朝は同伴出勤です
初日に100gだった体重も、今朝には130gに
子猫は100gくらいの体重で出生して、はじめの1?2週間は1日に10gくらい増えていきます。
ですので、保護から2日で30g増量なら上出来です

まずはお尻をティッシュで刺激しておしっこ・うんちです。
母猫が舐めるように、優しく刺激してあげます。
おしっこ・うんちができたらミルクタイム
哺乳瓶をお口にもっていけば、本能的に吸いつくだろう・・・と思ったら大間違い

ニャーニャー鳴くだけで、全く吸いついてくれません
それはそうです。
母猫のおっぱいからミルクが出るのは本能的に知っていることですが、こんなゴム製の乳首から出るなんて知っているわけがありません。
母親のぬくもりや、舐めてくれる刺激などがあって初めて本能が目を覚ますのではないでしょうか。

丸めたタオルを母親の体に見立てて、優しく体を包み込んであげながら乳首に導きます。
乳首をくわえたらすかさず哺乳瓶を圧迫して、口の中にミルクを流し込みます。
ミルクが出てくることに気づいてくれればこっちのもの
あとは一心不乱にグビグビ

少しおぼつかない手つきですが、なんとか飲んでくれたようです
夜間・休日は自宅管理ですので、今朝は同伴出勤です

初日に100gだった体重も、今朝には130gに

子猫は100gくらいの体重で出生して、はじめの1?2週間は1日に10gくらい増えていきます。
ですので、保護から2日で30g増量なら上出来です


まずはお尻をティッシュで刺激しておしっこ・うんちです。
母猫が舐めるように、優しく刺激してあげます。
おしっこ・うんちができたらミルクタイム

哺乳瓶をお口にもっていけば、本能的に吸いつくだろう・・・と思ったら大間違い


ニャーニャー鳴くだけで、全く吸いついてくれません

それはそうです。
母猫のおっぱいからミルクが出るのは本能的に知っていることですが、こんなゴム製の乳首から出るなんて知っているわけがありません。
母親のぬくもりや、舐めてくれる刺激などがあって初めて本能が目を覚ますのではないでしょうか。

丸めたタオルを母親の体に見立てて、優しく体を包み込んであげながら乳首に導きます。
乳首をくわえたらすかさず哺乳瓶を圧迫して、口の中にミルクを流し込みます。
ミルクが出てくることに気づいてくれればこっちのもの

あとは一心不乱にグビグビ


少しおぼつかない手つきですが、なんとか飲んでくれたようです

2009年09月15日 (火) | 編集 |
生後数日のネコちゃん。
保護された方が自宅で管理できるようになるまで、1?2週間ほど入院治療することになりました。

まだ目も耳もふさがっており、ヘソの尾も先ほどとれたばかり。
ミルクを欲しがって鳴く元気はあるものの、軽度の脱水症状をおこしており、このままでは1日ともたないでしょう。
自分自身でミルクを十分に飲むことができればよいのですが、今のこの子にはあまり期待できそうにありません。
そこで、チューブフィーディング。

チューブを食道から胃に入れて、注射器に入れたミルクを直接流し込んでいきます。
この作業を2?3時間毎におこないます。

お腹が満たされたらおねむです
まだ生まれて間もないため、今は元気に見えても、調子を崩すときはあっという間です。
このあと数日でどのくらい体重が増えるか、自力でミルクを飲んでくれるかが肝心です。
頑張ってほしいものです・・・
保護された方が自宅で管理できるようになるまで、1?2週間ほど入院治療することになりました。

まだ目も耳もふさがっており、ヘソの尾も先ほどとれたばかり。
ミルクを欲しがって鳴く元気はあるものの、軽度の脱水症状をおこしており、このままでは1日ともたないでしょう。
自分自身でミルクを十分に飲むことができればよいのですが、今のこの子にはあまり期待できそうにありません。
そこで、チューブフィーディング。

チューブを食道から胃に入れて、注射器に入れたミルクを直接流し込んでいきます。
この作業を2?3時間毎におこないます。

お腹が満たされたらおねむです

まだ生まれて間もないため、今は元気に見えても、調子を崩すときはあっという間です。
このあと数日でどのくらい体重が増えるか、自力でミルクを飲んでくれるかが肝心です。
頑張ってほしいものです・・・
2009年09月14日 (月) | 編集 |
2009年09月12日 (土) | 編集 |
以前にもこのブログで取り上げましたが、猫の「のう胞腎」と思われる症例です。
「(多発性)のう胞腎」とは、正常な腎組織が「のう胞」と呼ばれる空洞に置きかわってしまう病気で、遺伝が関与されていると考えられています。
猫では、ペルシャ・アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールドなどに多く見られ、ペルシャ系猫の40?50%に発症するとも言われています。

左が「のう胞」を形成した腎臓。
右が正常な腎臓です。
左の写真の黄色で囲った部分が腎臓で、その中央の黒く抜けている部分が形成されたのう胞と考えられます。
右の腎臓にも黒く抜けている部分が何箇所かありますが、これは正常な腎臓の髄質といわれる構造です。
この症例では腎臓の大部分が「のう胞」(空洞)に置き換わってしまっており、正常な腎臓の機能は失われてしまっています。
腎不全の状態です。
この疾患は、定期的に超音波検査などで腎臓の確認をしていれば早期に発見することができますが、そういったことがなければ腎不全として症状が出るまで気づかれないことがほとんどです。
(腎臓は予備能力が高いため、腎臓の大部分が障害されるまで症状が出ません。今回の症例も、残念ながら末期の腎不全になった状態での来院でした。)
ですので、アメリカンショートヘアなどの遺伝の可能性が高いネコちゃんでは、定期的な健康診断のメニューに腎臓の超音波検査を取り入れていくほうが良いと思われます。
ただ、残念ながら、遺伝したものを治すことはできません。
早期に発見し、早期に対策することで進行を和らげるくらいのことしかできません・・・
「(多発性)のう胞腎」とは、正常な腎組織が「のう胞」と呼ばれる空洞に置きかわってしまう病気で、遺伝が関与されていると考えられています。
猫では、ペルシャ・アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールドなどに多く見られ、ペルシャ系猫の40?50%に発症するとも言われています。

左が「のう胞」を形成した腎臓。
右が正常な腎臓です。
左の写真の黄色で囲った部分が腎臓で、その中央の黒く抜けている部分が形成されたのう胞と考えられます。
右の腎臓にも黒く抜けている部分が何箇所かありますが、これは正常な腎臓の髄質といわれる構造です。
この症例では腎臓の大部分が「のう胞」(空洞)に置き換わってしまっており、正常な腎臓の機能は失われてしまっています。
腎不全の状態です。
この疾患は、定期的に超音波検査などで腎臓の確認をしていれば早期に発見することができますが、そういったことがなければ腎不全として症状が出るまで気づかれないことがほとんどです。
(腎臓は予備能力が高いため、腎臓の大部分が障害されるまで症状が出ません。今回の症例も、残念ながら末期の腎不全になった状態での来院でした。)
ですので、アメリカンショートヘアなどの遺伝の可能性が高いネコちゃんでは、定期的な健康診断のメニューに腎臓の超音波検査を取り入れていくほうが良いと思われます。
ただ、残念ながら、遺伝したものを治すことはできません。
早期に発見し、早期に対策することで進行を和らげるくらいのことしかできません・・・
2009年09月10日 (木) | 編集 |
昨日は休診日でしたが、お客様がありました。
緑書房という獣医学関連書籍の出版社の方と、ライターさん、カメラマンさんです。
動物病院の診療機器にスポットをあてた本を出版する予定なのだそうですが、その本の中に開業医のインタビューを掲載したいとのことで、当院に取材にいらっしゃいました。

上の写真は動物病院のデザイン・設計を取り上げた書籍。
こんな感じのインタビュー・病院紹介記事になるそうです。
この書籍は、私も開業の際に参考にさせていただきました。
今回の企画も、開業を目指す獣医師、新しく機材を導入する獣医師の参考になるような書籍にしたいとのことでした。

プロのカメラマンさんによる院内の写真撮影
出来上がりが楽しみです
今回の取材は、開業時にお世話になったコンサルタントさんのご紹介によるものです。
出版社の方がコンサルタントのFさんに、「どこか紹介記事によい病院はないか」と相談された時に、当院を紹介してくださいました。
Fさん、ありがとうございます
2時間以上のロングインタビューでしたが、さすがプロのライターさん、うまく話を進めてくださるので、あっという間でした。
私なりにこだわりのたくさんある病院設計・診療体制ですので、これから開業しようとされる先生方の参考に少しでもなればと思います。
緑書房という獣医学関連書籍の出版社の方と、ライターさん、カメラマンさんです。
動物病院の診療機器にスポットをあてた本を出版する予定なのだそうですが、その本の中に開業医のインタビューを掲載したいとのことで、当院に取材にいらっしゃいました。


上の写真は動物病院のデザイン・設計を取り上げた書籍。
こんな感じのインタビュー・病院紹介記事になるそうです。
この書籍は、私も開業の際に参考にさせていただきました。
今回の企画も、開業を目指す獣医師、新しく機材を導入する獣医師の参考になるような書籍にしたいとのことでした。

プロのカメラマンさんによる院内の写真撮影

出来上がりが楽しみです

今回の取材は、開業時にお世話になったコンサルタントさんのご紹介によるものです。
出版社の方がコンサルタントのFさんに、「どこか紹介記事によい病院はないか」と相談された時に、当院を紹介してくださいました。
Fさん、ありがとうございます

2時間以上のロングインタビューでしたが、さすがプロのライターさん、うまく話を進めてくださるので、あっという間でした。
私なりにこだわりのたくさんある病院設計・診療体制ですので、これから開業しようとされる先生方の参考に少しでもなればと思います。
2009年09月08日 (火) | 編集 |
2009年09月07日 (月) | 編集 |
呼吸がおかしいとのことで来院された症例です。

左がその症例の写真。右が正常なワンちゃんの写真です。
矢印で示したところが気管なのですが、正常なレントゲンに比べるとつぶれて細くなってしまっているのがわかると思います。
「気管虚脱」といわれる状態です。
ポメラニアンやチワワ、ヨークシャーテリアといった小型犬種に多い病気です。
気管というのはリング状の軟骨がたくさん並んだ構造をしており、簡単に言うと掃除機のホースのような構造です。

正確な原因は不明ですが、この軟骨の構造が軟弱なために、筒状の構造を維持することができずに、気管がぺちゃりとつぶれてしまいます。
掃除機のホースの骨組みが弱くて、ゴミを吸おうとしたらホースがぺちゃんこにつぶれてしまう状態と同じです。(掃除機の吸引力にホースの骨組みが負けてしまっている状態)
「気管虚脱」になると、興奮したり、運動したりして息が荒くなった時に「ガーガー」とガチョウの鳴くような音で呼吸をします。
症状のひどい症例では、安静時でも常に「ガーガー」と呼吸して、苦しがるようになります。
息を吸う度に気管がぺちゃんこに潰れるので、ひどい時は呼吸困難をおこして命にかかわることもあります。
早い子では生後半年程度から症状がみられることもあります。
その後、年齢とともにひどくなることが多いですので、小型犬種で興奮したりしたときに呼吸の音がガーガー言うようなら、早めにチェックを入れたほうが良いでしょう。

左がその症例の写真。右が正常なワンちゃんの写真です。
矢印で示したところが気管なのですが、正常なレントゲンに比べるとつぶれて細くなってしまっているのがわかると思います。
「気管虚脱」といわれる状態です。
ポメラニアンやチワワ、ヨークシャーテリアといった小型犬種に多い病気です。
気管というのはリング状の軟骨がたくさん並んだ構造をしており、簡単に言うと掃除機のホースのような構造です。

正確な原因は不明ですが、この軟骨の構造が軟弱なために、筒状の構造を維持することができずに、気管がぺちゃりとつぶれてしまいます。
掃除機のホースの骨組みが弱くて、ゴミを吸おうとしたらホースがぺちゃんこにつぶれてしまう状態と同じです。(掃除機の吸引力にホースの骨組みが負けてしまっている状態)
「気管虚脱」になると、興奮したり、運動したりして息が荒くなった時に「ガーガー」とガチョウの鳴くような音で呼吸をします。
症状のひどい症例では、安静時でも常に「ガーガー」と呼吸して、苦しがるようになります。
息を吸う度に気管がぺちゃんこに潰れるので、ひどい時は呼吸困難をおこして命にかかわることもあります。
早い子では生後半年程度から症状がみられることもあります。
その後、年齢とともにひどくなることが多いですので、小型犬種で興奮したりしたときに呼吸の音がガーガー言うようなら、早めにチェックを入れたほうが良いでしょう。
2009年09月05日 (土) | 編集 |
2009年09月04日 (金) | 編集 |
乳歯抜歯をしました。
以前にも避妊手術時に乳歯抜歯をおこなった症例をご紹介しましたが・・・
今回はもっと大変です

上下の犬歯を筆頭に、合計13本の乳歯遺残です
前歯が二枚歯になっているのがわかるでしょうか?
(黄色いしるしの付いているのが乳歯です)
この子もトイ・プードルです。
やっぱりトイ・プードルは乳歯のトラブルが多いですね。
この子で問題なのは下顎の犬歯です(右側の写真)。
外側に生えている細いのが乳歯で、内側の太い歯が永久歯です。
このまま永久歯が内側で伸びていくと、上顎の内側にあたってしまいます
これは早急に抜歯してあげなければいけません。

エレベーターという抜歯用の器具を使って、乳歯の根っことアゴの骨とを分離します。

抜けた後には穴がぽっかりあいてます。
乳歯といえど、犬歯(キバ)は根っこが深く、途中で折れやすいので細心の注意をはらって処置します。
途中で折れてしまうと、アゴの骨を削って根っこを掘り出さなければならないので大変です
この作業、サツマイモ掘りに似ています。
サツマイモも十分に掘り起こして根っこを出さないと、途中であせって引っ張ると折れちゃいますよね。
私は子供の頃、辛抱ができずに早めにひっぱって折ってしまうほうでしたが、さすがに今回は辛抱強くやらねばいけません

一本も折ることなく、きれいに抜けました。
さすがに13本はしんどい・・・

左の小さくて細い歯が切歯(前歯)。
中央の太くて長いのが犬歯(キバ)。
右の平たい形の2本は臼歯(奥歯)。
こうしてみると犬歯の根っこの深さがよくわかります。
以前にも避妊手術時に乳歯抜歯をおこなった症例をご紹介しましたが・・・
今回はもっと大変です



上下の犬歯を筆頭に、合計13本の乳歯遺残です

前歯が二枚歯になっているのがわかるでしょうか?
(黄色いしるしの付いているのが乳歯です)
この子もトイ・プードルです。
やっぱりトイ・プードルは乳歯のトラブルが多いですね。
この子で問題なのは下顎の犬歯です(右側の写真)。
外側に生えている細いのが乳歯で、内側の太い歯が永久歯です。
このまま永久歯が内側で伸びていくと、上顎の内側にあたってしまいます

これは早急に抜歯してあげなければいけません。

エレベーターという抜歯用の器具を使って、乳歯の根っことアゴの骨とを分離します。

抜けた後には穴がぽっかりあいてます。
乳歯といえど、犬歯(キバ)は根っこが深く、途中で折れやすいので細心の注意をはらって処置します。
途中で折れてしまうと、アゴの骨を削って根っこを掘り出さなければならないので大変です

この作業、サツマイモ掘りに似ています。
サツマイモも十分に掘り起こして根っこを出さないと、途中であせって引っ張ると折れちゃいますよね。
私は子供の頃、辛抱ができずに早めにひっぱって折ってしまうほうでしたが、さすがに今回は辛抱強くやらねばいけません


一本も折ることなく、きれいに抜けました。
さすがに13本はしんどい・・・


左の小さくて細い歯が切歯(前歯)。
中央の太くて長いのが犬歯(キバ)。
右の平たい形の2本は臼歯(奥歯)。
こうしてみると犬歯の根っこの深さがよくわかります。
2009年09月03日 (木) | 編集 |
久しぶりに「わんにゃんドック」の話題です。
ビーグル犬の音理(ねり)ちゃん。もうすぐ13歳になる女の子です。
血液検査24項目に加え、腹部・胸部レントゲン、超音波検査も含めた「わんにゃんドック C」です。
ドックについて詳しくはこちら

まずは体重測定・体温測定などの一般身体検査。
その後、採血して血液検査になります。

新津さんももう慣れたものです。
村田さんに指導しながらの検査です。
村田さんは基本は受付・事務担当ですが、看護助手としての仕事も研修中

一休みして音理ちゃんが落ち着いたところで心電図の測定。
このあたりの検査は、完全に看護師任せです。
私は結果分析と写真撮影の担当

レントゲン撮影。
しっかりとポジションを合わせることが重要です。
位置がずれたり、傾いていると正確な判断ができなくなります。
動物相手だとこれが難しい
呼吸のタイミングも合わせなければいけないのですが、人間みたいに、
「吸って?、ハイ止めてください」
というわけにはいきませんからね・・・
興奮しやすいワンちゃん相手だと一苦労です
幸い、音理ちゃんは大人しくしてくれたので、無難に終えることができました
このあと超音波検査(エコー)をおこなって終了。
エコーはすみずみまで検査すると30?40分は必要なので、昼の検査時間にゆっくりとやるようになります。
ビーグル犬の音理(ねり)ちゃん。もうすぐ13歳になる女の子です。
血液検査24項目に加え、腹部・胸部レントゲン、超音波検査も含めた「わんにゃんドック C」です。
ドックについて詳しくはこちら

まずは体重測定・体温測定などの一般身体検査。
その後、採血して血液検査になります。

新津さんももう慣れたものです。
村田さんに指導しながらの検査です。
村田さんは基本は受付・事務担当ですが、看護助手としての仕事も研修中


一休みして音理ちゃんが落ち着いたところで心電図の測定。
このあたりの検査は、完全に看護師任せです。
私は結果分析と写真撮影の担当


レントゲン撮影。
しっかりとポジションを合わせることが重要です。
位置がずれたり、傾いていると正確な判断ができなくなります。
動物相手だとこれが難しい

呼吸のタイミングも合わせなければいけないのですが、人間みたいに、
「吸って?、ハイ止めてください」
というわけにはいきませんからね・・・
興奮しやすいワンちゃん相手だと一苦労です

幸い、音理ちゃんは大人しくしてくれたので、無難に終えることができました

このあと超音波検査(エコー)をおこなって終了。
エコーはすみずみまで検査すると30?40分は必要なので、昼の検査時間にゆっくりとやるようになります。
2009年09月01日 (火) | 編集 |
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