町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
会陰ヘルニアの手術 キャバリア犬のケース
2018年05月14日 (月) | 編集 |
町田市 相模原市 動物病院 谷口動物病院


本日ご紹介するのは、会陰ヘルニアで手術を行ったキャバリア犬の症例です。

会陰ヘルニアについてはこちら

症例1

症例2-1

症例2-2



わかりやすく言えば「脱腸」です。



前述のリンク先でもご説明しておりますが、肛門周辺の筋肉が弱体化することで、骨盤内の腸を支えることができなくなり、脱腸を起こします。


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矢印部分が膨らんでいます。これが脱腸。肛門横の筋肉が弱体化することで、骨盤内の腸や膀胱が飛び出てしまっています。




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肛門左側にくらべて、右側が大きく膨らんでいます。このふくらみの内部は腸や膀胱です。



ヘルニアになると、排便や排尿にトラブルが出ます。


会陰ヘルニアを治療するには、弱体化した肛門周りの筋肉の代わりに、何らかの方法で腸や膀胱を支える「壁」をつくってやる必要があります。


いろんな術式が考案されていますが、どれも一長一短。


術後の再発率もたかく、わりと厄介な手術であります。



今回の症例は、心臓病を患っており、長時間の麻酔に不安があるため、最も手術時間が短くなる術式での手術となりました。



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ヘルニアの穴。本来は肛門周囲の筋肉でふさがってなければいけません。
肛門周囲の筋肉が男性ホルモンの影響や、加齢によって虚弱化し、このような空洞ができてしまいます。この空洞から、本来なら腹腔内にある腸や膀胱が肛門横に飛び出してしまうのです。




このヘルニア孔をなんとかして塞がなければならないのですが・・・



今回はシリコンプレートを使ってこの穴をふさぎます。



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白く見えてるのがシリコンプレート。



ヘルニア孔に埋め込んだシリコンプレートを丁寧に縫合していきます。



縫合が甘いと、プレートが外れてヘルニアが再発してしまいます。



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術後の様子。



肛門右側のでっぱりがなくなっているのがわかりますね。



上述したように、この会陰ヘルニアは再発率の高い病気です。



今回のようにシリコンプレートで穴をふさいでも、シリコンを縫合した周辺組織もすでに弱体化しているので、その部分がまた引き裂けるようにしてシリコンプレートが外れてしまう可能性があります。



また、右側のヘルニアを治療しても、左側の筋組織もすでに弱体が進行している可能性が高く、そのうち左側にもヘルニアが発生する可能性があるのです。



この肛門周囲の筋肉の弱体化には男性ホルモンの影響が大きいと考えられています。


実際に私も今まで経験した会陰ヘルニアの症例は、すべて、去勢手術をしていない雄犬だけですね。


町田市 相模原市 動物病院 谷口動物病院

長毛猫の消化管内異物
2017年05月15日 (月) | 編集 |
急性の吐き気を主訴にご来院いただいた猫ちゃんの手術中の様子です。



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超が真っ赤に腫れあがっています。


少し上に写っている薄ピンクの部分が正常な状態です。


消化管内異物による腸閉塞であります。


この部分を切開して、中から取り出したものは・・・



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なんと・・・毛玉です。



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長毛の猫ちゃんでは、大きく絡まった毛玉が原因で腸閉塞を起こすことがあります。



「このくらいの毛玉なんてウンチに出てくるんじゃないの??」



と思うかもしれませんが・・・



今回この毛玉が詰まっていたのは小腸です。



動物が口にした食物は、まず胃の中でドロドロの流動状態にまで溶かされます。



ドロドロになった食物は、胃から小腸へ流れていき、そこで様々な栄養素が吸収されます。


小腸で栄養素を吸収された食物の残りカスは大腸へ移動し、そこで固形の糞便になります。


つまり、小腸は固形物を受け入れる役割は持っていないのです。


そのため、ウンチとそう変わらないような大きさの毛玉でも、運悪く詰まってしまうことがあるのです。


たかが毛玉ですが、手術が遅れれば命にかかわる大問題なのであります。

町田市 谷口動物病院

消化管内異物
2017年02月03日 (金) | 編集 |
数日前から吐き気が続いている・・・


と言うことでいらっしゃったワンちゃん。



まだ3歳と比較的若く、内臓疾患などは考えにくい年齢です。



このように、比較的若い年齢のワンちゃんで吐き気が続く場合は、消化管内異物の可能性を考慮しなければなりません。



さっそくレントゲンを撮ってみると・・・


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黒く見える部分は消化管内のガス



背骨の左側にどうも不自然な形の消化管ガスが・・・



他の部分の消化管内ガスと違って、なんだか長方形に見えるような・・・



この位置は、小腸から盲腸につながる部分で、消化管内異物が詰まりやすい部分です。これはどうもアヤシイ・・・



そこで、超音波検査で確認です。



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う~ん・・・やはり、あやしい。なんだか四角い人工物のように見えます。



とはいえ、これだけを根拠に開腹手術に臨むには心もとないので、造影剤を投与して再度レントゲン撮影。



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造影剤を投与して数時間後。



やはり、人工的な異物のようです。思った通り、小腸から盲腸につながる部分に閉塞しているようです。



症状が数日前から出ていることと、初めのレントゲン撮影から5~6時間たっても移動していない事からすると、この異物が自然に排泄される可能性は極めて低いと考えられます。


自然排出の可能性にかけて様子を見ることもできますが・・・


閉塞が長期にわたると、その部分の消化管に血流不全が生じ、壊死を起こす危険があります。


最悪の場合、致死的な腹膜炎を起こす可能性もあるのです。


今回の症例は、症状の発現からすでに数日が経過していますので、これ以上様子を見るのは危険と判断。



開腹手術を行うこととしました・・・


・・・


・・・のですが・・・



手術直前に最終確認のレントゲン撮影を行ったところ・・・



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なんと、検査開始から何時間たっても全く移動しなかった異物が、スルリと盲腸をこえて結腸まで移動していました。



ここまで移動すると、後は便として排泄されるのみ。



なんと、なんと・・・土壇場で手術回避となりました。


造影剤の投与が刺激になるのか、時々消化管内異物の症例でこういった事が置きますが・・・まさか手術直前で流れるとは・・・強運の持ち主??



さて、この異物・・・飼主様にレントゲンを見ていただいたところ・・・



「2~3カ月前にイタズラしていた信玄餅のタレの容器だと思う・・・」



とのこと。



なんと、数カ月間の間、胃の中にあった空容器が、今になって消化管閉塞を起こし、なおかつ、手術直前のギリギリのタイミングで閉塞を乗り越えて結腸に到達したようです。


不消化性の消化管内異物の場合、時々こういったことがおこります。


異物は、胃の中にあるうちは単純な食べ物と同じですから、特に吐き気などが生じる場合はありません。
(刺激性、中毒性が無い場合に限ります)


ただ、それが胃の出口や腸に詰まってしまったときだけに、吐き気の症状が出ます。


ある程度の大きさの異物になると、胃の中で消化されることもなく、かといって胃の出口を通過することもなく、何カ月も胃の中に存在することがあるのです。



そうした異物が、ある日、無理やりに胃の出口を通過して腸に詰まってしまうと、今回のような事が起きてしまうのです。



数日後、飼主様が御連絡がありまして、無事に信玄餅の空容器はウンチと一緒に出てきたそうです・・・

消化管内異物 ~ちょっと珍しいケース~
2016年12月19日 (月) | 編集 |
少し前に消化管内異物で緊急手術を行った症例です。



まだ3歳になったばかりの若い猫ちゃんなのですが、突然の嘔吐・食欲不振を理由にご来院いただいた症例です。



身体検査を行うと、胃周辺の触診を嫌がる様子。



だいぶ痛みがあるようです。


年若い動物で、突然の嘔吐と腹痛がみられた場合に疑うべき病気の一つに、消化管内異物が上げられます。



早速レントゲンを撮ってみると・・・



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重度の胃拡張と、ガス貯留が認められました。

黄色で縁取ったところが拡張した胃。

胃から腸にかけて、黒くガスが溜まっている様子が解りますが、ガスは腸のところでぷっつりと止まっています。

これは腸閉塞を疑う所見です。

腸内に異物が詰まってしまい、胃から腸への内容物の流出が妨げられた結果、胃がパンパンに拡張し、ガスが溜まっているのです。



消化管内異物が疑われた場合、症例の状態によっては自然に流れるかどうか少し様子を見る場合もあるのですが・・・



今回の症例は、すでに腎臓・肝臓にも障害が出始めており、待ったなしの緊急手術となりました。
(腸閉塞では、閉塞部の循環不全や、組織障害が腹腔内全体の臓器に悪影響を及ぼすことがあります。)



開腹して胃~小腸を確認し、閉塞部を捜していきます。


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異物閉塞の影響で、小腸が広範囲に炎症・腫脹を起こしています。



私が指でつまんでいる部分が閉塞部なのですが・・・



一体何が詰まっていたかと言うと・・・




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なんと・・・毛玉です・・・




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今回の症例はノルウェージャン・フォレストキャットという長毛種なのですが、症例自身の毛玉が異物となって腸閉塞を起こしていたのです。



私も、ここまでハッキリとした毛玉による腸閉塞は初めてでした。



長毛種ですと、このくらいの毛玉はウンチに出てくることも多いのですが、運が悪いと今回のように手術が必要になることもあるのです。



しかも、自分自身の毛玉で腸閉塞を起こしたということは、今後も同じようなことを繰り返す可能性があるということ。



そこで、この猫ちゃんは、常にバリカンで毛を短く整えてもらって、毛玉を少しでも抑制することをお勧めさせていただきました。

膵炎
2016年12月05日 (月) | 編集 |
「膵炎」という病気があります。


それほど日常的に多く診る病気ではないのですが・・・



重症化した場合は、生存率50%程度という報告もあり、非常に怖い病気の一つであります。



強い吐き気と腹痛が起きる病気なのですが・・・



軽症例から致死的な症例まで幅があり、また重症化した場合は数日で容体が急変するケースもあり、なかなか診断・治療が難しい病気でもあります。



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炎症を起こし、腫れあがった膵臓



膵炎は、主に超音波検査と血液検査の結果から診断することになります・・・が・・・



超音波検査での膵炎の検出率は70%程度と決して高いものではなく、また血液検査での検出も、確実なものではありません。




したがって、すべての検査結果と、臨床症状から総合的に判断しなければならないのですが・・・



前述のように、膵炎の中には数日で死に至るような劇的な症状を示す症例もあり、まだまだ難しい部分の多い病気であります。



膵炎の原因は不明な点も多く、特定の犬種との関連(特にミニチュアシュナウザー)や、高脂血症との関連、内分泌疾患や肝胆道系疾患との関連などが報告されていますが、詳細な因果関係はいまだにハッキリしていません。




膵臓は食べ物の消化に関わる臓器で、内部には消化酵素を含んでいます。



膵炎ではこれらの消化酵素が活性化されることで、自己消化・炎症がおこります。


軽度の膵炎では、炎症は限局的で自然と回復する場合もありますが、重症化した症例では、炎症が周辺臓器にも広がり、重度の炎症が発生します。



激しい炎症により発生した様々な炎症産物・化学物質が血液中に流入すると、障害は全身の臓器に拡散し、致命的な反応を引き起こすことにつながります。



このように恐ろしい病気ではありますが、病気の原因がハッキリと解っていないため、予防法も確立されていません。


ただ、高脂血症との関連が指摘されていますので、脂肪分の多い食事をさけ、過食をひかえて適正体重に保っておくことは大切だと考えられています。