町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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短頭種気道症候群
2017年10月06日 (金) | 編集 |
こちらは先日歯科処置をおこなったワンちゃんの処置中の写真です。



tan17100601.jpg



歯科処置中の写真ですが、今回、ご説明したいのは呼吸器の問題について。


写真の症例はチワワちゃん。写真を見ていただくと、小さなお口に対して舌がものすごく大きいのがお分かりいただけると思います。


tah17100602.jpg



御覧のように、大きな舌がのどの奥をふさいでいます。



tah17100603.jpg



処置をしていても、大きな舌が邪魔で大変です・・・



この大きな舌は、咽喉、気管の入り口を圧迫し、呼吸障害を引き起こします。


チワワや、パグ、ブルドックなど、鼻が潰れたようになっている犬種を、「短頭種」と呼びます。


短頭種では、頭蓋骨が成長異常を起こすために、あのような特徴的な顔立ちになるのですが・・・


成長異常を起こして短く・小さくなるのは骨格だけで、軟部組織と呼ばれる舌や咽喉周りの筋肉脂肪組織などは「成長異常を起こす前の本来の容量」のままとなります。


たとえて言うと、お弁当の中身の分量はそのままに、お弁当箱が小さくなった感じ。


当然、お弁当箱の中身はぎゅうぎゅう詰めになりますよね。


ぎゅうぎゅう詰めになった軟部組織は、鼻腔や咽頭などの空気の通り道を圧迫します。


そのため、呼吸障害が起こるのです。


こういった、短頭種特有の呼吸障害を「短頭種気道症候群」と呼びます。


パグやブルドックのような犬種が、普段から口を大きく開いて、ゼエゼエと呼吸している様子をご覧になったことはありませんか?


あれは、単に熱かったり興奮しているわけではなく、口を閉じると軟部組織の圧迫でうまく呼吸ができないからというのも一つの原因になっているのです。



鼻ぺちゃで可愛らしい犬種たちではありますが・・・実はこういった犬種は、生まれながらにして一生「息苦しい」生活を余儀なくされていたりするのです。

誤嚥性肺炎
2017年09月01日 (金) | 編集 |
7月~8月にかけて、なぜだか肺炎の症例が続いていました。




20170901tah01.jpg
青丸で囲んだ部分。白っぽくなっているところが肺炎を起こした部分。
右側のレントゲン写真は治療後のレントゲン写真。白くモヤがかかっていた部分が綺麗になっています。







こちらは別の症例。









20170901tah02.jpg
左が治療前。肺の右下部分(症例にとっては左肺)が白くぼやけています。
右が治療後。




これらの症例に共通しているのが・・・



「数時間前まではいつも通り元気にしていたのに、ゲホゲホとむせ返った後から急に咳をするようになって、元気がなくなってしまった」



ということです。



「誤嚥性肺炎」です。



誤嚥性肺炎というのは、食物や自分自身の吐物、唾液などを誤って肺に吸入してしまった際に起こる肺炎です。



若い症例に偶発的に起こることもありますが、多くは呑み込みの機能の衰えてきた中高齢の動物で起こることが多い病気です。



軽度の場合は抗生物質と消炎剤の投与で綺麗に治りますが・・・



呑み込みの機能の衰えが原因ですので、また繰り返す可能性があります。



こういった症例では、お食事を与えるときに小分けに与えたり、食器の位置を高くして飲みこみやすい状態にしてあげることも大切です。






短頭種気道症候群
2015年10月10日 (土) | 編集 |
以前にもとりあげたことがありますが、「短頭種気道症候群」についてであります。




まずはこちら。



正常犬の気道のレントゲンのご紹介から。



20151010tah01.jpg



鼻からの空気の通り道と、口からの通り道の間に「軟口蓋」があり、その奥で気管へと一つにつながります。



こちらは、あるフレンチブルドッグの気道のレントゲン。



20151010tah03.jpg



正常犬に比べて、「軟口蓋」の部分が分厚く、空気の通り道が明らかに狭まってしまっています。



フレンチブルドッグやパグ犬のような「短頭種」と言われる犬種では、通常のワンちゃんに比べて気道が狭くなっていることがほとんどです。



これを、「短頭種気道症候群」と言います。



ぺちゃんこに潰れた鼻、分厚くなった軟口蓋、通常よりも細い気管など、生まれつき気道に不具合が生じるため、普通の犬種に比べてイビキをかきやすかったり、すぐにゼエゼエと呼吸が荒くなったりしやすいのです。



中でも、気道の閉塞が重度な症例では、何かの拍子に窒息死してしまうこともあるのです。



こちらは、より重度な「短頭種気道症候群」のワンちゃん。


20151010tah02.jpg


気道の狭窄が重度です。



ここまで重度になると、睡眠中等に窒息する危険があります。



ぺちゃんこに潰れたお顔が可愛らしい「短頭種」ですが、その特徴的なお顔の影には、このような疾患が隠れているのであります。

誤嚥性肺炎
2015年08月31日 (月) | 編集 |
まずは正常な胸のレントゲン写真です。



20150831tah01.jpg



真ん中にまるく写っているのが心臓です。


左右の肺は空気を含んでいるので黒く写ります。




続いて、咳と呼吸困難で来院した仔犬ちゃんのレントゲン写真。



20150831tah02.jpg



正常なレントゲン写真に比べると、なんだか心臓の形がハッキリしません。



写真左側の肺の一部も白く曇ってしまっています。



これは「誤嚥性肺炎」を示唆する所見です。


「誤嚥性肺炎」のは、食物や嘔吐物などが間違って気管に入り込んでしまった場合におこる肺炎です。



写真で白くなっているところは右肺の「中肺葉」と言う部分で、気管の位置関係の都合で、「誤嚥性肺炎」を起こしやすい部分とされています。



この症例は、自宅に迎えた翌日から咳の症状があり、「ケンネルコフ」というワンちゃんの風邪を患っていたのですが、夜間に激しくせき込んだあとから急に具合が悪くなってきたということで入院治療となりました。



おそらく、激しくせき込んでいるうちに、食物か何かを誤嚥してしまったものと思われます。




悪化させると命にかかわることもあるので、的確に診断し治療を行わなければなりません。

難治性の咳と気管虚脱
2015年07月24日 (金) | 編集 |
何カ月も咳が治まらないということで来院された症例です。



12歳と高齢の小型犬で、「心臓病から来る咳だろう」ということで治療をうけていたそうなのですが、なかなか良くならず、むしろ悪化してきているということでご来院いただきました。



聴診すると、たしかに心雑音が聴取されます。



高齢の小型犬では、「僧帽弁閉鎖不全症」を発症することが多く、12歳以上の小型犬では2~3割のワンちゃんがこの病気になっているというデータがあるほどです。


「僧帽弁閉鎖不全症」では、心拡大からの気管圧迫による咳や、肺うっ血からの咳など、咳症状を示すことが一般的です。



そのため、小型犬で咳を繰り返す症例では、たしかに鑑別診断のリストに挙げなければならない疾患ではありますが・・・



どうも、今回のワンちゃんでは様子が違います。



実は、高齢の小型犬が咳症状を示す際に注意をしなければならない疾患がもう一つあります。


「気管虚脱」であります。



この疾患も、高齢の小型犬に多く見られる疾患で、遺伝的な問題、加齢による気管組織の脆弱化などにより、呼吸時に気管がつぶれてしまう疾患です。



初期の段階では、ほとんど無症状ですが、進行すると難治性の咳や、呼吸困難を呈します。



この疾患を診断するのに重要なのは、「息を吸ったとき(吸気)」と「息を吐いた時(呼気)」の別々のタイミングでレントゲンを撮影することです。



「気管虚脱」に陥ったワンちゃんでは、気管内圧と胸腔内圧の関係により、呼吸のタイミングに合わせて気管がつぶれたり(虚脱)、拡張したりを繰り返します。


そのため、レントゲン撮影のタイミングによっては、疾患の見逃しにつながってしまうのであります。



20150724tah01.jpg
吸気時(息を吸ったとき)に撮影した胸部気管。
気管は正常なように見えますが・・・




20150724tah02.jpg
呼気時(息を吐いた時)では気管内の圧力が下がるため、気管がペシャンコに潰れてしまっています。
正常な気管では、気管軟骨がしっかりと支えているため、このように気管がつぶれることはありえません。
遺伝的な問題や加齢により、気管の支持構造が脆弱化するため、このように気管が形状を維持することができなくなっていまうのです。




実は、


○高齢の小型犬に気管虚脱が多い事


○気管虚脱では咳の症状が出ること


○気管虚脱の診断には、「吸気」と「呼気」の異なるタイミングでのレントゲン撮影が必要であること



は、獣医学生でも聞いたことがあるくらい基本的な知識であります。




ただし、人間の思い込みというのは怖いもので・・・


先に「心雑音があるから、心臓からの咳かな?」と先入観を持ってしまうと、それなりに経験のある獣医師でも、スッポリとこの気管虚脱を見逃してしまうことも少なくないのです。