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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
呼吸困難
2009年05月23日 (土) | 編集 |
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木曜日に急患の患者さんがいらっしゃいました。
呼吸困難をおこしたワンちゃんで、来院時には重度の呼吸困難と心不全でかなり危険な状態でした。
すぐに酸素室に入っていただき、集中治療を開始し、なんとか今のところ小康状態です。

ですが、いまだ集中治療室から出られない状態です。

肺水腫

肺水腫でした。
左のレントゲンが急患のワンちゃん。右が正常なワンちゃんのレントゲン。
左側のレントゲンだと、心臓と肝臓の境目が白くぼやけてしまっています。
この部分が肺水腫。

心不全をおこすと、体の血液循環がスムーズに循環しなくなり、それによって肺の中に血液中の水分が漏れ出てしまいます。
この状態が肺水腫です。
肺の中に水が出てくるので、当然、呼吸困難におちいります。

このレントゲンは、実は金曜日に撮影したものです。
木曜の時点では、極度の呼吸困難のため、検査をすることができませんでした。
重度の肺水腫の場合、レントゲンをとるために横に寝かせたり、仰向けにするようなストレスを与えただけで心停止・呼吸停止をおこすことがあります。

ですので、来院した直後よりは肺の写り具合は良くなっているはずです。

今回のワンちゃんの肺水腫は、僧帽弁閉鎖不全症という心臓病が原因です。

小型犬に多くみられる心臓病で、加齢とともに発症が増加します。
10歳をこえたワンちゃんの20?30%にみられるくらい多い心臓病です。
(軽症例では見た目にはほとんど症状はありませんが、聴診をすると心雑音が聴取されます)

僧帽弁

写真にある僧帽弁という心臓内部の「弁」構造が、様々な原因により変性をおこし(簡単にいえば、傷んでボロボロになるということです)、それにより本来、ピッチリと閉まらないといけない弁に隙間ができてしまいます。

写真の僧帽弁はかなり変性がすすみ、弁の膜構造がボコボコになってしまっています。
(僧帽弁は薄い膜構造をしているので、本来はもう少し薄っぺらい構造をしています)

この僧帽弁がうまく閉まらなくなると、心臓の中の血液の流れに乱れが生じ、「逆流」が起こります。

逆流

右側の画像の、赤や黄色が明るく出ている部分が「逆流」を起こした血液です。

この「逆流」によって体の血液循環が乱れてしまい、重症例では今回のように肺水腫をおこすことになります。

この病気は基本的には治りません。(心臓手術によって弁を修復する方法もありますが、あまり一般的ではありません)

内服薬や食事管理で弱った心臓をいかにコントロールするかが大切になってきます。

先に述べたとおり小型犬に多くみられる心臓病で、進行すれば今回のように命にかかわる病気です。
なおかつ、このような状態になると、呼吸困難で耐えがたい苦しみを味わうことになります。

この病気は早期に発見し、計画的な治療をおこなうことで、かなりの部分コントロールすることができます。
発見は簡単な部類に入る病気で、聴診器で心臓の音を聞けばすぐにわかることがほとんどです(確定診断にはそれなりに検査が必要ですが)。
うまくすれば心臓病を抱えつつも寿命をまっとうすることもできます。

当院ではワクチン接種やフィラリアの検査時など、来院された時には聴診を含めて一通りの身体検査をおこなうようにしていますので、定期的に通っていただくことで早期発見につながるかと思います。