町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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甲状腺ホルモンの測定
2014年12月12日 (金) | 編集 |
ここ最近、やたらと続いた病気の中からのご紹介です。



「甲状腺」についての病気であります。



「甲状腺」と言うのは、喉のあたりにある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌する働きを持っています。



「甲状腺ホルモン」は、生体の代謝機能の調節や、正常な成長・発育に大きな役割を果たしています。



この「甲状腺ホルモン」の分泌バランスが崩れることで、病気として症状があらわれてくるのですが・・・



不思議なことに、ワンちゃんでは甲状腺ホルモンの分泌が低下する「甲状腺機能低下症」が多く・・・


一方、猫ちゃんでは甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「甲状腺機能亢進症」が多いのであります。








20141212tah01.jpg
甲状腺機能低下症のワンちゃんの検査結果。
T4・FT4が犬の甲状腺ホルモンの値。
参考値=正常値と考えて下さい。



甲状腺機能低下症では、代謝や発育に係わる甲状腺ホルモンが不足するため・・・


活動性の低下・低体温・無気力・肥満・皮膚症状(脱毛、感染症、フケ症など) といった症状がみられます。








20141212tah02.jpg
甲状腺機能亢進症の猫ちゃんの検査結果
T4が甲状腺ホルモンの値。



甲状腺機能亢進症では、代謝や発育に係わるホルモンの分泌が過剰になるため・・・




行動の変化(攻撃的・活動的)・体重減少・食欲増進・下痢や嘔吐・頻脈(心拍数の増加)といった症状が認められます。




どちらの病気も、比較的高齢になってから発症する病気ですので・・・


「最近、あまり動きたがらないけど年のせいかしら?」(甲状腺機能低下症)


「最近フケっぽくなって、毛が薄くなってきたけど、年のせいかしら?」(甲状腺機能低下症)


「最近痩せてきたけど・・・年だし仕方ないかな? でも、元気に動き回ってるし、食欲もあるから大丈夫じゃない?」(甲状腺機能亢進症)


と言った感じで、飼い主様が気が付きにくい病気であります。



症状だけを見ると、それぞれ大した症状には見えませんが・・・



生命の根幹である代謝活動に係わるホルモンの異常ですので、長期間放置してしまうと、命にかかわることもある病気であります。




自分で言葉をしゃべることのできないワンちゃん・猫ちゃんの健康管理においては、日頃のちょっとした体調の変化や行動の変化が、重大な病気の発見につながる大切な手掛かりになることも珍しくありません。




「あれ、どうしたんだろう?」



と疑問に思ったことは、どうぞ御遠慮なさらず、獣医師・看護師・受付スタッフにご相談くださいませ。

夜鳴きがヒドイ
2012年11月03日 (土) | 編集 |
こちら、あるネコちゃんの血液検査の結果です。




20121103tah01.jpg



T4という項目。正常値の4倍とかなり高い値を示しています。




T4というのは、甲状腺から分泌されるホルモンで、甲状腺機能を調べるときに計測する数値であります。




こちらのネコちゃんは、現在18歳の高齢ネコちゃんで、夜鳴きがヒドイということでご来院いただきました。





「夜鳴き」の原因は、しつけの問題、認知症などいくつか考えられますが、老ネコちゃんの場合は「甲状腺機能亢進症」が原因になることが多いようです。






「甲状腺機能亢進症」は、体中の代謝や自律神経の働きに係わる「甲状腺ホルモン」のバランスが崩れ、通常よりも多くホルモンが分泌される病気です。





「甲状腺ホルモン」は体の「活動性」に係わるホルモンなので、これが多量に分泌されることで、「興奮しやすくなる」、「食欲が増す」、「食べてるのに痩せていく」、「活動性が増す(特に夜間)」といった症状がみられるのです。





「甲状腺機能亢進症」では、基本的には「元気で食欲がある」ように見えるので、飼い主様からすると病気として認識しにくいのですが・・・





過剰に分泌されるホルモンは心臓機能などにも悪影響を与えますので、なるべく早く診断し、治療をおこなうことが大切です。





治療には甲状腺ホルモンの分泌を抑えるお薬を使用します。





8歳以上の老ネコちゃんに比較的多い疾患で、定期的な健康診断、血液検査を受けていただいていれば、それほど発見・治療の難しい病気ではありません。






糖尿病になると・・・
2012年05月15日 (火) | 編集 |
前回、インスリン注射について少しお話しましたが・・・




今回は、糖尿病になった時の症状についてであります。




糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリン(ホルモンの一種)が不足することで引き起こされます。




インスリンというのは、血液中のエネルギー(糖分)を細胞内に取り込む働きを持っています。



そのため、インスリンが不足すると、血液中のエネルギー(糖分)を細胞に取り込むことができないため、血液中にエネルギー(糖分)が余ってしまう=高血糖になってしまうわけです。



血液中の過剰な糖分は、腎臓から排泄されて糖尿になります。




尿に糖分が排泄される際に、水分も一緒に多く排泄されるため、おしっこの量が多くなります。




おしっこに水分が多く出て行ってしまうため、当然、喉が渇き、水を飲む量が増えてきます。




そのため、初期の糖尿病で飼い主様が一番気がつきやすいのが、「多飲・多尿」といった症状になります。








糖尿病がさらに進行すると、今度は「食欲はあるのに痩せていく」という症状が出てきます。



前述のように、インスリンは細胞内にエネルギーを取り込む働きを持っています。



インスリンが不足すると、細胞内にエネルギーを取り込めなくなってしまうため、結果的にはいくら食べても体はエネルギー不足の状態に陥ってしまいます。



そのため、体は生きていくために脂肪を分解して、なんとかそれをエネルギーとして利用しようとするのです。





なので、「食べてるのに痩せていく」という症状がでてくるわけです。





ただし、この「脂肪を分解してエネルギーとして利用する」のには限界がありまして、脂肪を分解した際に発生するケトン体という物質が蓄積すると、中毒症状が発症し、最悪の場合は死にいたる危険がございます。




「食べてるのに痩せていく」という症状は、糖尿病の症状としてはかなり進行し、危険な状況が近づいていることを意味します。




糖尿病は、ワンちゃん・ネコちゃんでも一般的な病気で、ここ近年は人間同様に食習慣や運動不足から症例数が増えているという報告もございます。



やはり、まずは適切な食事管理と運動量。



そして、日ごろからの元気食欲・排便排尿の状態をよく観察していただき、気になる点があれば早め早めに獣医師にご相談いただくことが大切です。











お尻の毛が・・・!
2012年05月12日 (土) | 編集 |
先日退院したネコちゃんのお尻です。


こちらは退院直前のお写真。





20120512tah01.jpg




お尻の両サイドの毛を刈られてしまっています。





これは、別に皮膚病とかではなくて、糖尿病治療のためであります。




人間でも運動不足や肥満といった生活習慣を背景に、糖尿病の患者さんが多くいらっしゃるわけですが、ネコちゃんでもこの30年の間に、糖尿病の症例が増える一方だそうです。



おそらく、人間と生活するなかで、必要以上の栄養摂取、室内飼育が増えたことでの運動不足が関わっているのかもしれません。




さて、糖尿病になると、治療にはインスリン注射がかかせなくなります。




動物用にインスリン注射というものは開発されていませんので・・・




当然、人間用の物を応用せざるを得ません。




20120512tah02.jpg




こんなちっちゃな注射器で・・・




20120512tah03.jpg




こんなちょっぴりの量を注射しなければならないのです。




これを、飼い主様に御自宅で一日二回注射していただかなければならないのですが、なれない注射を、動くワンちゃん・ネコちゃん相手に正確に注射するのはなかなか困難。



しかも、こんな小さな注射器でちょっぴりの量となると、余計に大変であります。



そのため、注射する部位が見えやすいように毛を刈っておいたのです。



このあと、飼い主様に注射の練習をしていただいてから、元気に退院していきました。

ハネムーン期
2011年09月20日 (火) | 編集 |
糖尿病治療の中で、ハネムーン期と呼ばれる段階があります。



糖尿病の治療中は、血糖値の管理が上手くいっているか定期的に血糖値の推移を測定し、治療計画を見直す必要があります。



血糖値変動
糖尿病治療中のネコちゃんの血糖値の推移



ネコちゃんの血糖値の正常値は80~130程度です。


糖尿病治療中は、なるべく正常値に近づけるのが理想ですが、あまり欲張ると逆に低血糖をおこしてしまう危険もあるので、現実的には「100~200くらいに収まればいいかな」というところ。


上の写真は糖尿病治療中のネコちゃんで、昨年の6月に測定した値。


全体的に150以上とやや高めの血糖値ですが、まずまずといったところ。



ところが・・・


20110920.jpg


同じネコちゃんの今月の測定値。



常時400以上と血糖値のコントロールがまったく上手くいっていません。



このネコちゃん、今年の7月頃まではずーっと上手くいっていたのですが、8月ごろから急に血糖値のコントロールが上手くいかなくなってきました。



このように、糖尿病治療の初期は容易に血糖値をコントロールできていたものが、数カ月~数年たって途中から上手くいかなくなることが時々あります


これは、治療初期の段階では、まだ自分自身で血糖値をコントロールする能力が残っていたため、比較的インスリンの投与量が少なくても血糖値が上手くコントロールできるためです。


この時期をハネムーン期といいます。
何も難しく考えなくても、面白いように治療が順調に進む状態。

まさしく、ハネムーン。二人の前にはバラ色の毎日状態。




それが、時間の経過とともに糖尿病が進行し、ネコちゃん本人の血糖値をコントロールする能力がさらに低下していきます。
それによって、徐々に血糖値のコントロールが難しくなっていき、思ったように治療が進まなくなっていきます。



このように、治療のはじめは何の苦労もなく順調に行くのに、途中からだんだんギクシャクしていく様子を人間の結婚生活に例えているわけです。


それにしても、この名前を付けた人は、よっぽど結婚生活に思うところがあったんでしょうね~