町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
歯周プローブでの検査
2017年09月22日 (金) | 編集 |
先日歯科処置を行った症例です。


見るからにヒドイ状態ですが・・・



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歯石を除去してみると・・・お? 綺麗に掃除すれば大丈夫そうかな・・・?


一見すると洗浄だけで大丈夫そうに見えますが・・・


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歯周プローブ(歯周ポケットの深さを計測する器具)でちゃんと調べなければいけません。



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プローブがグサッと奥まで入ってしまいます。


つまり、歯の根っこはもうだめになっているということ。



このような歯を、見た目だけ綺麗に磨いても治療したことにはなりません。



残念ですが、抜歯処置となります。



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歯科処置で大切なのは、歯石を取り除いて見た目をきれいにするだけではなく、しっかりと歯周病の進行度合いを評価して、適切な治療を施すことが一番大切です。



耳道の個体差と外耳炎
2017年09月12日 (火) | 編集 |
ワンちゃんの来院理由で多いものの一つに「外耳炎」があります。


「耳がかゆそう」とか「赤く腫れている」といった主訴で来院されるわけですが・・・


そんなワンちゃんたちの耳の中を観察しているとあることに気づきます。


それは、外耳炎の発症と耳道(耳の穴)の個体差の関係。


外耳炎を起こすわんちゃんの多くが、正常なワンちゃんに比べて耳道(耳の穴)が細長く鼓膜が観察しづらかったり、耳道内に毛が生えていて汚れが溜まりやすくなっているのです。




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正常なワンちゃんでは、このように奥の鼓膜まではっきり観察できますが・・・





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外耳炎を起こしやすいワンちゃんでは、耳道が細く奥まっており、鼓膜の観察が困難です。
※写真の症例は外耳炎治療中のため、さらに耳道が腫れて狭くなってしまっています。



また、耳道内に毛が多い症例では・・・



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耳道内に大量の毛が生えているワンちゃん。トイプードルやミニチュア・シュナウザーに多い。



もう、何も見えません・・・



この毛を抜いてやると・・・




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こんなに汚れが絡まってこびりついてしまっています。




こちらは、毛の量は少ないですが・・・




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毛の根元に汚れが残ってしまっているのがよくわかりますね。




外耳炎の原因はアレルギーがかかわるなど様々な要因が複合して発症することが多いのですが・・・



御覧のように耳道が細く、奥まっているような症例や、耳道内に毛が大量に生えている症例では、それだけ耳道内に汚れが溜まりやすく、また通気性も悪くなるため、雑菌が繁殖しやすいと考えられます。



そして、このような症例では、投薬で一時的に症状が治まっても、根本的な原因が耳道の構造にかかわっているため、再発しやすく、難治性に陥りやすくなってしまいます。


外耳炎を繰り返す症例では、こういった耳道の個体差も考慮に入れた治療が必要になってくるのです。

誤嚥性肺炎
2017年09月01日 (金) | 編集 |
7月~8月にかけて、なぜだか肺炎の症例が続いていました。




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青丸で囲んだ部分。白っぽくなっているところが肺炎を起こした部分。
右側のレントゲン写真は治療後のレントゲン写真。白くモヤがかかっていた部分が綺麗になっています。







こちらは別の症例。









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左が治療前。肺の右下部分(症例にとっては左肺)が白くぼやけています。
右が治療後。




これらの症例に共通しているのが・・・



「数時間前まではいつも通り元気にしていたのに、ゲホゲホとむせ返った後から急に咳をするようになって、元気がなくなってしまった」



ということです。



「誤嚥性肺炎」です。



誤嚥性肺炎というのは、食物や自分自身の吐物、唾液などを誤って肺に吸入してしまった際に起こる肺炎です。



若い症例に偶発的に起こることもありますが、多くは呑み込みの機能の衰えてきた中高齢の動物で起こることが多い病気です。



軽度の場合は抗生物質と消炎剤の投与で綺麗に治りますが・・・



呑み込みの機能の衰えが原因ですので、また繰り返す可能性があります。



こういった症例では、お食事を与えるときに小分けに与えたり、食器の位置を高くして飲みこみやすい状態にしてあげることも大切です。






歯周病治療 Sちゃんのケース
2017年08月07日 (月) | 編集 |
歯周病治療をおこなったダックスのSちゃんです。


別の病院さんで昨年の11月に歯石クリーニングをおこなったばかりということですが、複数の歯がグラつき、すでに歯石の付着も重度。


歯槽膿漏も進行してしまっています。


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特に、前歯に比べて奥歯の歯石付着と歯槽膿漏の進行が重度です。


もともと、奥歯は唾液腺の位置関係から歯石が付着しやすい部分ですが・・・


それにしても、昨年11月に歯科処置してから1年も経過しないうちにずいぶんとひどい状態になっています。



さらに…一見するとそれほど汚れていないように見えた犬歯の部分ですが・・・



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洗浄処置をすると鼻から大量の鼻血が・・・


口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)です。


昨年11月に歯石を除去しているので、一見するときれいな歯に見えますが、実際には歯周病が進行しており、犬歯歯根周囲の組織が壊死を起こしてしまっているのです。(1枚目の写真をよく見ると、犬歯の根元の歯肉が赤くはれて炎症を起こしているのが分かります。)


犬歯歯根のすぐそばには鼻腔があります。犬歯歯根周囲の歯周病が進行すると、鼻腔と犬歯歯根の間にある骨組織が壊死を起こし、穴が開いてしまうのです。


それが口腔鼻腔瘻。


鼻の孔と口の中がつながった状態になっているのです。そのため、犬歯周辺を洗浄した際の洗浄水と血液が鼻腔に混入して、鼻血のように流れて出てきているのです。


この犬歯も抜かなければなりません。



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犬歯を抜いた後には大きな穴がぽっかりと。


犬歯の歯根はとても太く、頑丈なため、抜歯には歯肉の切開や歯槽骨の切削など外科的な処置が必要になります。


抜いた後に血がたまっていますが、この奥は鼻の穴まで貫通してしまっています。


この大きな穴を塞ぐには、歯肉だけでは塞ぎきれませんので、頬粘膜を移植して塞ぎます。


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この処置をしっかりと行わないと、口腔鼻腔瘻がふさがらずに残ってしまうのです。


歯科処置で大切なのは、歯石を取り除いて「みた目をきれいにする」ことではなく、しっかりと歯周病の進行具合を把握し、歯周病に的を絞った治療を行うことなのです。

心筋収縮不全と強心薬
2017年07月27日 (木) | 編集 |
先日、ある手術を控えて、術前検査をおこなった高齢犬です。


心電図、胸部レントゲンに気になる点があったため、超音波検査で心臓を詳しく調べたところ・・・


心筋の収縮不全が見つかりました。


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心臓の超音波検査。
左側の「FS:13.0%」という数値が心筋の収縮を示す数値です。正常犬のFSは35~45%くらい。
画面右側は実際に心臓が収縮する様子を経時的に表した画像です。
心筋が上下に収縮する様子が映っていますが、なんとなく弱々しい感じが伝わるでしょうか?




このような状態で手術をすることはできません。



手術は中止し、まずは強心薬での治療を開始し、経過を見ることになりました。



そして、強心薬を2週間投与して再検査。



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御覧のようにFSは正常値である36.6%に回復し、心臓が収縮する様子も明らかに力強くなっているのが分かります。



お薬の効果がはっきりとわかる検査結果ですね。



このような結果を見ると、超音波での心臓検査の重要性、そしてお薬をしっかりと飲むことの大切さがよくわかりますね。