町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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心筋収縮不全と強心薬
2017年07月27日 (木) | 編集 |
先日、ある手術を控えて、術前検査をおこなった高齢犬です。


心電図、胸部レントゲンに気になる点があったため、超音波検査で心臓を詳しく調べたところ・・・


心筋の収縮不全が見つかりました。


20170711tah01.jpg
心臓の超音波検査。
左側の「FS:13.0%」という数値が心筋の収縮を示す数値です。正常犬のFSは35~45%くらい。
画面右側は実際に心臓が収縮する様子を経時的に表した画像です。
心筋が上下に収縮する様子が映っていますが、なんとなく弱々しい感じが伝わるでしょうか?




このような状態で手術をすることはできません。



手術は中止し、まずは強心薬での治療を開始し、経過を見ることになりました。



そして、強心薬を2週間投与して再検査。



20170711tah02.jpg



御覧のようにFSは正常値である36.6%に回復し、心臓が収縮する様子も明らかに力強くなっているのが分かります。



お薬の効果がはっきりとわかる検査結果ですね。



このような結果を見ると、超音波での心臓検査の重要性、そしてお薬をしっかりと飲むことの大切さがよくわかりますね。


僧帽弁閉鎖不全症の経過
2017年04月10日 (月) | 編集 |
当院が力を入れている診療の一つに、ワンちゃん・ネコちゃんの循環器疾患がございます。


その中でも、特に診療件数が多いのが、小型犬の「僧帽弁閉鎖不全症」です。


高齢期の小型犬の20~30%程度が罹患するともいわれるほど多い心臓病です。


心臓内の血流をコントロールする役割を持った僧帽弁が、加齢とともに変形・閉鎖不全を起こす病気であります。


弁の閉鎖不全によって、心臓内の血流に逆流が生じ、心臓機能不全に陥ってしまいます。


症状は逆流の程度によって無症状から突然死まで様々ですが、その病状を正確に把握するには超音波検査が重要な役割を果たします。




20170410tah01.jpg
僧帽弁閉鎖不全症で治療中のワンちゃんの超音波画像
eV=左室流入血流波形


超音波検査では、心臓内部の構造や血流など様々なポイントをチェックするのですが、その中でも心不全の状態を把握するのに重要なのが左室流入血流波形(E波)と呼ばれる波形の検査。


このE波は正常であれば1.0m/sec前後であります。この数値が高くなれば高くなるほど、心臓の負担が大きくなっていることを示しています。



写真の症例では、2月の時点ではE波は0.98m/secと正常値でしたが、3月頃になって急に元気・食欲が低下したということで来院された際には1.70m/secとかなり数値が上昇しています。


一般に、E波は1.20m/secを超えると肺水腫(心不全症状の一つ)を起こす危険性が増してくるといわれています。


実際にこの症例も肺水腫を起こしていました。




20170410tah02.jpg
左が肺水腫を起こした胸のレントゲン。
肺全体、特に〇で囲んだ部分が白く曇りガラス状になっています。



この症例では、すでに肺水腫に陥った状態でしたが、こまめに超音波検査を行っていれば、E波の数値から肺水腫の危険性を早期に診断し、重篤な症状に陥る前に対策することも可能です。


心膜液の貯留(心タンポナーデ)
2016年07月08日 (金) | 編集 |
ワンちゃんの突然死の原因の一つに、「心膜液貯留(心タンポナーデ)」という病気があります。



心臓の周囲は、「心膜」という薄い線維性の膜で覆われているのですが、その膜と心臓の間には「心膜腔」と呼ばれるわずかな隙間があります。


「心膜腔」にはごく微量の「心膜液」が貯留しており、「心膜」に包まれた心臓がスムーズに動くための潤滑油のような役割を果たしています。



この「心膜液」が過剰に貯留するのが「心膜液の貯留」であり、

過剰に貯留した心膜液によって心臓が圧迫され、正常なポンプ機能を果たすことが出来なくなった状態を「心タンポナーデ」と呼ぶのです。



心臓のポンプ機能が障害されるので、重度の場合は死にいたるのです。



「心膜液」が過剰に貯留する原因は様々。



「心不全」が原因になる場合もあれば、「心臓腫瘍」が原因になる場合もあります。


また、「特発性出血性心膜液貯留」といって、原因不明の出血性の心膜液貯留もございます。



20160707tah01.jpg
心膜液が貯留し、心タンポナーデを起こした症例の超音波画像。
黄色点線で示した部分が「心膜」。心膜と心臓の間に出血性と思われる液体貯留がみられます。
「特発性出血性」もしくは「腫瘍」を疑う症例です。





「心タンポナーデ」の症例では、出来る限り早く「心膜穿刺」を実施し、貯留した「心膜液」を除去し、心臓の圧迫を解除しなければなりません。



「心膜穿刺」とは、名前の通り、針を刺して貯留した「心膜液」を吸引除去する処置です。



超音波画像を確認しながら、注射針を肋骨の隙間から挿入し、心膜液を吸引します。




20160707tah02.jpg
右側のお皿に入っているのが貯留していた心膜液。
ビーカーに入っているのは胸水です。貯留した心膜液に心臓が圧迫され循環不全が生じたために、胸水が貯留していました。





「心膜液貯留」は、抜いて終了と言うわけではありません。



「なぜ溜まってしまったのか?」という原因を見つけて、それに対しての治療を行わなければ、いずれまた再発する可能性が高いのであります。

心臓病と咳
2016年05月19日 (木) | 編集 |
5月に14歳になったばかりのワンちゃんなのですが・・・


「最近、咳きこむことが増えてきたのが気になる・・・」



ということで診察。



心音を聞くと、軽度の雑音が聴取されます。



早速、胸部レントゲン撮影を行ってみると・・・



20160519tah02a.jpg
拡大した心臓に圧迫されて、気管が背骨にくっついてしまっています。



心拡大が認められます。


さらに、拡大した心臓に圧迫されて、気管が背骨の方に押し上げられてしまっています。



同じワンちゃんの数年前のレントゲンと比べると一目瞭然。



20160519tah01a
同症例 2010年撮影 背骨に対して、気管が緩やかに下り坂になっています。




老齢の小型犬では、「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓病を患うことが多く、12歳以上の小型犬の35%以上に発生がみられるとも言われています。



「僧帽弁閉鎖不全症」で心拡大が生じると、拡大した心臓が胸腔内で気管を圧迫します。



その圧迫のせいで咳が出やすくなってしまうのです。



初期の段階では、軽く咳きこむくらいで元気や食欲に変化が出ることはありませんが、進行すると心不全症状から呼吸困難や不整脈で命にかかわる病気です。



高齢の小型犬で咳が気になる場合は、心臓病が関わっていることが少なくありませんので、元気・食欲に問題が無いように見えても、早め早めの受診をお勧めいたします。

肺水腫(僧帽弁閉鎖不全症)
2016年05月06日 (金) | 編集 |
ここのところ、「肺水腫」の症例が続いていました。



「肺水腫」と言うのは、心臓病によって生じる心不全症状の一つで、呼吸障害をもたらします。



ワンちゃんでは、「僧帽弁閉鎖不全症」に伴って生じる事が一般的であります。
僧帽弁閉鎖不全症について詳しくはこちら



「肺水腫」を解りやすく説明すると・・・



「肺のむくみ」であります。



心臓病によって心臓のポンプ機能が低下すると、体中の血液循環が低下します。


たとえば、足の血液循環が低下すると、「足にむくみ」が生じますが、同じようなことが肺でも起きるのです。



「むくみ」の正体は、循環不全によって組織に貯留した体液です。



肺に体液が貯留してしまうと肺でのガス交換が妨げられ、呼吸困難に陥ります。



肺水腫
肺水腫の症例
左)治療前    右)治療後


上のレントゲン写真は、ある心臓病のワンちゃんの治療前と治療後のレントゲン写真です。


肺水腫になると、その部分に空気を取り込むことができなくなるので、レントゲン上では白く曇ったように写ります。
(レントゲン上は空気=ガスは黒く写ります)



治療後のレントゲンでは、肺にしっかりと空気が取り込まれて、黒く写っているのが良く解ります。





軽度の肺水腫であれば飲み薬で治療が可能ですが、重度になると酸素室に入院していただき、集中的な治療が必要になる場合もありますし、場合によっては治療しても助からないことも少なくありません。




重度の肺水腫であれば、明らかな呼吸不全がみられますが、軽度の場合は「少し咳きこむ」「少し息が荒い」といった症状しか出ません。



高齢の小型犬では、僧帽弁閉鎖不全症の罹患率は20~30%近くとも言われています。



高齢犬でこのような症状がみられた際には、なるべく早めに受診していただくことをお勧めいたします。